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WRC第5戦ラリーポルトガル(グラベル)は競技最終日となる5月18日(日)、SS19〜SS24を走行。トヨタGRヤリス・ラリー1を走らせるトヨタは、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデが今季2勝目をマーク。昨年に続いてイベント連覇を果たし、WRCポルトガルでの最多勝利記録を7に更新した。カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンは3位でトヨタ勢は2台がポディウムに上がった。勝田貴元/アーロン・ジョンストンは5位を守り切ってフィニッシュ。エルフィン・エバンス/スコット・マーティンが順位をひとつ上げて6位、TGR-WRT2から参戦するサミ・パヤリ/マルコ・サルミネンは7位でフィニッシュを果たした。
トヨタGRヤリス・ラリー2でWRC2部門を戦うTGR WRCチャレンジプログラム2期生は、小暮ひかるが部門15位、山本雄紀が23位。ルノー・クリオ・ラリー3でWRC3部門に参戦した松下拓未は部門6位でフィニッシュした。
(以下、発表リリース)
WRC 第5戦 ラリー・ポルトガル デイ4
オジエがラリー・ポルトガル通算7勝目を獲得し
TGR-WRTは開幕5連勝を達成する
5月18日(日)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第5戦「ラリー・ポルトガル」の最終日デイ4が、ポルトガル北西部の「マトジニョス」を起点に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 17号車)が優勝。カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)は総合3位で、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は総合5位で、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合6位でフィニッシュしました。また、TGR-WRT2からエントリーのサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は、総合7位でラリーを終えました。
ラリー・ポルトガルの最終日デイ4は、サービスパークの北西エリアで3本のステージを、サービスの設定なく各2回走行。6本のステージの合計距離は72.16kmでした。朝の天気は薄曇りながら路面コンディションは概ねドライ。各ステージの1回目の走行では路面を滑りやすいグラベルが覆っていました。
デイ3で首位に立ち、総合2位のロバンペラに27.6秒差、総合3位のオィット・タナック(ヒョンデ)に36.1秒差を築いたオジエは、デイ4オープニングのSS18で5番手タイム。一方、ロバンペラはベストタイムを記録し、ふたりの差は一気に16.5秒に縮まりました。続くSS20で差はさらに縮まり、15.4秒に。しかし、朝のループ最後のステージ、SS21ではオジエが2番手タイム、ロバンペラが4番手タイムで差は16.3秒に拡がりました。その後、ロバンペラは再走ステージでタナックに差を詰められ、SS23では総合2位の座を明け渡すことになりました。その時点で首位オジエと総合2位タナックの差は13.6秒。タナックと総合3位ロバンペラの差は僅か1.5秒となり、トップ3争いは最終のパワーステージ、SS24「ファフェ2」へと持ち越されました。
ビッグジャンプで知られる伝説のステージ、ファフェには今年も大勢の観客が集結。選手たちに大きな声援が送られる中、オジエは5番手タイムを記録してフィニッシュ。開幕戦ラリー・モンテカルロ以来となる今シーズン2勝目を獲得し、ラリー・ポルトガルでの最多優勝記録を「7」に伸ばしました。また、今年はここまで5戦のうち3戦への出場ながら、ドライバー選手権でも、2位のロバンペラと2ポイント差の3位に順位を上げました。なお、TGR-WRTにとっては、2019年大会から6回目となるポルトガル優勝となりました。一方、ロバンペラは順位を挽回することは叶わず総合3位に。それでもパワーステージでは3番手タイムを記録し、スーパーサンデーでは2番手となったことで、多くのボーナスポイントを獲得。ロバンペラの貢献もあり、TGR-WRTはマニュファクチャラー選手権におけるリードを55ポイントに拡大しました。
デイ3で総合5位につけた勝田は、最後まで順位を守り総合5位でフィニッシュ。パワーステージは4番手タイムで走り切り、ボーナスポイントを獲得しました。また、総合7位で最終日に臨んだエバンスは、一日を通して総合6位のパヤリを上まわるペースで走行。SS22でパヤリを抜き、総合6位でフィニッシュしました。なお、エバンスはスーパーサンデーでも5番手だったことからボーナスポイントを加算し、ドライバー選手権首位の座を堅守。2位ロバンペラとの差は30ポイントとなりました。Rally1車両でのラリー・ポルトガル出場は今回が初めてだったパヤリは、最終日も安定した走りを続け、総合7位でラリーを終えました。
50台以上のエントリーを集めたRally2車両の戦いは、GR Yaris Rally2でWRC2にエントリーする、オリバー・ソルベルグが最終日も首位をキープ。WRC2クラス2番手のライバルに51.8秒差をつけて優勝し、ラリー・スウェーデン以来となる今シーズン2勝目を獲得。その他のGR Yaris Rally2勢はローペ・コルホネンがWRC2 4位、ヤン・ソランスが5位と、3台がトップ5でフィニッシュしました。
ユハ・カンクネン(チーム代表代行)
ポルトガルの週末は、チームにとってまたしても良い結果になりましたが、今回勝利を手にすることができたのは、少し幸運に恵まれたためだと言えるかもしれません。なぜなら、今回我々は最速ではなかったと思えるからです。ただし、それと同時に全てのクルマが大きな問題に見舞われることなく、良い順位でフィニッシュすることができましたし、それこそが厳しいコンディションとなったラリーの本質でもあります。クルマの信頼性は確保されていましたし、チームはドライバーと協力し、新しいタイヤに最適化するためのセットアップに取り組みました。セブは今回も素晴らしい仕事で再び優勝してくれましたし、全車が十分なポイントを獲得できたことを我々は喜ぶべきでしょう。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
この週末は私たちにとって簡単なものではありませんでしたので、無事に終了しほっとしています。金曜日に出走順トップでスタートすることは、私たちにとって明らかに厳しい状況でした。しかしそれだけでなく、特に金曜日の途中からはパフォーマンスもかなり低下していました。望んでいたほど多くのポイントを獲得することができず、この週末は悔しい結果となりましたが、今は次のラリーであるサルディニアに向けて、より良い戦いができるように努力するのみです。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
長く厳しい週末でしたが、ポディウムでフィニッシュすることができたのは、決して悪いことではありません。特に、金曜日に出走順2番手で走り、ロードクリーニングをしなければならなかった状況を考えれば尚更です。最終的には、それなりに多くのチャンピオンシップポイントを獲得することができました。しかし、今日は2位を争う中で、より良い出走順だったにも関わらず、あと少しペースを上げられなかったことは残念です。まだ改善すべき点があるということなので、次のラリーに向けて継続して改善に取り組む必要があります。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
ポルトガルで再び優勝することができて素晴らしい気分です。非常に過酷で疲れ果てた一週間でしたが、チームと自分自身のためにこの勝利を手に入れることができたので、全ての努力が報われたと感じています。オィットとの戦いは非常に激しいものでしたが、彼に問題が起こらなければ純粋な速さで勝てたとは思えません。ただし、ラリーとはただ速く走るだだけでの競技ではありません。再走ステージは非常にラフなコンディションでしたが、強いクルマとクレバーなアプローチでチャンスを掴むことができたので、チームに感謝します。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
本当に厳しい週末でしたが、自分たちにとっては悪くないラリーでした。クルマの調子は良く、ラリーの序盤は快適に感じられるペースで走ることができました。ですので、5位でフィニッシュできたことを嬉しく思います。もちろん、さらに良い結果を望んでいましたが、それでも特に新しいタイヤについて多くのことを学ぶことができましたし、より良い結果を出すポテンシャルがあることも分かりました。
サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
自分たちにとってはクリーンで良い週末でしたし、まさに望んでいた結果を得ることができました。ツイスティなグラベルロードでRally1カーの経験を積み、安定して速く走ることが今回の計画でした。そして、大きなミスや問題もなく、その目標を達成できたので本当に満足しています。チームに感謝していますし、次のサルディニアもこの調子で頑張りたいと思います。
ラリー・ポルトガルの結果
1 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) 3h48m35.9s
2 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) +8.7s
3 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +12.2s
4 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +38.5s
5 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m41.9s
6 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m31.0s
7 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m38.3s
8 ジョシュ・マッカーリーン/オーエン・トレーシー (フォード Puma Rally1) +5m12.3s
9 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +5m57.5s
10 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR Yaris Rally2) +9m15.1s
(現地時間5月18日15時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
第5戦終了時点でのドライバー選手権順位
1 エルフィン・エバンス 118ポイント
2 カッレ・ロバンペラ 88ポイント
3 セバスチャン・オジエ 86ポイント
4 オィット・タナック 84ポイント
5 ティエリー・ヌービル 78ポイント
6 勝田 貴元 51ポイント
7 アドリアン・フォルモー 44ポイント
8 サミ・パヤリ 25ポイント
9 グレゴワール・ミュンスター 18ポイント
10 ジョシュ・マッカーリーン 12ポイント
第5戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 258ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 203ポイント
3 M-Sport Ford World Rally Team 72ポイント
4 TOYOTA GAZOO Racing WRT2 36ポイント
次回のイベント情報
WRC次戦は、6月5日から8日にかけて開催される、第6戦「ラリー・イタリア サルディニア」です。地中海に囲まれた美しいイタリアのサルディニア島で行われるこの一戦は、グラベルイベント。ステージは比較的ハイスピードですが、道幅は全体的に狭く、さらには道のすぐ近くまで木や大きな岩が迫るため、ミスのない走りが要求されます。路面の多くは目の細い砂状のグラベルに覆われていますが、ラリーカーが何台か走りルースグラベルが掃けると、下部から硬い岩盤や石が現れます。また、再走ステージでは深い轍が刻まれるセクションもあるため、ドライバーたちはコンディションの変化に上手く対応しなければなりません。さらに、6月は気温がかなり上昇することが多いため、非常にタフなラリーになり得ます。