TGR WRCチャレンジプログラムの2期生、今季2度目のグラベルラリーで奮闘 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

TGR WRCチャレンジプログラムの2期生、今季2度目のグラベルラリーで奮闘

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TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である大竹直生、小暮ひかる、山本雄紀が、今季2度目のグラベル参戦として、6月17〜18日にラトビアのリエパヤで開催されたERC第4戦ラリーリエパヤに参戦。いずれも完走を果たすことはできなかったものの、強いパフォーマンスを発揮した。

また、次に参戦するイベントとして、同じく高速グラベルラリーとして知られ、3人がトレーニングの拠点としているユバスキラを本拠地として開催されるWRC第9戦ラリーフィンランド(8月3〜6日)となることも伝えられた。
(以下、チームリリース)


TOYOTA GAZOO Racing WRC チャレンジプログラム
大竹、小暮、山本がラトビアで強いパフォーマンスを発揮

TOYOTA

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生、大竹直生、小暮ひかる、山本雄紀が6月17日(土)~18日(日)に開催されたFIAヨーロッパラリー選手権(ERC)の第4戦、ラリー・リエパーヤに参戦。3選手とも完走はならなかったものの、全員が強いパフォーマンを発揮しラリーを終えました。

バルト海沿岸に位置するラトビア第三の都市「リエパーヤ」を中心に開催されるラリー・リエパーヤは、2013年以来 FIAヨーロッパラリー選手権の一戦として開催さている高速のグラベル(未舗装路)ラリーで、来年初めてFIA世界ラリー選手権の一戦となる予定のラリー・ラトビアの一部にもなるとされています。ラリーは2日間で10本のスペシャルステージ(競技区間:SS)を走行し、その合計距離は183.89km。前回、地形の似たラリー・ポーランドで経験を積んだ大竹、小暮、山本にとっては、好調なパフォーマンスを維持し、さらなる経験を積むチャンスでもありました。3選手は22名のドライバーが属するERC4クラスに参戦し、ポーランド同様、厳しい戦いに挑みました。

土曜日の朝はTGRチームにとってはこの上ないスタートとなりました。今大会最長、27.56kmのSS1で山本がトップタイム、大竹、小暮がそれに続き、TGRの3組がERC4クラスのトップ3を独占しました。次のSS2はSS1と同じステージのリピートでしたが、乾燥した天候による激しい砂埃の発生でキャンセルとなり、その後は雨が降り、ウエットコンディションとなりました。滑りやすいコンディションにも関わらず、3選手とも大きなミスを避け、一貫した走行を続けました。
山本・テイスコネン組は序盤からトップ争いを繰り広げ、初日終了時点で2位に26.1秒の差をつけてトップに立ちました。初日の最後のステージ、SS6でトップタイムを刻んだ大竹・サルミネン組は、山本に次いでクラス2位で初日を終了。小暮・ルフティネン組は、チェックインタイムに遅れて10秒のペナルティを受けながらも、3位にわずか1.3秒差で4位につけ、全員が表彰台を狙える位置につけました。

しかし残念ながら、翌日曜日は3組ともが苦境に立たされました。小暮はその日2本目のSS8で、ドライブシャフトの破損によってリタイア。大竹の車両はエンジンの不具合が発生。予定外のオルタネーター交換が必要になり、ミッドデイサービス後のタイムコントロールへの遅延で90秒のペナルティを受け、表彰台争いから遠ざかりました。またその後、SS9のジャンプからの着地時にラジエータにダメージを受け、結果的にリタイアとなりました。山本もまたSS9で同様の状況に陥り、クラス優勝まであと1ステージというところで最終ステージを走ることなくリタイアを余儀なくされました。

Quotes
大竹直生
:ラリーの序盤、ドライの状況ではとてもよいスピードが発揮できました。ドライコンディションに向けた良いセットアップができていましたが、雨が降ってからは難しくなりました。ですがそれでも日曜日のSS9まではうまく行っていました。SS9の、それほど大きなジャンプだと思っていなかったところでかなり激しい着地をしてしまい、ラジエータにダメージを負い、走行継続できませんでした。ステージが2ループ目になると路面が荒れることはわかっていたので、少し慎重に行ってはいたのですが、そこまで激しい着地になってしまうとは予想していませんでした。とても残念ですが、特にドライで発揮できたスピードについては嬉しく思っていますし、今回ペースノートにいくつか新しい言葉を取り入れ、それが機能したのもよかったです。次のラリー・フィンランドが楽しみです。

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小暮ひかる:フィーリングはステージを追うごとに良くなっていて、車両トラブルが起きるまでは全てがうまく行っていたのでリタイアになってとても残念です。ラリー・ポーランドのあと、コ・ドライバーのトピとたくさんトレーニングをして、ペースノートに自信を持って運転できるようになりました。そのおかげで今回は良いタイムが出せたと思っています。ラトビアのステージはとても高速で、道幅が広く、クレストが少なく流れるような路面なので、コーナーにどのくらいのスピードで入っていけるかを見極めやすかったです。すべてのステージを楽しんで走ることができました。次のラリー・フィンランドはもっとクレストが多いので、よりチャレンジングになりそうです。

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山本雄紀:今回はスムースで高速なラリーになると予想していましたが、雨によって路面が軟らかくなり、とてもラフで轍の多いコンディションになりました。セットアップはこのような状況に適してはいませんでしたが、うまく対応できたと思っています。最後に起きてしまったことは非常に残念ですが、今回のラリーをポジティブに捉えることができます。SS9は最も路面が荒れていて、轍はポーランドよりもさらに大きく、初めての経験でした。ですが、実際にはトラブルはジャンプが原因で、少しフロントから着地してしまいました。普通のジャンプに見えたので受け入れ難いですが、それが事実なので仕方ありません。前回と今回、ERCは非常にレベルが高く、そんな中で自分たちもいい戦いができるとわかり、とても良い経験になりました。

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ミッコ・ヒルボネン (チーフインストラクター):今回も、全員が非常に良いパフォーマンスを見せてくれました。毎回車両トラブルが起きてしまうのはフラストレーションが溜まりますが、我々は選手権を戦っているわけではないので、最終的にはそれほど問題ではありません。私たちは彼らのパフォーマンスを重視しているので、今週末の彼らには感銘を受けています。彼らはコンディションが変わる中で、ドライビングをアジャストして強いパフォーマンスを発揮できるレベルに到達しようとしています。今回、轍は前回のポーランドほどひどくないと予想していましたが、わずかな雨によって路面はとても軟らかくなり、結果的に前回よりも荒れたコンディションになりました。全員、注意を払って走行していましたが、山本と大竹は、たった1か所、トリッキーな場所がリタイアに繋がり不運でした。特に山本は素晴らしい結果まであと一歩でした。ですが、私たちは前回と今回のレベルの高いERCでの彼らの全体パフォーマンスをしっかり評価しています。次戦のラリー・フィンランドはこれまでのラリーとは少し特徴が変わりますが、彼らはそこでもしっかりと戦ってくれると確信しています。

Results (ERC4 class):
1 Ola Nore Jr/Torstein Eriksen (Renault Clio Rally4) 1h35m10.3s
2 Victor Hansen/Victor Johansson (Peugeot 208 Rally4) +23.9s
3 Norbert Maior/Francesca Maior (Peugeot 208 Rally4) +30.5s
4 Mark-Egert Tiits/Jakko Viilo (Ford Fiesta Rally4) +37.6s
5 Max McRae/Mac Kierans (Opel Corsa Rally4) +56.7s
6 Timo Schulz/Michael Wenzel (Opel Corsa Rally4) +1m34.8s
リタイア 山本 雄紀/ミイカ・テイスコネン (Renault Clio Rally4)
リタイア 大竹 直生/マルコ・サルミネン (Renault Clio Rally4)
リタイア 小暮 ひかる/トピ・ルフティネン (Renault Clio Rally4)

■次戦
8月3-6日に開催されるFIA世界ラリー選手権の第9戦、ラリー・フィンランドに参戦します。3選手にとっては、2月のラリー・スウェーデンに次いで2度目のWRCイベントとなります。ラリー・フィンランドはWRCのイベントの中で最も高速のラリーとして知られており、3選手が拠点としているユバスキュラの町を中心に行われるグラベルラリーです。



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