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WRCパラグアイ:トヨタは選手権初開催の南米グラベルイベントでリード拡大を狙う

©TOYOTA

8月28日〜31日にパラグアイ南東部のエンカルナシオンを拠点に開催される、WRC第10戦ラリーパラグアイに、トヨタはエルフィン・エバンス/スコット・マーティン、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデ、勝田貴元/アーロン・ジョンストン、TGR-WRT2からエントリーするサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン、合計5台のトヨタGRヤリス・ラリー1で参戦。シリーズ初開催のグラベルラリーで、今季9勝目とともにマニュファクチャラーズ選手権リード拡大を目指す。

なおTGR-WRTは今年、夏季イベントの間はシルバー基調のカラーリングを投入してきたが、このパラグアイからはブラック基調のカラーリングに戻す。


WRC 第10戦 ラリー・デル・パラグアイ プレビュー
WRC初開催となる南米パラグアイ戦で
シーズン9勝目と選手権のさらなるリード拡大を目指す

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は、8月28日(木)から8月31日(日)にかけて、パラグアイ南東部のエンカルナシオンを中心に開催される、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第10戦「ラリー・デル・パラグアイ」に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 33号車)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)に、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)を加えた、合計5台のGR YARIS Rally1で参戦。WRC初開催のラリーで今シーズン9勝目を目指します。

前戦ラリー・フィンランドでロバンペラが地元優勝を飾り、TGR-WRTはシーズン8勝目を獲得。マニュファクチャラー選手権におけるリードを87ポイントに拡げ、ドライバー選手権ではエバンスがランキング首位に復帰しました。そして迎える第10戦ラリー・デル・パラグアイは、WRC初開催のラリーです。今シーズンは全部で3大会がWRC初開催となりますが、ラリー・デル・パラグアイもそのひとつ。約1週間のインターバルを経て9月には第11戦ラリー・チリが開催されるため、2イベント連続での南米大陸戦となります。

TGR-WRTは、チームのホームイベントであるラリー・フィンランドで歴史的な1-2-3-4-5フィニッシュを達成しましたが、今回もまた5台のGR YARIS Rally1でWRC初開催イベントに挑みます。今シーズン2勝を飾り、ラリー・フィンランドを経てドライバー選手権を再びリードする立場となったエバンスは、ドライバー選手権2番手に順位を上げたロバンペラに3ポイント差、ドライバー選手権3番手のオジエとオィット・タナック(ヒョンデ)に13ポイントのリードを築いています。そして今回のパラグアイでは、選手権トップ3につけるこの3名がマニュファクチャラーズポイント獲得の役割を担います。また、前戦ラリー・フィンランドで今シーズン2回目となる2位表彰台を獲得した勝田は、今回も4台目のGR YARIS Rally1をドライブ。サマーシーズンを特別なシルバー基調のカラーリングで戦ってきたTGR-WRTのクルマは、今回からブラック基調のカラーリングに戻り、トップカテゴリーフル参戦初年度を送っているTGR-WRT2のパヤリは、前戦までと異なるブラックボディのクルマで臨みます。

ラリー・デル・パラグアイの中心となるのは、パラグアイの首都アスンシオンから南東に360km程度離れた都市「エンカルナシオン」です。南アメリカ大陸の中央南部に位置するパラグアイはブラジル、ボリビア、アルゼンチンと国境を接しており、ラリーはアルゼンチンとの国境を流れるパラナ川の周辺に多くのステージが設定されます。ステージの路面はグラベルで、非常にハイスピードなステージと、密林地帯を走行するテクニカルなステージの両方を含みます。赤土の路面は全体的にスムースながら滑りやすく、なおかつ軟らかいため、1本のステージを2回目に走行する際は、路面に深い轍が刻まれている可能性があります。

この地域ではこれまで、エンカルナシオンが属するイタプア県の名を冠した「ラリー・トランス・イタプア」が行われきましたが、今回のWRC開催イベントではステージの多くを受け継いでいます。しかしRALLY1がステージを走行するのは今回が初めてであるため、WRCのトップカテゴリーで戦うドライバーはペースノートを新たに作成しなくてはならず、その精度が結果に大きく影響する可能性があります。

ラリーは28日の木曜日の午前中にシェイクダウンが、夜にエンカルナシオンでセレモニアルスタートが行われ、金曜日の朝から戦いがスタート。デイ1としてサービスパークの東側エリアを中心に4本のステージを、エンカルナシオンでのミッドデイサービスを挟んで各2回走行します。そのうちSSS4とその再走ステージであるSSS8「アウトドロモ」は、全長2.5kmのスーパーSSです。8本のステージの合計距離は140.90kmに達し、3日間で最長の一日となります。土曜日のデイ2は、サービスパークの西北エリアで3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走ります。また、ミッドデイサービスの直前には、SSS12として三度アウトドロモを走行。7本のステージの合計距離は113.60kmとなります。最終日となる日曜日のデイ3は、サービスパークの東北エリアで2本のステージをミッドデイサービスを挟むことなく各2回走行し、その合計距離は80.72kmと3日間で最短。最終ステージのSS19は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に設定されています。ラリーは3日間で19本のステージを走行し、その合計距離は335.22km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は、999.63kmが予定されています。

なお、今回のラリー・デル・パラグアイには合計8台のGR Yaris Rally2が出場、サポート選手権であるWRC2にエントリーしています。ラリー・エストニアで初のWRC総合優勝を飾ったオリバー・ソルベルグ(スウェーデン/プリントスポーツ)は、WRC2トップの座を守るべく前戦フィンランドに続きGR Yaris Rally2をドライブ。ベテランのカイエタン・カイエタノヴィッチ(ポーランド/ラリーラブ・テクノロジー)、マルコ・ブラチア(ボリビア/デルタ・ラリー)らのWRC2レギュラーメンバーと選手権を競います。またディエゴ・ドミンゲスJr(テオ・マルティン・モータースポーツ)、TOYOTA GAZOO Racingパラグアイのアレハンドロ・ガランティとティアゴ・ウェイラー、グスタボ・サバ(サバ・コンペティション)、ディエゴ・ドミンゲスJr(DTAラリーチーム)というパラグアイ出身のドライバーたちが、地元初開催のWRCにGR Yaris Rally2で挑みます。

ユハ・カンクネン (チーム代表代行)
ラリー・フィンランドで信じられないような結果を手にし、ドライバーたちが力強いパフォーマンスを発揮したことは、シーズンの最終盤を迎えるチーム全体に大きな自信を与えてくれました。ドライバー選手権では、トップ4のドライバーたちが13ポイント差以内にいるというタイトでエキサイティングな展開が続いていますが、我々はエルフィン、カッレ、セブという3人の強力な選手たちが上位につけています。また、貴元とサミもフィンランドで示した速さと自信を、今回もキープしてくれることを期待しています。パラグアイは全員にとって初めてのイベントになるはずなので、何が起こるか誰も予測できません。南米に行くたびに感じるのは人々のラリーに対する情熱であり、私自身がラリー・アルゼンチンに出ていた時代も常にそう感じていたことを思い出します。ラリー・アルゼンチンと同様、かなりハイスピードなステージとなる可能性がありますが、新しいラリーでは常に予期せぬ事柄に備える必要があります。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
ラリー・フィンランドを終えてドライバー選手権の首位に復帰しましたが、上位集団の差はごく僅かなので、シーズン終了まで激しい戦いが続くと思います。次のパラグアイはグラベルラリーなので、出走順トップでステージを切り開かなくてはならない私たちが、リードを守ることは簡単ではないでしょう。それでも、いつものようにベストを尽くして良い結果を残したいと思っています。新しいラリーに備えることは、常に大きなチャレンジです。特に、ヨーロッパ以外の国では事前にテストをできないため、なおさらです。ステージやコンディションを実際に自分で確認するためには、レッキまで待つ必要があります。そして、それに合わせてクルマをできるだけベストな状態に調整しなくてはなりません。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
フィンランドは自分たちとチームにとって素晴らしい結果となり、選手権争いにおいて非常に価値あるポイントを獲得することができました。そして今、この良いフィーリングを維持し、シーズン終了まで戦い続けることが重要です。フィンランドで発揮することができた良いペースを、この後のグラベルラリーでも維持できるように、チームと共にハードワークを続けていますが、速く走るためのアイデアを見つけたかもしれません。パラグアイは全員にとって初めてのラリーになると思うので、何が起こるか予測がすることが難しいですが、うまく対応できることを願っています。

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
ラリー・フィンランドはチーム、そして私たちの今シーズンの主目標であるマニュファクチャラー選手権にとって、非常に素晴らしい結果となりました。また、ドライバー選手権で4人が接近しているのはファンにとって素晴らしいことですし、その戦いに加わっていることに興奮しています。ここまで、私たちは出場したすべてのラリーで表彰台に立っているので、次のイベントでもその流れを維持できるように努めます。パラグアイのような新しいラリーは全員がゼロからスタートし、新しいペースノートをまっさらな状態から作り始め、できるだけ早く適応する必要があります。私は常にこれまでそのような挑戦を楽しんできたので、今回も新しい発見をすることが楽しみです。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
ラリー・フィンランドでは速さを示すことができましたし、良い結果を残すこともできたので、自分にとって本当に良いイベントでした。この良いフィーリングをパラグアイでも再現したいと思っていますが、一体どのようなラリーになるのか、まだ分かりません。新しいラリーに臨むのは常に難しいものです。フィンランドのような、純粋に全開で走れるようなラリーの後では、誰もが考えかたを少し変える必要があると思います。パラグアイは速いセクションもあるかもしれませんが、未知の要素が多くあります。まずはレッキで実際のコースを確認し、もしコンディションが良さそうであれば、今回も良い結果を目指してプッシュできるかもしれません。

サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
フィンランドでは良いペースを発揮することができたのでフィーリングは良いですし、キャラクターはやや異なるかもしれませんが、次の2戦に向けて仕事を開始するための良いベースができました。パラグアイは、誰にとっても完全に新しいラリーになるはずです。全員が同じ位置からスタートすることでより公平に感じられるので、完全に新しいラリーや新しいステージを走るのは好きです。実際にどのようなステージなのか、詳しくはまだ分かりません。人から聞いた話や見た限りコンディションは比較的良く、それほどラフではないようです。現地で実際に確認すれば、本当のところが見えてくるでしょう。



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