WRCスペイン事前情報:フルターマック復帰2年目、WRCの「サーキットレース」 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCスペイン事前情報:フルターマック復帰2年目、WRCの「サーキットレース」

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今季のWRCは残すところ2戦。10月20〜23日、スペインのコスタドウラダで開催されるラリーRACCカタルーニャ‐ラリーデエスパーニャ(ラリースペイン)では、マニュファクチャラーズ選手権タイトルをかけての激しい戦いが続く。

今シーズン最後の2戦はターマック連戦。その一戦目となるラリースペインはWRCのサーキットレースとも呼ばれ、コーナーでは完璧なレーシングラインを取ることが成功のカギとなる。

しかし、ドライバーは全開のペースと、コーナーのインカットで砂利が掻き出されることへのリスクのバランスを取る必要がある。タイヤマネジメントも、スペインでの重要な要素。摩耗の激しい路面は高いグリップが得られるが、気温が高くドライになればタイヤの減りも高まる。しかし、コンディションがウエットや変わりやすくなれば、タイヤ戦略がカギになってくる。

10年ぶりにWRCカレンダーに復帰した前戦ニュージーランドを終えて、マニュファクチャラーズ選手権ではトヨタがヒョンデに81ポイント差をつけている。今季残るスペインとジャパンで獲得可能なポイントは最大104となっている。今季3度目のフルターマックとなるスペインでは、WRCマニュファクチャラーズ選手権のほか、WRC2、WRC3タイトルの争いも続く。

■エントリー状況
ニュージーランドでドライバーズタイトル、コ・ドライバーズタイトル獲得を決めたトヨタのカッレ・ロバンペラとヨンネ・ハルットゥネンは、ここからはトヨタのマニュファクチャラーズタイトル獲得に専念していくことになる。チームからは、エルフィン・エバンス、WRC8冠のセバスチャン・オジエがドライバーとしてエントリー。勝田貴元は、トヨタ・ガズーレーシングWRT NGから4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1をドライブする。

ヒョンデもマニュファクチャラーズタイトルの可能性を残しており、母国のヒーローで今季は参戦したラリーすべてでポディウムに上がっているダニ・ソルドを起用。オィット・タナック、WRCスペイン2連覇中のティエリー・ヌービルとともにヒョンデi20 Nラリー1の走りを地元ファンの前で初めて披露する。

Mスポーツ・フォードには、アドリアン・フルモーがフォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1に復帰。クレイグ・ブリーン、ガス・グリーンスミスとともにマニュファクチャラーズ選手権ポイント対象にノミネートされている。ブリーンのコ・ドライバー、ポール・ネイグルは、18年前にWRCデビューを飾ったこのイベントで、自身最後のWRC参戦を迎える。チームはこのほか、ピエール‐ルイ・ルーベ、ジョルダン・セルデリディスを加えた5台のプーマ・ハイブリッド・ラリー1を走らせる。

■サポートカテゴリー
タイトル争いが激化しているWRC2には、カエタン・カエタノビッチ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)、WRC2ジュニアで首位に立っているエミル・リンドホルム(トクスポーツ、ファビア・ラリー2 Evo)、ヨアン・ロッセル(PHスポール、シトロエンC3ラリー2)が、選手権首位に立つアンドレアス・ミケルセンを追う。ミケルセンは、今季の規定参戦数をすでに消化しており、ライバルの進捗を見守ることになる。ニコライ・グリアジンとMスポーツ・フォードのヤリ・フッツネンも好位置につけている。そのほか、ヒョンデ・モータースポーツNのテーム・スニネン、スペインの強豪、アレッサンドロ・カチョン、ニル・ソランス、弟のヤン・ソランス、ペペ・ロペスもエントリー。アーミン・クレマーは、WRC2マスターズ部門でのリード拡大を狙う。F1、ル・マンで活躍するフランスのステファン・サラザンは、2020年スペイン以来のWRC参戦。かつてはスバルのワークスドライバーも務めていたサラザンは、2004年のスペインでは初めてのステージウインをマークして自己ベストの4位でのフィニッシュを果たしている。WRC3では、アクロポリスを制したディエゴ・ドミニゲスが参戦。ヤン・チェルニー、ラウリ・ヨーナとのタイトル争いに臨む。

■ラリールート

TOYOTA

2010年からミックス路面の設定を続けてきたスペインは昨年、フルターマックのフォーマットに戻し、今回もその構成を踏襲する。競技は21日金曜日、本拠地サロウの北部を走る2本の新ステージから始まる。Els Omells – MaldaとSerra de la Llenaの後、Les Garrigues Altes 、難関ステージのRiba-rojaを迎える。この2本は2021年とは逆方向で走行する設定。サロウにあるテーマパーク、ポルトアベンチュラ・ワールドに設置されるサービスパークでのサービスを挟んで、午後もこの4SSを再走する。

土曜日はサロウの北東部を走行。Savalla、Querol-Les Poblesを走行した後、名門ステージのEl Montmellは、ラリー最長の24.18kmが設定されている。サロウでのサービスを挟んで午後もこの3本をリピートした後、サロウの海沿いを走る2.15kmのショートステージで締めくくる。

競技最終日は、2SSを2ループする計56.10km。Pratipは朝7時にスタートする。ランナバウトで有名なColl de la Teixetaは、2回目の走行はパワーステージに指定されている。

今回のラリースペインは、ERC最終戦も同時開催。最初の2日間のステージを走行し、土曜日にフィニッシュを迎える。

■ラリーデータ
開催日:2022年10月20日〜23日
サービスパーク設置場所:サロウ
総走行距離:1330.91km
総ステージ走行距離:293.77km(SS比率22.07%)
総SS数:19

■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3

■マニュファクチャラーズ選手権ノミネートドライバー
[トヨタ・ガズーレーシングWRT]
カッレ・ロバンペラ (#69)
エルフィン・エバンス (#33)
セバスチャン・オジエ (#1)

[ヒョンデ・シェル・モビスWRT]
オィット・タナック(#8)
ティエリー・ヌービル(#11)
ダニ・ソルド(#6)

[Mスポーツ・フォードWRT]
クレイグ・ブリーン(#42)
ガス・グリーンスミス(#44)
アドリアン・フルモー(#16)

■2021年ラリースペイン最終結果
1 T.ヌービル/M.ウィダグ(ヒョンデi20クーペWRC) 2:34:11.8
2 E.エバンス/S.マーティン(トヨタ・ヤリスWRC) +24.1
3 D.ソルド/C.カレラ(ヒョンデi20クーペWRC) +35.3

■近年のウイナー
2021年 T.ヌービル(ヒョンデi20クーペWRC)
2019年 T.ヌービル(ヒョンデi20クーペWRC)
2018年 S.ローブ(シトロエンC3 WRC)
2017年 K.ミーク(シトロエンC3 WRC)
2016年 S.オジエ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)



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