アウディ・スポーツ、ダカール参戦に向けて準備も佳境 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

アウディ・スポーツ、ダカール参戦に向けて準備も佳境

©Audi Communications Motorsport / Michael Kunkel

2022年1月に開催される第44回ダカールラリーに参戦を表明しているアウディ・スポーツ。開幕まで100日を切り、その準備が佳境に入っている。

Audi Communications Motorsport / Michael Kunkel

フォーミュラEで使われている2基のモータージェネレーターユニット(MGU)を使用したフル電動パワートレーン、アウディRS Q e-tronで世界屈指の過酷なクロスカントリーラリーに挑むという、独特な試練に取り組んでいるアウディ・スポーツ。走行中、高電圧バッテリーは、DTMで採用している高効率のTFSIエンジンと、別のMGUで構成されるエネルギー変換器によって充電される。

Audi Motorsport Communications

「RS Q e-tronのプロトタイプは、12カ月ほどで製作された」と語るのは、アウディ・スポーツのマネージングディレクターで、アウディのモータースポーツ活動の責任者を務めるユリウス・シーバッハ。

AUDI AG

2021年6月30日にニュルブルクリンクでの初公開から、2022年1月1日にサウジアラビアのハイルでの大会スタートまで6カ月しかない。
「このような複雑なプロジェクトに対しての準備期間としては非常に短い。どれだけ強調しても足りないくらいだ。RS Q e-tronは、アウディ・スポーツがこれまでレースに投入してきた技術の中で、最も洗練されたマシンだ」

メーカー支援のモータースポーツ活動におけるプロジェクトリーダーを務めるアンドレアス・ルースは「ダカールは、従来のエンジンを搭載した車両にとってさえ極めてチャレンジングなイベント。我々が取り組むパワートレーンコンセプトにとっては、その試練は、明らかに厳しくなる。シャシーとサスペンションには大きな違いはないが、ダカールという究極のコンディションの中で高いパフォーマンスを出すだけでなく、マシンは軽量化、信頼性のある機能を発揮しなくてはならないため、より多くのコンポーネンツを搭載する。さらに、それらがお互いに完璧に同調し、スムーズに連携しなければならない」と語る。

Audi Communications Motorsport / Michael Kunkel

従来のダカールのマシンには、大きく分けて内燃エンジンとトランスミッションというふたつの要素がある。
「我々のアウディRS Q e-tronでは、フロントアクスルとリヤアクスルに電動モーターが一基ずつ装着するほか、高圧バッテリー、エネルギーコンバーター、もう一基のMGUと、DTMで採用しているTFSIエンジンを搭載している」とルースは説明する。
「例えば、それぞれのコンポーネンツには専用の冷却システムが必要になる。つまり、マシンに必要な冷却システムはひとつだけではなく、インタークーラー、クルーのための空調システムの含め、6つ必要になるのだ」

このような複雑な車両では、パッケージングも大きな課題のひとつとなる。
「すべてのコンポーネンツを搭載するために、cm単位での調節をしなくてはならなかった」とルース。これは、サービスでの簡便さを犠牲にすることにもなる。
「例えば、フロントアクスルのデファレンシャルを交換するには、今の段階ではまだかなりの時間がかかる。ダカールではより早く行えるようにしなくてはならないし、この点は時間という壮大なプレッシャーの中で現在我々が取り組んでいる課題のひとつだ」

Audi Communications Motorsport / Michael Kunkel



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