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WRCサルディニア:オジエ「先頭走行のサルディニアで勝つことはそうできるものではない」イベント後記者会見

©Toyota Gazoo Racing WRT

WRCラリーイタリア・サルディニアのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。オジエは先頭走者でありながら、トヨタ・ガズーレーシングとして初めてのサルディニア勝利を果たした。新ステージでの対応力の高さがその後の展開につながったことを要因に挙げながらも、出走順ルールを乗り越えての勝利を誇らしく語った。

●WRCイベント後記者会見 出席者

Jaanus Ree/Red Bull Content Pool


セバスチャン・オジエ=SO(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
エルフィン・エバンス=EE(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
ティエリー・ヌービル=TN(ヒュンダイ・モータースポーツ)
ヤリ‐マティ・ラトバラ=J-ML(トヨタ・ガズーレーシングWRTチーム代表)

Q:トヨタ勢がついにラリーイタリア・サルディニアを制した。おめでとうセバスチャン、気分はどうか
SO:信じられないような週末だった。ここでトップ争いができるとは予想していなかったよ。27ポイント獲得できたのは本当にいい気分。前戦からの間、テストで取り組んできたことがあった。ポルトガルでは思うような速さが出せなかったので、自分の理想に近く、よりポテンシャルが出せるように戻ってうれしい。先頭走行でスタートするサルディニアで勝つなんて、そうそうできることではない。存分に祝っていい成果だね。

Toyota Gazoo Racing WRT

Q:先頭走行でありながら、見事なパフォーマンスだった
SO:ターゲットどおりだった。ドライコンディションだったから、最初はかなり苦しめられた。こんな時にできることは、自分のすぐ後ろを追ってくるライバルだけに専念することだ。ライバルよりも速さで上回っていればすでに目的は達成したことになるし、そこから先はちょっとしたボーナスだ。デイ1の目標にしていたのは、エルフィンとティエリーだった。もちろん、オィットの速さは異次元だったが、彼の走行順を考えれば当然だ。

Q:金曜日はよかったが、土曜日は状況が変わった
SO:デイ2は自分たちは強かったが、同じリスクではなかった。デイ1は、走行順に対応するリスクを負わなくてはならなかった。デイ2は力強く戦えたし、オィットがトラブルに遭ってからは自分たちにも首位が視野に入ってきた。それまでとはまったく違う戦いになったよ。確実に勝つためにクレバーに徹することに努め始めた。最後のプッシュはパワーステージで、ウォータースプラッシュを越えようとした時に今回唯一のトラブルに遭った。実は、かなり危ない状況だった。ひどいミスファイアで5〜6秒をロスした。チェックしなくてはならず、これでパワーステージでのトップタイムを逃したかもしれない。でも、ここで27ポイント獲れたのはいい気分だよ。

Q:一番大変だったチャレンジは何か
SO:サルディニアは、とても美しい道に見えるし実際そうなんだけど、2回目の走行ではマシンにとってすごくラフになる時がある。クレバーにならなくてはいけない。それでも、このラフコンディションにはあまり強くないタイヤで走っていたので、そのことに留意し続けなくてはならなかった。少ししかないソフトタイヤでやりくりしなくてはならなかったが、あのタイヤはこの路面にすごく合っていた。WRCで簡単に勝てるラリーなんてないよ。

Q:エルフィン、ウォータースプラッシュで止まった時のことを話してくれないか
EE:エンジンが反応せず、大量の水が入ってしまったので、永遠に解決しないかのように見えた。気持ちの奥では最終的には動くんじゃないかと思っていたのだが、なかなかその時はこなかった。そうしたら勢いが出てきて、どちらかには動けそうだと見えてきた。それでも止まったままだったが、それがどれくらい時間が経っていたのか分からない。20秒かもしれないし、40秒だったかもしれない。判断が本当に難しかった。できる限り速くフィニッシュしようと、ちょっとパニックになったよ。

Q:その後は状況は落ち着いた?
EE:その後はすべて順調だった。でも、自分の順位がどんな状況になっているのか、分からなかった。

Toyota Gazoo Racing WRT

Q:初日は少し苦戦していたが、状況は改善していった
EE:金曜日は本当に滑り出しが悪く、マシンのフィーリングはポルトガルの時とは正反対だった。今回は、スタートはあまりハッピーではなかったね。どうにかしてマシンを改善したかった。ポルトガルでは、改善できると感じた部分があった。自分たちがテストで使った道では小さな改善策を見つけたが、でも道と繋がっている感じを得ることができなかった。難しかったよ。何かをしなくてはならなかった。でも、それだけが理由じゃなかった。自信も打ちのめされた。ここで速く走るためには自信が必要だ。でも、走りやすさを感じられるようになってからは、状況はどんどん良くなった。

Q:最終日の午前はとても強かった
EE:ティエリーから順位を守らなくてはならなかった。ティエリーはビッグプッシュをかけてくるだろうと思ったし、新しいステージでは少しリスクを負うことを覚悟すれば大きな差をつけることができることもある。後からなら、パワーステージのためにタイヤをセーブしておくべきだったかもしれないと言うのは簡単だ。でも、一気に差を詰められないようにするために、とにかく順位を守らなくてはならなかった。

Q:ティエリー、いろいろあった週末だった
TN:そうだね、エルフィンの言葉はそのまま、自分にとっても同じだ。いいフィーリングが得られていなかったし、速さをつかんだり、自分のすぐ後ろを走るセブやオィットをおさえることに少し苦戦していた。マシンをより速くすることと自分のスタイルに専念して、2ループ目の走行では速さが出たが、1回目の走行ではかなり苦戦した。残念なことにエルフィンも速さを出すことができていた。自分は力不足だったし、ステディに終えてパワーステージで攻めるしかないと気づいた。

Q:結果的には思うとおりになったか
TN:初日は2回パンクがあったので、これで8本しかないソフトが2本なくなった。(最終日は)新品ではないソフトで走るしかなかった。パワーステージでいい順位を獲りたかったので、今回で満足できることはそれだけだね。

Hyundai Motorsport GmbH

Q:次のサファリに向けて、チームはマシンをどのようにすることができるのだろうか
TN:分からない。ポルトガルでは明らかにマシンの動きはよかった。何度もテストをやったし、すぐにセッティングが合うことを願うよ。サファリは、みんなにとって新しいイベントで興味深い冒険だ。本当にチャレンジングなラリーになるだろう。楽しみだよ。

Q:ヤリ‐マティ、見事な週末だった
J-ML:大成功の週末だった。今回は、ポディウムにひとり上がることができるかどうかと考えていたので、本当にいい結果だ。ここ何年もヒュンダイはここが強かったし、トヨタ・ガズーレーシングとしてはここで勝ったことがなかった。トヨタが最後にイタリアで勝ったのは、1994年だ。我々のドライバーたちは素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたし、マシンは、ウォータースプラッシュまでは本当にいい動きをしていた。エルフィンがストップして、エンジンが動かないのを見た時は、心臓発作が起きそうになったよ。幸い、動き始めたが、そしたらセブも同じ問題に遭った。ウオータースプラッシュ対策を行わなくてはならない。

Q:しかし、カッレに関しては悔しい週末になった
J-ML:あらためて、エルフィンとセブ、そしてとてもいいドライブをしたタカにも心から感謝を伝えたい。カッレは苦戦した。これで3戦連続で厳しい内容になっている。自分は5戦連続でそんな経験をしたことがあるので、カッレには問題ないと伝えた。彼には速さはあるし、トラブルまではパフォーマンスもよかった。パワーステージでは速さも見せた。彼は若い。これから、どうすればマシンをより強くできるか、調査をしていくよ。

記者席からの質問
トム・ハワード(オートスポーツ、英国)
Q:オィットがトラブルに遭った後、マシンが壊れることを心配したか

TN:いや。土曜日を振り返って彼がヒットした石の大きさを見れば、どんなマシンでも耐えられるとは思えない。サルディニアではトヨタよりも小さなダメージで苦戦したのは事実かもしれない。ここは取り組むべき点かもしれないが、チームは新しいマシンにより重点を置いているし、新しいマシンで強くなるために何を解決しなくてはならないか、把握している。

マキシム・マレ(レキップ、フランス)
Q:過去、トヨタのベストリザルトををマークしているが、今はチームボスとしてトヨタのサルディニア初勝利をマークした。その気分は

J-ML:トヨタ・ガズーレーシングで勝てたことは最高の気分。セブも言ったように、このイベントは道がとても美しい。自分もドライバーとしてそのことを分かっている。でも、非常にラフで過酷だし、ドライバーにとっては気温も高い。本当に最高の気分だよ。

Toyota Gazoo Racing WRT

Q:WRC52勝の中でも、スタート前に予測していたことを考えれば今回の勝利は順位としてどのあたりにランクできるか
SO:確かに、スタート前にも自分は言っていた。今回、自分がどう戦えるのか分からない、家にいた方がいいと。終わってみれば、ここに来たのはいい考えだったね。それぞれの勝利に順位をつけるのは難しいが、サルディニアを先頭走行で勝てたのは、そうできることではない。もし勝利に順位をつけるとしたら、かなり上の方になるだろうね。特別な勝利だが、それでも、正直、厳しい戦いだった。こうしたルールがあるので、同じ話になってしまうが、あまりにも差がありすぎると、トップドライバーが一丸となって戦うことができない。このスポーツにとって残念なことだが、今に始まったことではない。自分たちはこのルールに対応しなくてはならないし、自分たちがやり遂げたことには心から誇りを持っていい。

Q:ここで表彰台に上がる、あるいはそれ以上の結果を出すことが可能だという確信を持つために、金曜日の最初の2ステージはどれくらい重要だったか
SO:あのステージは、自分にとって後押しになったと信じている。みんなステージを知っている。動画を観て研究するからね。でも、新しいステージでは、自分のペースノートを信用できなくてはならないし、少しリスクも負わなくてはならない。おかげでラリーの最初から、とてもハードにプッシュすることができた。手応えのある滑り出しができて、その後は(デイ1の)おなじみのステージでは少し苦戦したね。

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