WRCクロアチア:初日首位はヒュンダイのヌービル。勝田は9番手、新井はリタイア – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCクロアチア:初日首位はヒュンダイのヌービル。勝田は9番手、新井はリタイア

©HYUNDAI

WRC第3戦クロアチアは、4月23日(金)の競技初日を終えてヒュンダイのティエリー・ヌービルがトップ。2番手にはトヨタのセバスチャン・オジエ、3番手には同じくトヨタのエルフィン・エバンスがつけている。首位ヌービルを10秒以内の差で追うのはオジエとエバンスのふたりのみ。少し離れてヒュンダイのオィット・タナックという展開となった。

この日行われたのは、4SSを2回ループする8SS、SS走行距離99.82km。ザグレブ南西部の丘陵地帯を舞台とした難関ワインディングロードが待ち受ける。ステージはいずれもハイスピードだが、路肩の泥や砂利が掻き出されやすいセクションがあるほか、集落も通過するため、そのたびに路面が大きく変わっていく。トヨタ勢はソフトコンパウンド4本+ソフト2本、ヒュンダイ勢とMスポーツ勢はハードコンパウンド4本+ソフト2本というタイヤ選択。そのうちタナックは5本ハード、同じくヒュンダイのクレイグ・ブリーンはソフト4本+ハード2本というチョイスで最初のセクションへと向かった。

TOYOTA


SS1は6.94kmと、この日では最も短いステージ。天候は安定しており、スタート時の気温は11〜12℃と、前日のシェイクダウンとほぼ同じコンディションとなった。選手権ランキング首位、トヨタのカッレ・ロバンペラがコースオープナーとしてアタックするが、5.4km地点でまさかのコースオフを喫してしまった。ステージ終盤の右コーナーで大きくアウトに外れ、横転しながら林の中で停車。クルーふたりにケガはなかったものの、ヤリスWRCは大きなダメージを受けており、ラリー続行を諦めることとなった。後続のドライバーより、中間スプリットタイムでは好タイムをマークしていただけに、残念な結果となってしまった。このSS1を制したのはヌービル。2番手にタナックが続き、ヒュンダイ勢の1-2でラリーは幕を開けた。

ヌービルはこの日最長となるSS2(23.76km)でもベストタイムをマークし、着々とリードを築いていく。SS3ではオジエとエバンスが同タイムで一番時計を刻み一矢報いるも、SS4は再びヌービルが制した。結果、午前中の4SSを通じてヌービルはリードを保ち続けることに成功している。SS4までを終えて、総合トップはヌービル、以下エバンス、オジエ、タナックと続く。また、SS4では総合7番手を走っていたトヨタの勝田貴元がステージ後半のジャンクションでオーバーシュート。SSは走り切ったものの左後輪がリム落ちしてしまった影響で大きくタイムロスし、順位を総合9番手まで落とすこととなった。

サービスを挟んで午後のセクション。ここでは上位陣のほぼすべてがハードコンパウンド5本を搭載。ヒュンダイのピエール‐ルイ・ルーベはハード6本、Mスポーツのアドリアン・フルモーは午前中と同じくハード4本+ソフト2本という組み合わせで午後のステージに挑む。

M-SPORT


SS1の再走となるSS5では、先頭走者のヌービルがハーフスピン。順位やタイム差に大きな影響はなかったが、60台以上が走行した道のコンディションは大きく悪化しており、各ドライバーともSS1より大きくタイムを落としての走行となった。ここでベストタイムをマークしたのはタナック。1秒差でヌービルが続き、SS1と同じくヒュンダイ勢が上位を占める形となった。

SS6はオジエとエバンスのトヨタコンビがSS1-2。これで総合2番手のエバンスは、首位ヌービルとの差を5.2秒にまで詰めることに成功、オジエもヌービルの9.4秒差と10秒圏内に入ってきた。勝田はこのステージ序盤でスピンを喫し、リズムを失うことに。順位に変動はなかったものの、このSSだけで1分近いロスを喫してしまった。またこのSS6では、総合25番手につけていた新井大輝(フォード・フィエスタ・ラリー2)がコースオフを喫して戦線離脱を余儀なくされてしまった。マシンをプリペアしたストール・レーシングはSNSで、新井は背中の痛みがあるため医師の診断を受けること、2日目の再出走はないと伝えている。

SS7、SS8ではオジエが連続ベストタイムをマーク。チームメイトのエバンスをSS8で逆転し、0.3秒の僅差ながら総合2番手に浮上してみせた。この結果、総合首位のヌービルと2番手オジエの差は7.7秒。ヌービルと3番手エバンスの差は8.0秒と緊張感の高い戦いが続く。4番手のタナックはヌービルから31.9秒差と、やや差が開いている状況だ。勝田はSS6でのロスが響き2分23秒2差の9番手から明日以降の浮上を狙う。

Red Bull


競技2日目はSS9〜SS16の8SS。4SSを2回ずつ走行する構成で、SS距離は121.82kmというラリーの山場だ。序盤の2SSがそれぞれ20km強あり、ここでプッシュできるかどうかでタイムに大きな差が生まれそうだ。オープニングステージのSS9は24日の日本時間15時29分スタート。

WRCクロアチア SS8後暫定結果
1. T.ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC) 55:36.8
2. S.オジエ(トヨタ・ヤリスWRC) +7.7
3. E.エバンス(トヨタ・ヤリスWRC) +8.0
4. O.タナック(ヒュンダイi20クーペWRC) +31.9
5. C.ブリーン(ヒュンダイi20クーペWRC) +54.8
6. A.フルモー(フォード・フィエスタWRC) +1:14.7
7. G.グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC) +1:21.7
8. P-L.ルーベ(ヒュンダイi20クーペWRC) +1:31.5
9. 勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC) +2:23.2
10. M.オストベルグ(シトロエンC3ラリー2) +3:17.6



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