WRCアークティック:タナック「WRCとしてふさわしいラリー」イベント後記者会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCアークティック:タナック「WRCとしてふさわしいラリー」イベント後記者会見

©Kalle Parkkinen / Arctic Rally Finland

WRCアークティック・ラリーフィンランドのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。スウェーデンの代替として急遽、フィンランド初のWRCウインターラリーとして開催されたアークティック。豊富な雪と高い速度域にテクニカルなセクションも組み合わさる新しい性格のラリーを、勝者のタナックは絶賛した。

●WRCイベント後記者会見 出席者

Kalle Parkkinen / Arctic Rally Finland

オィット・タナック=OT(ヒュンダイ・モータースポーツ)
カッレ・ロバンペラ=KR(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
ティエリー・ヌービル=TN(ヒュンダイ・モータースポーツ)
アンドレア・アダモ=AA(ヒュンダイ・モータースポーツ、チーム代表)

Q:オィット、今季初勝利で、この週末は間違いなく勢いがあった。アークティックでの経験を満喫したか
OT:大いに満喫した。素晴らしい経験だったし、コンディションも最高だった。ステージは過酷なんてものじゃなかった。高速だが、トリッキーな場所もあった。全部含めて、今回のチャレンジは、間違いなくWRCとしてふさわしいものだった。

Q:テストセッションは気温はマイナス30度まで下がったが、この週末は天候が変わった。この違いは感じたか
OT:よかったよ。ステージの間、マシンの外に出ていられたからね。もしマイナス30度だったら、あまり楽しめなかったかもしれない。

Q:パフォーマンスやタイヤの反応に関しての違いは
OT:語るのは難しいね。プレイベントテストでは、路面もコンディションもまったく違っていた。だから、それと比較をするのは難しかった。エストニアで小さなイベントに出たが、コンディションは違っていた。冬は、新雪ではコンディションがすごく変わるので、自分たちがここに入ってレッキをした段階で、状況は変わると理解した。この道では1カ月前にもラリーが行われていたしね。間違いなくトリッキーな場所もあったが、WRCは厳しくなくてはならないし、最終的にはより楽しくなった。

Q:COVID-19の問題が続く中、カレンダーに新規イベントが増え、新しいチャレンジも出てくる。見たことのないステージで、新しいペースノートを作らなくてはならない。こうした新しいチャレンジは好きか
OT:こうしたことで、戦いがよりオープンになる。今回、ここに来た段階で、自分たちはどんなイベントなのか、どうなるのか、誰が速いのか、セッティングは合うのか、タイヤはどう管理していけばいいのか、まったく分からなかった。新しいイベントを迎える時は、本当に何も分からないし、ドライビングしながら学ばなくてはならない。状況に迅速に対応しなくてはならないし、たぶん、ラリーの最初の段階で差をつけることもできるのだと思う。イベント中は、誰もが学びながら対応するので、その差はどんどん小さくなり始めるからね。自分としては、最初に相応の差をつけて、そこからマージンを広げていかなくてはならないと分かっていた。それが実践できた。

Q:カッレ、2位フィニッシュおめでとう。そして、次のイベントは選手権リーダーとして迎える。20歳のいま、史上最年少記録だ。このリザルトに関して今の気分は。もっと上を期待していたのでは
KR:ありがとう。正直、かなり難しい週末だった。もちろん、今回これだけのポイントを獲得できてハッピーだ。オィットも言ったように、最初のプランは最初のステージから速さを出すことだった。それにも試みたが、最初のステージでは完璧にうまくはできず、タイムもロスした。そこからは、常にできる限り速く走ることだけに努めた。でも、週末を通してマシンに苦戦していたし、完璧ではなかった。相応のペースを出すことに何らかの難しさがあった。それでもいい週末だった。

Kalle Parkkinen / Arctic Rally Finland

Q:金曜日に何か変更を行ったが、いい方向に向かなかった。それはなんだったのか話してもらえるか
KR:そのことについては話さないよ。大したことではないんだ。セッティングに大きな変更を行うことは、いつでも多少リスクを伴うものだ。昨日の午後のループと今日はよくなったし、かなりOKになった。それでも完璧ではなかったが常によくなっていったし、最終的に挽回できたのでよかった。

Q:最終日はティエリーがプレッシャーをかけてきた。自分では感じていたか
KR:そうだね。ティエリーと戦うことができたのは、かなり興味深かった。特に昨日のループでの彼のタイヤマネージメントは本当にクレバーだった。

Q:最終ステージの走りは見事だった。あのパワーステージではかなりリスクを負ったのか
KR:そうだね。というよりも、週末を通してかなりハードにプッシュしていた。マシンは完璧ではない部分がたくさんあったし、タイムをロスしたところもあった。だから、ほかのところで取り戻すためかなりプッシュしなくてはならなかった。最後の1本では、かなり大きなリスクを負った。もちろんチームのためにポイントも持ち帰らなくてはならなかったから、ギリギリは超えなかったけれど。ラリーを終えたくはなかったが、プッシュも必要だった。
OT:最後のステージでは、かなり才能を発揮したと思うよ。ステージの中盤には、雪壁に当てていくところがたくさんあった。そこで才能を思い切り発揮したんだよ!

Q:ティエリー、3位おめでとう。今日の2位争いは素晴らしかったが、届かなかった。3位で終えて今の気分は
TN:ほとんどの場合なら、パワーステージ争いでは勝ち組に入ると言えるところだろう。でも、正直、今日はそうは言い難い。ステージはたぶん、ほかのステージほどは厳しくはなかったのかもしれず、高速コーナーもいくつかあったが、リスクを負えば、タイムも出せる。たぶん、自分は2位を獲れたようなリスクは負っていなかったと思う。でも、一方で、今回は自分たちにも、チームにとっても重要だった。モンテでは、マニュファクチャラーズ選手権でかなり差をつけられてしまったので、ポイントを獲らなくてはならなかった。だから、最終的には3位で満足している。両選手権でポイントを持ち帰ることができたのは、いい流れだ。これで、ドライバーズ選手権では2番手につけたので十分だと思うよ。

Q:昨日の最終ステージは素晴らしいタイヤ戦略を見せたが、あのステージはもっと速く走れたと言っていた。それでも素晴らしいタイムだったが
TN:自分はもっと速くなれると常に思うものだが、一方で、あのステージ全体で見れば、うまくタイヤをマネージメントできたのだと思う。クリーンな走りができたし、正直言えば、ステージ自体も基本的には楽しめた。自分のラリーマシンで今回ほどドライビングを楽しめたのは久しぶりだった。マシンの動きがとにかくよくて、何も文句はなかった。自分の思うとおりのことをしたし、とにかく走りやすかった。本当にチャレンジングなステージだったが、金曜日の夜から、すでにそのようなステージで開幕した。自分たちは、うまくやりきった。土曜日の午前中は、コミュニケーションの問題でたぶん5〜10秒近くはロスしたと思うが、その日の午後や今日は少しよくなった。まだ改善しなくてはならないところはあるが、基本的には最終リザルトには満足している。

Q:新しいコ・ドライバーとはまだ2戦目だが、コミュニケーションの問題とはどんなことか
TN:基本的には、車内でのコミュニケーションが以前とは違う。前のコ・ドライバーとはうまくやれていたが、マルティンはフランス語でコールするけど、母国語はフランドル語(ベルギー北部の言語)なんだ。だから、すでに会話が難しい時もある。前のコ・ドライバーの声で作ったノートをインターコムを通して聞くと、例えば、50と70が聞き分け難い時がよくある。だから、躊躇してしまう。そのために危ない場面も何度かあったが、自分が実際よりも遅くコーナーを判断したからタイムをロスしすぎたところもある。最終的には、それが重なって2位に届かなかったかもしれない。でも、走りとしてはトラブルもミスもなかったし、マシンの動きもよかった。チームが素晴らしい仕事をしてくれた。イベント前にたくさんテストをする機会を与えてくれて、それが最終的に実を結んだ。オィットが1位、僕らが3位で、マニュファクチャラーズ選手権での差も詰めることができた。

Hyundai Motorsport GmbH

Q:隣に座っているチームボスは、ラリーモンテカルロの後に、チームには、もっと意欲を高めてもらいたいと言っていたが
AA:まず、自分に対して意欲を高めなくてはならないと言ったよ。

Q:このことはチームに影響を与え、みんなのモチベーションを高めることになったと思うか
TN:自分のボスとは、もう何年か一緒に仕事をしているが、より深く知り始めている。慎重に説明しなくてはならないが、モンテカルロの後の指示は、最終リザルトと比べれば少しやりすぎたかなと思う。僕らはコ・ドライバーが変わったし、それ以上を期待することはできなかった。オィットも内容の悪い週末になったが、それでもパフォーマンスはあったし、2台がポディウムに上がれていたかもしれない。素晴らしい速さを見せたステージもあったが、残念ながら最終リザルトにつなげることができなかったが、まだシーズンの初戦だった。今は挽回したし、それを見せられたと思う。アンドレアのおかげで、適材適所のスタッフを配置することができて、いい流れに戻った。前にも言ったが、マシンで過ごす時間をたくさん作る機会を与えてくれたし、それが実を結んだ。チームのみんなに感謝しなくてはならない。でも、まだ2戦が終わったところだし、第3戦も控えているので、今回よりもさらにいい結果を出さなくてはならない。

Q:アンドレア、今回はチームが優勝と3位、おめでとう。今回は、ハッピーになれたか
AA:ノーと言ったらウソになる。ラリーの後、何がうれしかったかといえば、みんなが昨年、エストニア以降に巻き返しを図りマニュファクチャラーズタイトルを獲得した時と同じアプローチをとれたことだ。違う理由で、総合的にドライバーたちにはドライバーズ選手権を戦わせてあげることができなかった。パフォーマンスの面ではないが、自分たちがとるべきアプローチと、何よりも自分自身に疑問があった。今回は本当に覚悟を持って、今までの方法でイベントの準備を進め、やらなくてはならない方法で進められたと思う。また、モンテカルロの後、自分たちにはリラックスすることも必要だった。スタッフの中には、疲労困憊の者もいたからだ。昨年のエストニア以降、スタッフはみんな必死に働き、長い間、家に帰らず家族や子どもたちにも何カ月も会えなかった。時には、こうした視点で物事を管理しなくてはならないこともある。

Q:クレイグ(・ブリーン)はポディウムを狙える位置にいたが、戦いから脱落したようだ。今回の彼の内容をどう評価するか
AA:自分は、公の場ではドライバーのことを批判することはない。だから、確かに昨日は少し拍子抜けしたところもあった。しかし、カッレ、オィット、ティエリーは、今のこうしたマシンでのパフォーマンスレベルを見せ付けることができていたし、こうした短めのラリーは過酷なもので、マシンに深い知識を持ち、最後のコンマ1秒まで戦うことができるようにマシンを使い尽くし続けなくてはならない。ドライバー間の差がコンマ1秒差だったステージを思えば、ティエリーは、ちょっとマシンがリフトしただけでタイムをロスしたこともあったと言っていた。クレイグがあのマシンをドライブしたのは、昨年のエストニア以来だ。テストは1日。もちろん、彼は自分以上にイタリア人っぽいところがあると思う。プレッシャーを感じていた。私からではなく、ポイントを持ち帰らなくてはならないという責任感だ。でも、一方で、速くなくてはならない、それは簡単なことではないと思う。チームに関して私がハッピーだと言うのは、みんなが期待どおりにしっかり対応してくれたからだ。データをチェックして、どこが問題なのかを理解することに努める。なぜ問題があるのか、そしてそれを解決しようとする。みんながそのことに集中した。それこそ、私がスタッフに期待していた対応だ。

記者席からの質問

エリオット・ウッド(Dirtfish.com、米国)
Q:チームメイトと同じようにアンダーステアとバランスの問題はあったのか、ヤリスは土曜日よりも日曜日の方がドライブしやすかったか

KR:チームメイトがそれほど大きな問題を抱えていたのかは知らないが、バランスはみんな似たようなものだと思うし、たぶん彼らは違う方法で対応していたのだと思う。その点に大きな不満は持っていなかったと思うけど。マシンは、日曜日は少しよくなったが、完璧ではなかった。

Q:マルティンとのコンビネーションを改善するために、クロアチアまでにどのようなプランを立てているのか
TN:マルティンは、今回のラリーの前から、すでにフランス語の勉強を始めているし、オンボード動画を見れば、違いがハッキリ分かる。もちろん、彼はさらに勉強を続ける。でも、自分が一番感心したのは、彼の落ち着きだ。いつも物静かで、とてもリラックスした感じを受ける。彼は自分の隣にいいドライバーが座っていることも分かっているが、それでもモチベーションが高く、何か新しいことがあると、自分をさらに後押ししてくれる。自分たちは、ボスの母国であるイタリアのラリーにR5(ラリー2)マシンで参戦する予定で、そこでマシンでコンビの作業を行う経験を積む。クロアチアは、今回よりもよくなっていると確信しているよ。

エリック・デュパン(ベルガ・プレスエージェンシー、ベルギー)
Q:今回の優勝とダブルポディウムは、自分とチームにとって、ヒュンダイにWRC参戦を続けることを納得させるうえでどれくらい重要か

AA:こうした質問には笑ってしまうのだが、リスペクトはするよ。話は長くなるが、自分はランチアでたくさん勝利を重ね、タイトルも獲ったが、プログラムはなくなってしまった。アルファロメオでは、タイトルは逃したがプログラムは続いた。選手権に残るかを決めることは、勝つか負けるか以上に多くの要素が絡む。自分は、将来のWRCでのヒュンダイの参戦継続に関しては一切、心配はしていない。いずれにしても、何百万ユーロも投資をしている上層部の戦略は、木曜日に飛行機に乗っている時にチェアマンから電話をもらって「このラリーに勝てなかったら、全部撤収するからな」というようなものではない。

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