WRCフランス:ヒュンダイのチーム代表アダモ「勝ったのはティエリー、ヒュンダイが勝ったのではない」イベント後記者会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCフランス:ヒュンダイのチーム代表アダモ「勝ったのはティエリー、ヒュンダイが勝ったのではない」イベント後記者会見

©Hyundai Motorsport GmbH

WRCフランスのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。最終ステージでラリーリーダーのエルフィン・エバンスがパンクを喫したことで、ヒュンダイにとって課題のターマック戦での勝利を手にしたティエリー・ヌービル。チーム代表のアンドレア・アダモは、エバンスとヌービルの激闘を讃える一方で、チームとしての課題が克服されていないことを認めた。

●WRCポストイベントカンファレンス出席者

Red Bull


1位:ティエリー・ヌービル=TN(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
1位:ニコラ・ジルスール=NG(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
2位:セバスチャン・オジエ=SO(シトロエン・トタルWRT)
2位:ジュリアン・イングラシア=JI(シトロエン・トタルWRT)
3位:エルフィン・エバンス=EE(Mスポーツ・フォードWRT)
3位:スコット・マーティン=SM(Mスポーツ・フォードWRT)
アンドレア・アダモ=AA(ヒュンダイ・シェル・モビスWRTチーム代表)

Q:ティエリー・ヌービル、WRCキャリア10度目の優勝だ。信じられないような結末を迎えたが、今の気分は。
TN:いいよ。クネったり曲がったりが多くてタフな週末だったが、悪くない。初日から速さが出せたし、その後は浮き沈みが激しかった。全体的な話としては、フィーリングはかなりよかった。特に土曜日だね。エルフィンも、素晴らしい走りをしていたことは注目に値する。彼らは勝者となるのにふさわしい戦いをしていた。たぶん、誰よりもね。でも、ラリーで勝つためには、フィニッシュしなくてはならない。それが、このゲームだ。

Hyundai Motorsport GmbH


Q:金曜日はフラストレーションが溜まったということか。
TN:いわゆるフラストレーションというのはなかったが、マシンの中でのフィーリングは最高ではなかった。でも、タイムは出ていたし、ポテンシャルがあることは分かっていた。だから、少し残念だった。でも、それからは自信が戻ってきて、もっとハードにプッシュできた。

Q:土曜日のロングステージは見事だった。
TN:信じられなかったよ。でも、今日の朝はエルフィンが取り戻してきた。自分もいいステージになったし、ペースノート通りだった。ニコラは今回、素晴らしい仕事をしてくれた。おかげで、充分な自信が得られた。フィーリングはOKだが、こんなに大きな成果が上がるとは予想していなかった。

Q:最終日の朝、最初のステージを終えた後のタイム差について、どう思ったか。
TN:エバンスが、正面から応戦してきた。11秒をひっくり返すことはできなかっただろう。

Q:今年もエキサイティングなシーズンになっている。今の感じはどうか。
TN:選手権リーダーが、頻繁に替わっている。本当にタイトだ。セバスチャン(オジエ)との差は2ポイントしかないし、オィット(タナック)とも5ポイントだ。首位を守る仕事は難しくなるだろう。アルゼンチンでは、走行順はベストではない。もし雨が降れば、チャンスもあるだろう。

Q:ニコラ・ジルスール、コ・ドライバーには大仕事だったのでは。
NG:もちろん、コ・ドライバーにとっては最も難しいラリーだ。自分も苦戦した。ティエリーに、不思議なノートをコールしたこともあった。例えば、ある所でターン・ライト(右に曲がる)とコールしたが、2人もそこは左コーナーだって分かっていたところだった。

Hyundai Motorsport GmbH


Q:今日最初のステージの後、自分はどんなモードに入っていたか。
NG:エルフィンは、本当に感動的な走りだった。昨日の展開に対して、しっかり反応した。心からリスペクトするよ。午前はコンディションが冷えていてコンペティティブにはなりきれなかったが、午後、気温が上がってからはよくなった。この点については改善しなくてはならない。

Q:セバスチャン、高ポイントを獲得した。でも、いつものセブ・オジエではなかった。ペースが出ていなかったが、なぜなのか。
SO:分からない。もちろん、最終的なリザルトは自分たちのパフォーマンスを上回っていた。今回は具体的な目標があったが、そこにはほど遠い。ベストで戦う速さがなかった。1本もステージウインを獲れなかった。自分にもチームにとっても、異常事態だ。何が悪かったのかを理解するためには、しっかり分析しなくてはならないが、この週末を終えて19ポイントを獲れたのはとてもポジティブなことだ。

Red Bull


Q:それでも、いい場面もあった。最終日の午前は、順調に滑り出したのでは。
SO:そうだね、今回、自分たちが少しよかったステージが2本あった。それでも、これでは足りなかった。クリーンなセクションではマシンは強いはずだったが、そうはならなかった。戦い続け、絶対にあきらめなかったことが、高ポイントにつながった。エルフィンとスコットは今回、勝つにふさわしい走りをしていたし、オィットもとても強かった。WRCは、これまでにないほど接戦になっている。

Q:ジュリアン・イングラシア、走行順が先頭ではなかったが、高ポイントを獲得した。これもポジティブなのでは。
JI:その通りだ。前を向かなくてはならない。自分たちはアルゼンチンで勝ったことがないのでビッグチャレンジになるが、それが目標だ。4戦を終えて、みんなが0からのスタートとなる。今回の不調だった週末は、自分たちのモチベーションを高める。

Q:エルフィン、素晴らしいペースだったし、今朝は脅威のステージタイムを叩き出した。スタート前、何を考えていたか。
EE:何も考えていなかった。たぶん、脳を空にしていたのだと思う。自分に起きたことには、とても落胆した。昨晩のことがあり、今日の朝は絶対に追い付きたいと思った。自分たちのチャンスが常に大きいとは考えていなかった。

Red Bull


Q:最終日の朝は間違いなく限界まで攻めていた。昨晩のあのタイムは、どういうことなのか。
EE:分からない。ヒドいステージだったという感じはなかったが、あんなにタイムをロスしたことに驚いた。とにかくそのことを忘れて、今朝は集中したかった。それができた。

Q:そして悪夢に襲われた。何が起きたのか。
EE:難しい、バンピーなステージだった。あっという間にひっくり返る状況だったから、リスクを負わなくてはならなかった。10秒は大差とはいえない。何が起きたのかは、よく分からない。自分の感覚としては、道の真ん中にいて石をヒットし、直後にパンクの警告灯がついた。まだ11km残っていたので、走り続けることを選んだ。フィニッシュまで3kmのところで、たぶんダメだと思った。少なくとも、ポディウムは守ることができた。

Q:スコット・マーティン、3位はもちろん残念だが、それでも満足できる内容では。
SM:そうだね、ポジティブだし、3位は悪くない。ポジティブに捉えられる要素はたくさんある。シーズンはいい滑り出しができたし、タイムの面では上がっている。コルシカはとても難しい。特に、自分たちはコンビを組んでまだ4戦だからね。ペースノートは全てが正確ではなかった。このラリーは、本当にビッグチャレンジだからね。でも、心からラリーを楽しめた。ポディウムに上がったことには満足できるし、シーズンのこの先も楽しみにしている。

Q:最終日の午前は、信じられないような走りだった。自分も驚いたか。
SM:実は、一番心配していたステージだった。ラリーの他のところとは違うレイアウトだったからね。午前中はナーバスになっていたが、終わって見れば一番のお気に入りになった。昨晩、なぜあれだけ遅かったのか分からないのと同じくらい、あんなに速く走れるとは考えもしていなかった。

Q:エルフィン、自分のキャリアの中でもベストのステージになるのでは。
EE:どうだろうね。タイムの面ではそう見えるね。でも、もっと速く走れたはずだ。あちこちでミスをしていたからね。

Q:アンドレア・アダモ、土曜日はティエリーがラリーをリードするとは思っていたが、チームとしてはそうならないと感じていた。今の気分は。
AA:ハッピーではない、とは言えないが、でもあのパンクがなければ、自分たちは勝てていなかった。この週末、チームは最速ではなかったということを自覚しなくてはならない。ヒュンダイとして勝ったとは思っていない。ティエリーが勝ったんだ。ヒュンダイではない。

Q:今回はビッグバトルになった。ティエリーが勝ったと分かった時の気分は。
AA:正直、負ける覚悟はできていた。自分にも、チームやマシンのパフォーマンスから見ても、確信していた。ティエリーとニコラにミラクルを起こして欲しいとは頼めなかった。彼らは、すでに体力面での限界を超えていたからね。2位を受け入れる準備はできていた。それでも、マニュファクチャラーズ選手権では首位に立っていた。ハッピーだが、自分は現実的な人間だ。パンクがあったから、順位が一つ上がったんだ。

Q:アルゼンチンに向けての自信は。
AA:現実的に捉えている。自分たちは、もっとコンペティティブになる必要がある。走行順で有利なクルーが2組いる。アルゼンチンでは、一切クラッシュが起きて欲しくない。メキシコでチャンスを逃している。コンペティティブになるために集中しなくてはならない。



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