【Martin’s Eye】オーストラリアでWRC100戦目、アンドレアス・ミケルセンに聞く – RALLYPLUS.NET ラリープラス

【Martin’s Eye】オーストラリアでWRC100戦目、アンドレアス・ミケルセンに聞く

©Hyundai Motorsport GmbH

大御所WRCメディア、マーティン・ホームズが、長年の経験に基づく独自の視点で切り込むMartin’s Eye。今季のWRC最終戦ラリーオーストラリアでは、タイトル争いの決着に注目が集まる中、今戦でWRC参戦100戦目を迎えるアンドレアス・ミケルセンに話を聞いた。


ノルウェー出身、29歳のアンドレアス・ミケルセンは、今週のラリーオーストラリアでWRC参戦100戦目を迎える。30歳以下でこの節目を迎えるドライバーは、4人目だ。

IRC(インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ)で唯一2度のタイトルを獲得し、WRCへのステップアップ後は3つのWRCトップチームを経験しているミケルセン。これまでにWRCでは3勝を挙げている。3年前に自身初のWRC勝利を挙げた思い出のスペイン戦を前に、ミケルセンから話を聞いた。

2004年以降、スペインで勝利を挙げたフランス人以外のドライバーは2人しかなく、ミケルセンはその1人だ。2015年のスペイン戦、最終ステージでラリーリーダーになったミケルセン。フォルクスワーゲンのチームメイト、セバスチャン・オジエが首位走行中にクラッシュするという、非常に珍しい状況だった。

「そう、最終ステージだった。自分はヤリ‐マティ(ラトバラ)と2位争いをしていた時に、オジエがクラッシュした。スペインは、大好きなラリー。それまでもターマックでベストタイムもマークしていたからね」

現在、ヒュンダイから参戦するミケルセンは、2年契約の1年目が終わろうとしている。
「来年も契約は残っているし、全て順調。フルシーズンを戦う計画だからね。でも、ようやくスペイン戦で待っていたマシンのアップグレードが行われる。新しいパーツ、ディファレンシャルを装着し、ロールバーも格段に剛健になる。昨年のスペインからずっと待っていた変更だ」

フォルクスワーゲンのワークスドライバーを務めていたミケルセン。しかし、WRC3連覇を遂げたチームは、2016年にシリーズからの撤退を電撃発表。最後の勝利を飾ったのは、ミケルセンだった。その後、シトロエンから3戦出場し、ちょうど1年後にヒュンダイからの参戦が決まった。
「ヒュンダイからは、それよりもかなり早い段階でオファーを受けていた。2017年のラスト3戦からヒュンダイで参戦するという魅力的な内容だった。シトロエンは、その先のプランについて確約を出せる状態ではなかった。ヒュンダイのパフォーマンス(ティエリー・ヌービルがベストタイム、優勝を増やしてきていた)を見れば、決断するのは簡単だった」

ある意味で、アンドレアス・ミケルセンは、WRCの中でも自信にあふれたドライバーの1人と言える。2019年も、ヒュンダイのWRCチームからの参戦契約が残っている。だが、その一方で不安も抱える。ヒュンダイからのフル参戦初年は、パフォーマンスを結果に結びつけることができていなかった。スペイン戦を前に、ミケルセンは現状について次のように説明していた。
「このところの自分のパフォーマンスは、自分が思い描いていた内容ではないし、少し運に恵まれていない部分もある」

シトロエンを離れヒュンダイに加入したのは、正しい判断だったのだろうか。
「もちろんだ。昨年はシトロエンからの参戦でいいラリーができて、それがヒュンダイ加入のチャンスを広げた。ヒュンダイのマシンは、グラベルではすぐに慣れることができた。グラベルでは、すごくペースをつかんでいる手応えがあるが、ターマックでは今年はかなり苦戦している。まだ、本来の走りができていない。自分はターマックが好きではないというわけではない。自分はターマックが大好きなのだが、このマシンではドライビングの仕方が全く違うというだけのこと。スペイン前にはマシンにいろいろなことを試していて、自信も高まった。ターマックでの問題が解決できれば、来年はどのラリーでもトップ争いができると思っているよ」

CITROEN / @World

その違いは、フォルクスワーゲン以上にヒュンダイでは大きいようだ。
「ポロに関しては最初からプロジェクトに関わっていたし、設計にも意見を言うことができた。それに、自分のドライビングスタイルはオジエととても似ている。ここでは、ドライビングスタイルが全く違うドライバーが5年間走ってきたマシンに乗っているので、調整にも時間がかかっている」

今シーズンの間に、ミケルセンは自分自身が成長するためには、自分のドライビングスタイルを変えるべきなのかもしれないと、気付いた。
「短期的に、そう考えてみた。もし自分のドライビングスタイルに合うマシンを得ることができなければ、自分が変えるしかない。でも、いま行っている変更で、自分の以前からのドライビングスタイルでも行ける。ドライビングスタイルは、できれば変えたくはないので、今はあまりその部分にこだわらないようにしている」

結果が今一つの内容になっていることで、気持ち的には焦っているのだろうか。自信の持ち方に影響はあるのだろうか。
「もちろん、感じているよ。スポーツ選手なら、いいリザルトを出すことが人生のすべてだ。自分たちは、結果を出してポイントを稼ぐために雇われているのだから、それができなければもちろんシンドイよ。でも同時に、ドライビング面では手応えを感じている。それに、かなりアンラッキーも続いている。ラリーをリードしている時に限ってトラブルに見舞われるんだ。自分たちのパフォーマンスはかなりいいと思うのだが、それがリザルトに直結させられずにいる」

練習のために、選手権外のターマックラリーに参戦するというプランはあるのだろうか。
「特に予定はないよ。お分かりの通りカレンダーの日程は過密だし、来年のWRCは1戦増える。もっと練習したいとは思っているし、いつだってドライブしていたい。もし、このマシンでもっと走ることができるのなら、もちろんしたいよ。でも、他のマシンをドライブすると、自分もやったことはあるんだけれど、違うマシンに慣れてしまい混乱したりすることもある。ネガティブな要素を見つけてしまうこともあるしね」

来年のことは、楽しみにしているのだろうか。
「選手権がまたゼロから始まるのはうれしいよ。来年、ターマックでの走りを改善させることができれば、状況は一変すると思う。グラベルでは自分は満足しているし、トップ勢の1人だという手応えもあるからね。今不安なのは、ターマックだけだが、先日のテストの様子ではすべてうまくいっているようだし、自分のフィーリングもかなりよくなっている。まだ改善できる余地はあるが、正しい方向に向かって大きく前進できているよ」

ヌービルは現在のチームメイト、フォルクスワーゲン時代にはオジエともチームメイトになっている。オジエは既に何度も世界チャンピオンを経験しているが、もう1人は初のタイトル獲りに挑んでいる。ミケルセンは、今年、どちらがチャンピオンになると考えているのだろうか。
「自分は、ティエリーが獲ると感じている。彼は、昨年もタイトル争いをしている。今シーズンも、この前までリードしていたのだから、トップに立つ経験もある。彼は、とてもリラックスしていると思う。パニクってもいないし、ストレスも感じていないようだ。もし、この状態を続けることができれば、彼のペースで行けるんじゃないかな」

Volkswagen / Enrique Gijón

スペインでは、グラベルの初日は総合4番手につけていたミケルセンだが、ターマックの2日間では再び課題が残る内容となった。グラベル戦のオーストラリアでは、ミケルセンの活躍に期待したい。
(Martin Holmes)

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