全日本ラリー モントレー:地元群馬で新井が優勝、スバル1-2-3 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

全日本ラリー モントレー:地元群馬で新井が優勝、スバル1-2-3

©Naoki Kobayashi

2018年全日本ラリー選手権第5戦「MONTRE 2018」は、すべての競技日程を終了し、新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)が今シーズン2勝目を飾った。新井は前戦に続く連勝で、4年連続でモントレーを制することとなった。2位は勝田範彦/石田裕一、3位には鎌田卓麻/市野諮が入り、スバルWRX STIが表彰台を独占した。

6月10日(日曜日)に行われるのはSS10〜SS17の計8SS、SS距離39.358km。ラリーの拠点となる群馬県嬬恋村のパルコールつま恋リゾートは前日までと打って変わり、冷たい雨と深い霧に包まれた。SSも一部を除き、路面はウエットに。

JN6クラスの注目は首位の新井と2番手につける鎌田のバトルだ。SS9までを終えた段階で2.1秒という接戦が展開されており、どちらが勝っても不思議ではない。さらに3番手につける奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションⅩ)と4番手の勝田も0.7秒差となっており、好バトルが期待された。オープニングのSS10では新井がベストタイムをマークし、ふたりの差は6.5秒に拡大。鎌田もSS12、SS13で連続ベストタイムを刻み、差は再び2.9秒に。続くSS14は、この日最長のAzumaya B(7.828km)。SS10の再走SSとなるが、新井はここで再びベストタイムをマーク。鎌田との差を9.3秒にまで広げることに成功。残る3SSを走り切り、今シーズン2勝目を獲得した。

鎌田は最終SSでタイヤの溝がなくなり大きくタイムロス。背後から追い上げてきていた勝田に逆転を許し、3位でラリーを終えている。この日好走を見せた勝田は最初のSSで奴田原をかわし3番手に浮上、一時は17.1秒の差があった鎌田との差をじわじわと詰め、チャンスを逃すことなく逆転2位を得ることに成功した。

新井は「今回、タイヤ選択には苦労した。やはりグラベルラリーなら、グラベルだけがいいね(笑)。久万高原から連勝できて良かった。ポイントリーダーに立ったけれど、この先も気持ちを緩めないよう頑張ります」と、今季2勝目について笑顔でコメントした。

小濱勇希/馬場雄一(シトロエンDS3 R3-MAX)、横嶋良/木村裕介(プジョー 208 R2)、眞貝知志/安藤裕一(トヨタ・ヴィッツGRMN)の三つ巴となっているJN5クラスは、小濱がリードを守り切って優勝を果たした。2位には横嶋、3位は眞貝が入っている。総合順位に変動はなかったが、それぞれがベストタイムを獲り合う力走。8SSの内訳は小濱が3、横嶋が3、眞貝が2となっている。小濱は「最後の最後まで付かず離れずで3人が争っていて、キツいラリーでした。そこから抜け出そうと思っても、なかなか抜け出せなくて。横嶋選手の追い上げが厳しくて、最後は道からこぼれ落ちる覚悟で頑張りました」とラリーを振り返った。

JN4クラスはホンダ・シビック・タイプRユーロの上原淳/漆戸あゆみが今シーズン初優勝を達成、2位には関根正人/草加浩平(スズキ・スイフトスポーツ)、3位には香川秀樹/松浦俊朗(ホンダ・シビック・タイプR)が入った。この日クラス3番手からスタートした関根はSS10で香川に逆転され、一時は12.5秒差まで離されることに。しかし最終SS、香川はラジエターからの水漏れとオーバーヒート症状でペースが上がらず。関根が8.9秒差をひっくり返して2位、香川は0.8秒差で3位となった。フィニッシュ後、上原は次のように語っている。「優勝は去年の洞爺以来です。勝因は、最終日にターマックがなかったことですね。次はカムイに出ますが、関根選手が速いのでなんとかくらいつけるように頑張ります」

トヨタ・ヴィッツ同士の上位争いとなったJN3クラス。天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”)が貫録の勝利を飾った。2位にはCVTユニット搭載のヴィッツで参戦する大倉聡/豊田耕司、3位は石川昌平/竹藪英樹が入っている。天野は体調が優れないにもかかわらず、この日も快走。8SS中7SSを制して今季4勝目を挙げた。天野は「体調があまり良くないなか、タフなラリーでした。次戦以降はライバルもクルマを進化させてくるでしょうから、そこからが本当の勝負だと思っています」と、気を引き締めた。

JN2クラスはスバルBRZの加納武彦/横手聡志が初日のリードを守り切って全日本初優勝を達成。2位には鎌野賢志/蔭山恵(トヨタ86)、3位には明治慎太郎/北田稔(トヨタ86)が入っている。鎌野と明治の差は1.5秒という僅差。加納は「気持ちよく走って、競り合いの中で幸せでした。明治選手が途中から本当に速くて、凄かったです。負けないように、気持ちを強く走りました」とコメント。

須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)が大量リードを築いていたJN1クラスは、順当に須藤が今季初優勝を飾った。2位には5番手から追い上げた古川寛/廣田幸子(スズキ・スイフトスポーツ)、3位には最終SSでひとつポジションを上げた伊藤隆晃/大高徹也(日産ノートNISMO S)が入った。「一応、展開的には初日のマージンを活かして、自分のペースに持ち込めました。実はモントレー4連勝なんですよ。新井選手と一緒です(笑)。次はカムイに参戦します」と須藤は笑顔で振り返った。

全日本ラリー選手権第6戦の舞台は北海道。昨年まではラリー洞爺として開催されていたが、今年は開催地域を北に移し、「ARKラリー・カムイ」として行われる。ニセコ町・蘭越町・倶知安町を中心としたグラベルラリーは、6月29〜7月1日にかけての開催となる。

全日本ラリー選手権 MONTRE 2018 最終結果
1. 新井敏弘/田中直哉 JN6-1 スバルWRX STI 1:12:06.9
2. 勝田範彦/石田裕一 JN6-2 スバルWRX STI +19.4
3. 鎌田卓麻/市野諮 JN6-3 スバルWRX STI +21.3
4. 奴田原文雄/佐藤忠宜 JN6-4 三菱ランサーエボリューションX +31.5
5. 柳澤宏至/加勢直毅 JN6-5 スバルWRX STI +1:02.9
6. 福永修/齊田美早子 JN6-6 三菱ランサーエボリューションX +1:29.6

8. 小濱勇希/馬場雄一 JN5-1 シトロエンDS3 R3-MAX +6:12.4
11. 上原淳/漆戸あゆみ JN4-1 ホンダ・シビックtypeR +7:55.4
14. 天野智之/井上裕紀子 JN3-1 トヨタ・ヴィッツ +9:02.4
19. 須藤浩志/新井正和 JN1-1 スズキ・スイフトスポーツ +10:38.6
20. 加納武彦/横手聡志 JN2-1 スバルBRZ +11:00.5



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