特別企画:今シーズンどのクラスからも目が離せない – 2017全日本ラリー展望 後編 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

特別企画:今シーズンどのクラスからも目が離せない – 2017全日本ラリー展望 後編

©Naoki Kobayashi

全日本ラリー選手権は、2月に行われた開幕戦から約2カ月のインターバルを経て、4月7-9日に第2戦「ツール・ド・九州2017 in 唐津」が開催される。いよいよ今週末に迫った第2戦を前に、最高峰のJN6クラスから大盛況のJN1クラスまで、全6クラスの動向をチェックしておこう。

JN6 – “3強時代”に突破口はあるか!? 期待の鎌田は負傷休養中

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●排気量:2500cc超
●車両規定:RN、RJ
●駆動:4WD
●適合車両例:スバルWRX、三菱ランサーエボリューション、MINIジョン・クーパー・ワークス・クロスオーバー

昨年は勝田範彦(スバルWRX STI)が3年ぶり7回目の王者に返り咲いたJN6クラス。今シーズンもこの勝田を主軸に、2015年チャンピオンの新井敏弘(WRX STI)と2014年チャンピオンの奴田原文雄(三菱ランサーエボリューションX)を中心としたタイトル争いが展開されそうだ。

このクラスは、2013年の第2戦久万高原で柳澤宏至がJN6クラスで優勝して以来、昨年の第8戦ハイランドマスターズまで、勝田・新井・奴田原以外のウイナーが生まれていない。そのため、いつしか“3強時代”と呼ばれるようになっているが、この3強に風穴を開けたのが鎌田卓麻(WRX STI)だ。鎌田は、昨年の第8戦で序盤から持ち前の速さを発揮して3強を圧倒。柳澤以来、31戦ぶりに3強以外のウイナーとしてリザルトに名を残した。正式結果がJAFモータースポーツ審査委員会の審議待ちとなっている今年の開幕戦でも、SSベスト獲得数では鎌田がトップでフィニッシュした勝田を上まわる速さを見せた。しかし、その鎌田は、全日本ダートトライアル開幕に向けたテスト走行中にクラッシュを喫し負傷。復帰は早くても第5戦モントレー以降になるかという話も聞こえ、タイトル争いに絡むのは難しい状況ではあるものの、シリーズ後半戦で優勝争いに絡む活躍を期待したい。

また、一昨年から再びランサーエボリューションに乗り換えた福永修も注目のドライバーのひとり。特にターマックでは3強に匹敵する速さを披露し、過去には優勝争いを展開したこともある。今シーズンの台風の目となる存在だ。

JN5 – 強豪は軒並みスポット参戦、新世代対決に注目

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●排気量:2500cc超
●車両規定:RN、RJ、RR(排気量区分なし)
●駆動:2WD
●適合車両例:プジョー208 GTi、トヨタ・ヴィッツGRMNターボ、アバルト500R3T、プジョー208 R2、シトロエンDS3 R3-MAXなど

 昨年、クスコレーシングの柳澤宏至(プジョー208 R2)が自身初となるJAFタイトルを獲得したJN5クラス。その柳澤、今シーズンは第5戦モントレーと第9戦新城の2戦にスポット参戦という体制となる。また、柳澤とタイトルを争った大倉聡(トヨタ・ヴィッツGRMNターボ)も、今シーズンはCVT仕様のヴィッツで参戦するため、JN3クラスへと移る。昨年2勝を獲得した眞貝知志(アバルト500ラリーR3T)は、今シーズンも昨年と同様に全日本は数戦のスポット参戦に留めるため、タイトル争いに絡むのは難しい状況だ。

 本命なき戦いとなりそうな状況のJN5クラスだが、昨シーズンに関根正人と新井大輝を擁してシトロエンDS3 R3T-MAXでシリーズ参戦したMATEX-AQTECラリーチームが、若手の小濱勇希を起用してシリーズ参戦することを表明。昨年はJN2クラスでシリーズ4勝を挙げ、最終戦までタイトルを争った小濱が新天地でどんなパフォーマンスを見せるかが注目となる。
 この小濱に対抗するのが、クスコレーシングから参戦する川名賢だ。2013年にトヨタ・ヴィッツで当時のJN2クラスタイトルを獲得し、翌年はトヨタ86でシリーズ6戦に出場して2勝を獲得した川名にとって、3年ぶりのシリーズ参戦となる。マシンは、小濱と同じくシトロエンDS3 R3T‐MAXをメインとし、グラベルラウンドはチャンピオンマシンのプジョー208 R2を投入するという構え。今シーズンのJN5クラスは、この小濱と川名のR車両対決を中心に展開されていくことが予想される。

JN4 – 連覇か奪還か、群雄割拠のタイトル争い

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●排気量:1500cc超2500cc以下
●車両区分:RN、RJ
●駆動:4WD、2WD
●適合車両:トヨタ86、スバルBRZ

 昨年はベテランの曽根崇仁(トヨタ86)と若手の石川昌平(86)が激しいタイトル争いを展開したJN4クラスは、今年もシリーズチャンピオンの曽根と同2位の石川がタイトル争いの中心となるだろう。昨年は3勝の曽根に対し石川は4勝を収めているが、シリーズ全戦でポイントを獲得したのは、このクラスで曽根ひとり。今シーズンも、ターマック、グラベルを問わずに抜群の安定感を誇る曽根が連覇を目論む。

 一方、石川も昨年は速さを増しており、今シーズンは、これまで石川の武器だった安定感が加われば、タイトルに最も近い存在といえる。また、チャンピオン経験者の山口清司(86)と、クラス唯一のFF車で戦う香川秀樹(ホンダ・シビック)も侮れない存在だ。

JN3 – 絶対王者・天野にベテラン勢が挑む

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●排気量:1500cc以下
●車両規定:RN、RJ
●駆動:2WD
●適合車両:トヨタ・ヴィッツ、マツダ・デミオ、マツダRX-8

 昨年は全9戦中8戦で優勝するだけではなく、シリーズ有効戦数となる7戦でデイポイントを含めてフルポイントを獲得するという圧倒的強さを見せた天野智之(トヨタ・ヴィッツ)が、今シーズンもこのクラスの中心となることは間違いない。すでに開幕戦の嬬恋でフルポイントを獲得する強さで優勝した天野は、シリーズ全戦制覇を狙うことはもちろん、さらにフルポイントで揃えることも辞さない構えだ。

 その天野に、中西昌人(マツダRX-8)や鷲尾俊一(RX-8)といったベテラン勢が対抗。特に鷲尾は、ラウンドによってデミオ15MBも投入する。また、昨年の第5戦洞爺で負傷した岡田孝一も、シーズン中盤からの復帰が期待される。

JN2 – 連覇を狙う明治、ダートラ王者の山本が注目

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●排気量:1600cc超2000cc以下
●車両規定:RPN
●駆動:2WD
●適合車両:トヨタ86、スバルBRZ、ロータス・エキシージ

 昨年、クラス最多勝利を獲得しながらもタイトルに届かなかった小濱勇希がJN5クラスへと移ったJN2クラス。チャンピオンの座に就いた明治慎太郎(トヨタ86)は、クスコレーシングからのシリーズ参戦が発表され、連覇を狙う構えだ。その明治の対抗馬となるのが、K-oneレーシングから参戦する若手の山本悠太(86)。全日本ダートトライアルでは2度タイトルを獲得している山本は、昨年ラリーにデビュー。全日本では参戦2戦目で初優勝を挙げる活躍をみせている。今季開幕戦の嬬恋では最終日にスタックするなどまだまだ荒削りなところもあるが、今シーズン注目のドライバーとなりそうだ。また、ベテランの鎌野賢志、加納武彦らの活躍にも期待がかかる。

JN1 – 今年も多彩な車種で大盛況の予感

Naoki Kobayashi

●排気量:1600cc以下
●車両規定:RPN、AE(排気量/駆動区分なし)
●駆動:2WD
●適合車両:スズキ・スイフトスポーツ、マツダ・デミオ、日産リーフ、トヨタヴィッツ、ホンダ・フィット

 昨年は最高峰クラスのJN6クラスに肩を並べるほどの参加台数を集め、軽自動車のアルトから1600ccのスイフトスポーツまでバラエティに富んだ車種が出場するなど、これまでにない活況をみせたJN1クラス。昨年タイトルを獲得した鈴木尚(スズキ・スイフトスポーツ)は、現在のところ今シーズンはスポット参戦になるという噂もあるが、その鈴木と激戦を展開した須藤浩志(スイフトスポーツ)やシリーズ3位の小川剛(ホンダ・フィット)、同4位の松原久(マツダ・デミオ15MB)、今年の開幕戦を制した三苫和義(フィット)など、役者が勢揃いしている。また、日産マーチNISMO Sで昨年の後半2戦で連続3位に入賞した伊藤隆晃が、ノートNISMO Sを投入するのも話題となっている。



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