全日本ラリー高山:“カーブレイクラリー”の再来、各クラスで逆転劇 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

全日本ラリー高山:“カーブレイクラリー”の再来、各クラスで逆転劇

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全日本ラリー選手権第8戦「第45回M.C.S.C.ラリ-ハイランドマスターズ2017 supported by Sammy」は10月15日(日)にデイ2の走行が行われ、前日のSS1でパンクを喫して初日を5番手を終えた新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)が猛烈な追い上げを見せるとともに上位陣の脱落も重なり、奇跡的な逆転優勝を果たした。また、このラリーでシリーズチャンピオンが確定する可能性があった勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)は8位という結果に終わったため、JN6クラスのタイトル決定は最終戦に持ち越されることとなった。

前日は一部濡れている路面があったものの、天候は曇りというコンディションで競われたハイランドマスターズだが、デイ2は早朝から雨が降るウエットコンディションのなかでの戦いとなった。この日は、グラベルラリー時代からおなじみの駄吉上り(5.61km)と青屋下り(8.87km)のヒルクライム&ダウンヒルステージと、前日にギャラリーステージが設けられたアルコピア‐無数河を逆走する無数河‐アルコピア(6.15km)の3SSを2ループする6SSが設定されている。どのSSも路面には濡れた落ち葉や前走車のインカットによる砂利がコーナーに散乱しているうえにウエットコンディションが重なり、難易度はより高いものとなっている。

福永修/齊田美早子(三菱ランサーエボリューションX)が初日トップを奪ったJN6クラスは、デイ2オープニングとなるSS6で勝田が福永との差を1.8秒差に詰めてくるものの、その後は福永も快走を見せ、SS9を終えて勝田との差を14.1秒に広げ、首位の座を堅守する。残るSSはあと2本。だが、最終SS前のSS10で、大波乱が起きた。2番手の勝田とのタイム差から見ると、今季2勝目は確実かと思われていた福永が、スタートから約4km地点でコースオフ。その後コースには復帰するものの、サスペンションに大きなダメージを受けたために大幅なペースダウンを強いられ、まさかの4位でラリーを終えた。さらに、福永と同じコーナーでチャンピオン決定となるはずだった勝田もコースオフし、まさかの8位となってしまった。

上位2台の脱落により首位に立ったのが、堅実なラリーを展開していた奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションⅩ)だ。だが、その4.7秒後方には、SS6からSS10まで5連続ベストタイムをマークする新井が驚異的な追い上げを果たし、2番手まで浮上してきている。残すは最終SSのみ。この最終SSで新井が渾身の走りを見せ奴田原を8.7秒上まわるタイムでフィニッシュ。奴田原を4.0秒逆転し、今季3勝目を獲得するとともに、最終戦に逆転チャンピオンの可能性を繋ぐ結果となった。

JN5クラスもJN6クラスと同様に波乱のデイ2となった。初めて運転するシトロエンDS3 R3-MAXに手こずりながらも、初日を首位で折り返した大桃大意/小坂典嵩が、SS7の左コーナーでクラッシュ。これで大橋逸夫/木村裕介(MINIジョン・クーパー・ワークス)が首位に立つが、後方から川名賢/保井隆宏(シトロエンDS3 R3-MAX)が猛烈な勢いで大橋を追い上げてくる。大橋とのタイム差は、デイ2がスタートした時点では2分近くあったが、SS10を終えた時点で10.1秒差にまで短縮。最終SSではついに大橋をとらえ、JN6クラス優勝の新井と同じくパンクを喫したSS1のビハインドから、最終SSで見事な逆転優勝を果たした。

JN4クラスも大波乱の展開となった。初日首位の石川昌平/竹藪英樹(トヨタ86)が、デイ2はタイヤ選択を失敗しペースダウン。ジワジワとタイムを詰めてくる香川秀樹/澤田耕一(ホンダ・シビックタイプR)にSS10で逆転を許し、石川は2位に転落。香川が待望の今季初優勝を飾った。また、最終SSで2位の石川に0.3秒差まで迫りながらも3位に終わった曽根崇仁/桝谷知彦(トヨタ86)が、最終戦を残し今シーズンのチャンピオンを決めている。

JN3クラスは、初日首位の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツ)が、この日も後続の追い上げを許さず独走態勢で優勝。今シーズンの連勝記録を8に伸ばしている。2位には大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)、3位にはこの日30歳の誕生日を迎えた内藤学武/小藤桂一(マツダ・デミオ)が入賞した。

JN2クラスは、初日首位の明治慎太郎/北田稔(トヨタ86)がこの日も快走を見せ、2輪駆動最速となる総合7位相当の順位で優勝。2位には昨年のJN1クラスチャンピオンの鈴木尚/鈴木裕(スバルBRZ)が入賞。3位にはシリーズランキングトップの猪股寿洋/齊藤孝太(トヨタ86)が入賞し、最終戦で明治とシリーズチャンピオンを競う結果となった。

JN1クラスは、初日首位の古川寛/池田孝之(スズキ・スイフトスポーツ)がデイ2オープニングのSS6でクラッシュ。これでデイ1から古川とシーソーゲームを繰り広げていた伊藤隆晃/大高徹也(日産ノートNISMO S)が首位に浮上。SS7、8でベストタイムを重ねた伊藤は、待望の今季初優勝を飾った。2位にはシリーズランキングトップの須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞し、最終戦を前にシリーズチャンピオンを確定。3位には満身創痍となりながらも最後まで走りきった三苫和義/小林剛(ホンダ・フィット)が入賞した。

■第45回 M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2017 supported by Sammy 結果
1. JN6-1 新井敏弘/田中直哉 富士スバルアライモータースポーツWRX 1:06:04.2
2. JN6-2 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー +4.0
3. JN6-3 鎌田卓麻/市野諮 SYMS DL TEIN WRX STI +2:36.0
7. JN2-1 明治慎太郎/北田稔 YHGd高崎くす子86 +4:12.7
9. JN4-1 香川秀樹/澤田耕一 DLテインBRIG東京鋳造VTシビックR +4:22.7
13. JN3-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・DL・ヴィッツRS +4:57.6
16. JN1-1 伊藤隆晃/大高徹也 プレイドライブYHノートNISMO S +5:59.7
20. JN5-1 川名賢/保井隆宏 CUSCO ADVAN DS3R3MAX +7:45.5



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