WRCスウェーデン・ポスト会見「この週末 彼は世界最強の男だった」 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCスウェーデン・ポスト会見「この週末 彼は世界最強の男だった」

©TOYOTA/@World

WRCラリースウェーデンのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。参戦2戦目でトヨタWRC新チームを優勝に導いたチーム代表のトミ・マキネンは、優勝ドライバーとなったヤリ‐マティ・ラトバラを最大級の賛辞で讃えた。

●WRCポストイベントカンファレンス出席者
1位:ヤリ‐マティ・ラトバラ=J-ML(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
1位:ミーカ・アンティラ=MA(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
2位:オィット・タナック=OT(MスポーツWRT)
2位:マーティン・ヤルベオヤ=MJ(MスポーツWRT)
3位:セバスチャン・オジエ=SO(MスポーツWRT)
3位:ジュリアン・イングラシア=JI(MスポーツWRT)
トミ・マキネン=TM(トヨタ・ガズーレーシングWRTチーム代表)

TOYOTA/@World

Q: 新しいマシン、新しいチームの2戦目、おめでとうヤリ‐マティ! モンテカルロでは、ポディウムに上がるまで6ヶ月はかかるかもしれないと言っていたが、もう今季初勝利を手にした。今の気分は。
J-ML: もちろん、アメージングなフィーリングだ。この勝利は、2008年にこのラリーで初めての勝利を手にした時と同じ気分。あの年は、優勝はうれしいサプライズだったが、今日もサプライズだった。昨日のパフォーマンスから、僕はオィット・タナックがこのラリーで勝つとかなり確信していた。でも、今日のステージは自分のドライビングスタイルやマシンに合っていて、別次元の走りが出来た。

Q: 今日最初のステージを終えて、オットとのタイム差を見て驚いていたのか。
J-ML: あのステージはフィーリングがとてもよくて、いい走りができてはいたが、それでもあれほど速かったことには驚いた。

Q:最終ステージまでにリードを20秒に広げた。パワーステージではボーナスポイントが与えられるが、それにはリスクが伴うこともみんな知っていた。でも、ここでベストタイムをマークした。狙って攻めた結果か。
J-ML:あのステージの前にトミ(マキネン)と話をしたのだけど、彼は、「とにかく行け、それまでの流れを続けろ」と言った。ステージでは、もしかしたら抑えたほうがいいのかもしれないとも思ったが、フィーリングがとてもよかったので、そのままのフィーリングで行くと決めて、走り続けた。

Q:今年のヤリ‐マティは、生まれ変わって勢いを取り戻したように見える。それは正しい見方か。
J-ML:昨シーズンの後半は自分のパフォーマンスが落ちて、正直に言えば自信を失っていた。だから、トヨタをドライブできるチャンスを得た時、0からの始まりでもあったことは、大きなモチベーションになった。チームが持つ素晴らしいスピリットが、僕を以前のレベルに押し戻してくれた。

Q:これほど早い段階で、選手権のこの順位(ドライバーズ選手権首位)にいる自分を予想していたか。
J-ML:いや。モンテカルロでの目標はトップ6、スウェーデンはトップ5と、自分では言っていた。でもこの後に控えるのはグラベルなので、予想はさらに難しくなる。もし争いを続けたければ、もっとがんばらなくてはならない。でも僕はそうしたいと思っているし、チームの中にもいいフィーリングがあって、モチベーションも高まっている。

Q:今日の朝、スタートした時、ミーカにはとにかく行くぞとだけ言ったのか。
MA:目標はクリーンな走りをすることだった。ステージは、本格的なウィンターステージで、その通りのコンディションであることは分かっていたので、自分たちには有利になるのではないかと思っていた。だから、いい予感はしていたが、勝つことは予想していなかったので、ちょっとビックリしたね。

Q:パワーステージでマキシマムポイントのためにリスクを負うことを懸念していたか。
MA:それほどしていなかった。今日起きたことは、昨日起きたことと同じはずだと思った。とにかくラインを維持した走りで、ベストタイムにつながった。とにかく、チームがマシンに尽くしてくれた努力を讃えることしかできない。素晴らしいよ。

Q:オット、今日最初のステージを走り終えた時、何を思ったか。
OT:あのステージを走り始めた時点で、簡単には行かないと感じた。小さなミスをしたので、完璧に行かなかった時点で、すぐにそう感じた。ヤリは本当に速かったし、手を尽くしようがなかった。でも、彼の走りのことも僕はハッピーだ。この週末、いいバトル仲間だった!

Q:モンテカルロでも既にいいペースを見せていたが、スウェーデンはさらによくなった。自分のパフォーマンスには満足か。
OT:今シーズンの滑り出しには、とても満足している。マシンはとても扱いやすくて、本当にいいフィーリングだ。まだ手を入れるところはあるが、何が必要なのかはみんな分かっているので、プッシュを続けていくしかない。

Q:どういった部分に作業が必要か。
OT:もっと速さを高めて、マシンともっといい相性をみつけなくてはならない。ここまでの内容にはとてもハッピーだし、昨年から大きくステップアップした。最初からマシンについてはハッピーなので、このマシンのことはかなり理解している。

Q:コ・ドライバーシートにいる立場としてもタフな週末だったか、マーティン。
MJ:モンテカルロと比べれば少しはラクだったから、かなりいい週末だったよ。

Q:今日の朝は、プレッシャーを感じていたか。
MJ:少しはあったが、最初のステージを終えたところで、ヤリ‐マティと張り合うのは難しいと僕らは理解したので、2位もそう悪くはないと思っている。

Q:しかし、チームにとっては素晴らしい週末だったのでは。
MJ:そうだね。それに、もしこの3チームが入れ替わりでポディウムに上がるのだとすれば、この先のラリーが楽しみだ!

Q:セブ、今日最初のステージで何が起きたのか。
SO:自分のキャリアの中でも、一番くだらないミスをしてしまった。最初のコーナー、50m走ったところでスノーバンクに引っかけてスピンし、エンジンがストールした。これでチャンスは消えたと分かった。挑むチャンスさえもなかった。難しい週末だったと言えるが、19ポイント獲得したのだから、とてもハッピーだ。選手権にとっても、いい前進だ。広い目でこの週末を見れば、僕らにとってはポジティブだった。

Q:選手権はこれからグラベルに移る。グラベルでのテストは行ったか。
SO:まだだ。このシーズンは、他よりも少し遅れてのスタートになることは分かっていた。マシンにもまだ苦戦している部分があるし、完璧なセッティングを見つけることにも手こずっている。でも、ベストなプリペアができない状態でも、リザルトはいい。ベースはとてもいいので、メキシコで何ができるのかに期待。ここでもいいポイントを獲りたいね。

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Q:パワーステージでは、ヤリ‐マティがとても速かった。それには驚いたか。
SO:彼があそこで速かったことには、僕はとてもうれしいと思っている。これで、彼はメキシコで道を開かなくてはならないからね! パワーステージでは確実にポイントを獲ることがターゲットだったから、結果にはハッピーだ。この段階で選手権での4ポイントは、それほど大きな差ではない。

Q:セブはこの週末を難しいと表現したが、選手権では高ポイントを持ち帰った。ポジティブな点ではないだろうか、ジュリアン。
JI:そうだね、いい日もあったから文句はないよ。僕らは12月にフィエスタに乗り始めたばかりだし、スウェーデンに向けては2日間しか準備できなかった。速度域がこれだけ高いので、いいペースがあることは感じられたから、エキサイティングになるよ。

Q:みんなが揃ってレベルが上がっているように思うが、そうなれば選手権もかなり面白くなる。それに向けての準備は万全か。
JI:心配ない、万全だ!
SO:それよりも、トミと、トヨタのチームのみんなにWRCデビューのお祝いを伝えたいし、ヤリ‐マティとミーカも、本当に素晴らしかった。チームメイトとして素晴らしい時間を過ごした仲間だし、ヤリが前のようにまた笑っている姿を見て、僕もうれしい。

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Q:トミ、おめでとう! 新チーム、トヨタ・ガズーレーシングの参戦2戦目にしての初優勝だ。特別な瞬間だろう。
TM:もちろんだ。みんなにとって、とてもとても特別な瞬間だ。チームのみんなに感謝したい。全スタッフ、全ドライバーが、素晴らしいサポートをしてくれた。なぜ我々のチームがこれだけ早く、これだけ強くなることができたのか。ヤリ‐マティなしでは、この週末の結果を得ることはできなかったし、ハッキリと言いたい。彼はこの週末、世界最強の男だった。

ここにいるドライバーのみんなにも感謝している。世界中に向けて、本当に見応えのあるラリーを展開してくれた。この戦いは、とても面白くなる。ポディウムに上がるブランドも顔ぶれが変わった。もっと違う顔ぶれになることもあると思うが、これこそモータースポーツ。去年の終わりの段階では、自分たちがどの立ち位置につけるのか分からないと言ったが、今は自分たちのポテンシャルが分かる。モンテカルロは非常に特殊なコンディションなので、全体的なパッケージを分析することはあまりできなかった。ドライバーの力量に寄る部分が大きいからだ。今回は、自分たちにとっていい部分がすぐに分かる。また、メキシコに向けてさらに強くなるための要素も持ち帰ることができた。

Q:どんなものを持ち帰ったのか。
TM:我々が参戦するのは初めてなのはみんな知っているし、マシンには改良できる部分がまだある。パッケージを完成するための、いつも通りの疑問だ。パワーラインとシャシーなど全体が整ってこそ、ドライバーも自信を築くことができる。もちろん、とても細かい部分だが、まだできることはたくさんあると分かっている。

Q:12月のローンチでは、豊田社長がビデオメッセージで「自分は勝つことが好きだ」と言っていた。勝利を決めてから、彼とは話したか。
TM:日本からメールが届いた。とても喜んでくれているようだ。



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