【赤龍ブログ3】ラリーカーと機関銃 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

【赤龍ブログ3】ラリーカーと機関銃

 

【赤龍ブログ3】ラリーカーと機関銃

みなさんこんにちは、レッドドラゴンWRTの大月です。

BLACK SHEEPのSCOTTがゴルフのエンジンを直してくれた翌日、
JASONに代わって自分がテキサスの南端ラレード市まで
トレーラーでマシンを輸送することとあいなりました。
ラスベガスからラレードまでは片道2,200kmコース。
今年も去年と同じく、相棒はクリス君。
彼はスバルオブラスベガスでマーケティングをする、
ややおとなしめの兄ちゃんです。



しかし、2,200kmは遠かった〜。
去年も同じルートでネオンを運んだのですが、やはりアメリカは大きい!
テキサスに入ってから景色がず〜っと変わらず、たまらなかったです。
この巨大な国アメリカのハイウェイをひたすら走っていると
あらためて、リビングとソファが動いているようなクルマじゃなきゃ
アメリカでは売れないというのがとても実感できます。

コンパクトでガチガチしたクルマや、
大型トレーラーの横を通過した際に
風であおられるようなクルマは誰も相手にしないんです。
だからキャデラックとかが人気があるんだな〜と
深々考えて走っていました。
これだけ一直線が延々と続くいてたら、
ラリーはなかなか根付かないよな〜(泣)。
だからドラッグレースが生まれたんでしょうね!

以前、ラリージャパンでクリス・アトキンソンにインタビューした際
(いちおう自分はラリーメディアでして。。)
彼が「アメリカでラリーを盛り上げたいならば、
スタジアムでド〜ン!バ〜ン!とやらないと無理だよ」と
言っていたことを思い出します。
あれから4年。
アメリカでまさにそれが人気になりそうなのです。
トラビス・パストラーナやケン・ブロックが作り上げた、XGamesラリー。
去年から数台同時スタートのラリークロス形式に変更され、
観客の目の前ですさまじいクラッシュやジャンプを観ることができ、
観客やTVの視聴者がエンジョイできるレースとして進化しました。
きっとクリスはこれを意味していたのだと思います。
そして4年後の今、素晴らしい予言をしたクリスは、
ブロックのチームメイトとして、WRCメキシコに参戦します。
クリスにとって久々のワールドラリーカー。
メキシコは彼の好きなラリーのひとつだと思うので、
今回のラリーは案外良い成績を残せるような気がします。
というか、ぜひ彼に頑張ってほしい!!!

頑張れクリス! GO アトコ! 変なミスしないでくれよ!

話はもどって、1年ぶりのラレードはやはり遠かった〜。
今年は去年と違い、ラリーメキシコ参戦パッケージに
テキサスからメキシコのレオン市までの
トラックハイヤー分が含まれていませんでした。
何故だろう……と不思議に思っていたのですが、
まさかこんなことだとは。
メキシコはコロコロと法律が変わるそうで、
メキシコ国外から来たクルマは特別なステッカーがついていないと、
警察に捕まった際にクルマは没収、一生帰ってこないそうです。

そこで一度テキサス国境からメキシコ側に入り、
メキシコ用の保険、メキシコでの運転許可証とステッカーを買ってきました。
ここからはラリードライバーでもあり、今回のコーディネーターのポンセさんが一緒です。

さて、ちょっとシリアスな話になりますが、
皆さんもご存じのとおり、メキシコは麻薬で有名な国。
国境街といえば、それはもうスーパー危険地帯です。
なぜなら、フェンスをぴょんと超えて、川を渡れば自由の国アメリカなのです。
そして、アメリカはメキシコにとって最大のお客さん(もちろん麻薬の、です)。
だからその国境タウンである、ヌエボラレードは、とてもヤバいところなのです。
ポンセさん曰く、ここは麻薬組織が街全体を支配しているとのこと。
もう警察も存在しないし、街の政府も存在しない。
しかも市民たちは夜8時以降の家の外に出てはいけないそうです。
それは警察ではなく麻薬組織が決めた、外出禁止宣言(!)。
以前、テレビか何かで聞いたのですが、メキシコの国境街はイラクより危険だとか。
はっきり言って、自分はそれを信じます。マジでヤバいんです。
こんなところがアメリカから数百m離れた場所に存在するなんて、とんでもないことです。
またさらに酷いのは、麻薬組織の事件を報道したメディアは殺されるか誘拐される。
そのメディアの家族までにも被害がおよぶといいます。
だから、この街にはもうニュースメディアも存在しません。
恐ろしいです。

こんなところをラリーカーが通過していいのか!?と疑問を持つと思いますが、
今のメキシコって実はそんな国なのです。
もちろんホストタウンのレオン、グアナファトは内陸ですので、
国境街より多少安全でしょうが、麻薬組織が存在することも確かです。
そしてメキシコの大統領選挙戦が始まる今、
星の数程ある麻薬組織のリーダーたちが
「メキシコの政府はもういらない。この国は俺たちのモノだ!」というアピールのために
各地でマシンガンを使った事件が毎日後を絶たない状態になっているのです。

もう戦場です。一番の犠牲者は一般市民たち。
彼らも巻き込まれる事件が多発しています。
但しここまで事件が多くても、メディアが恐れて報道できない状態なので、
市民たちの情報源はSNSのみ。
ツイッター等で、いま街のどこに武装部隊が居て、銃撃戦が始まっている、
危ないからここの地域に逃げろ!等のやり取りが飛び交っているのです。
日本だったらあり得ないです。
でもこれが今、メキシコの現状です。

そして、ついに事件が起こってしまいました……。



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