スバル・モータースポーツUSAは、7月11日〜14日に英国で開催されているグッドウッド・フェスティバルオブスピードで、史上最速のスバルWRX「プロジェクト・ミッドナイト」をデビューさせた。数々の記録更新を果たした「エアスレイヤー・ジムカーナ」から生まれたプロジェクト・ミッドナイトは、「圧倒的な速さ」という唯一無二の方向性で、新たなレベルに挑戦したマシンだという。軽量化されたワイドボディをもつこのマシンは、ラリークロスで圧倒的な強さを誇ったという経歴を受け継ぎ、記録を更新するためにプラットフォームの性能限界を押し広げることを目指して進化している。
前身のエアスレイヤーは、2020年型スバルWRX STIをベースにしたもので、人気動画「ジムカーナ2020」に登場。アクティブリヤウイングが空中でクルマの姿勢を制御する230フィート(約70m)のジャンプなど、ワイルドな演技走行を披露した。
一方で、純粋なターマック・スピードに特化し、現行のWRXの形に再構築したらどうなるか、そのマシンをF1からラリークロスまで多彩なバックグラウンドを誇るスコット・スピードがドライブしたら? そんなテーマで生まれたのが、プロジェクト・ミッドナイトだ。
このマシンは、超ワイドなエアロダイナミクス・ボディワークと、チームが米国ラリー選手権、アメリカン・ラリーアソシエーション(ARA)で走らせているWRX ARA24グラベル・ラリーカーに搭載されているウイングを抜本的に拡大したものが特徴。カーボンファイバー製ボディと大幅に軽量化されたシャシーにより、車両重量は2500ポンド(約1100kg)を大きく下回り、エアスレイヤーより約300ポンド(約140kg)、標準的なWRXより1000ポンド(約450kg)も軽くなっているという。
プロジェクト・ミッドナイトは、特別に開発されたターマック・サスペンション・ジオメトリーを使用し、エアスレイヤーの17インチ・ラリークロス・ホイールとタイヤ・パッケージから替えて、18×11インチのOZレーシング・スーパーツーリズモLMPマグネシウム・ホイールと280/650R18のヨコハマADVANスリックタイヤを採用している。
ボンネットの下には、ターボチャージャーとインタークーラーを備えた2Lフラット4エンジンが670psのパワーと680lb-ftのトルクを発生し、9500rpmまで回転してエキゾーストから炎を吐き出す。このパワープラントは、2021年のナイトロ・ラリークロスでスコット・スピードの活躍によりチームズタイトルを獲得するなどスバル・モータースポーツUSAがラリークロスで大成功を収めたエンジンの最新版であり、最高のパフォーマンスを発揮する。
「スバル・モータースポーツUSAとバーモント・スポーツカーのチームは、まさに怪物マシンを作り上げた。このマシンをドライブすると、ラリークロスがルーツであることは明らかだが、幅広のタイヤやトレッド、ジオメトリーが非常に独特の感触と驚異的なグリップを与えている。これは、究極のドライビングマシン。半分がラリークロス、半分がスポーツカーという、運転する真の喜びを感じられる」とスピードはマシンの印象を語る。
ラリークロスで数々の記録を打ち立てたスピードは、プロジェクト・ミッドナイトの開発に貢献してきた。このコンビは、これから新たなチャレンジに挑んでいく。
このグッドウッド・フェスティバルオブスピードでは、トラビス・パストラーナもスバル・ファミリー・ハックスターで登場。1983年型スバルGLワゴンにカーボンファイバーパネル、アクティブエアロ、862馬力のスバル・ボクサー・ターボエンジンを搭載したスバル・ファミリー・ハックスターは、昨年のグッドウッド・フェスティバルオブスピードでは、ヒルクライムイベントで400万ドル(約6億3640万円)のトラックカー、マクラーレン・ソーラスGTに続く2位に入っている。