©FIA
FIAが公開したWRC第13戦ラリージャパンのプレビューにおける“注目クルー3組”のなかで、新井大輝/立久井大輝組(シュコダ・ファビアR5)が挙げられている。残る2組は、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデ(トヨタGRヤリス・ラリー1)、アレハンドロ・カション/ボルヤ・ロザダ(トヨタGRヤリス・ラリー2)だ。
新井は、昨年のラリージャパンでWRC2部門3位、総合でも9位に食い込んでおり、今年も同様のリザルト再現が期待される。さらに、年式の古いファビアR5をドライブすることにも触れ「マシンの性能不足を知識と経験で補っている」と表現されている。
オジエは、前戦のセントラルヨーロッパでパンクに起因するコースアウトを喫したことで、ドライバーズ選手権首位の座を失ったことに触れ、替わって首位に立ったチームメイトのエルフィン・エバンスに13ポイント差で迎えるジャパンでは、リベンジに燃えるのではとしている。2023年、24年は2位でフィニッシュしているものの、ターマックイベントになってからのラリージャパンでは、ここまで勝利を挙げていない。
スペインのカションは、セントラルヨーロッパではラリー全般でWRC2部門をリードしていたが、サスペンションのダメージにより部門初優勝を逃している。ヨーロッパ外でのWRCイベントに参戦したことはないが、ターマックエキスパートとして知られていることで、ジャパンの道にどう対応していくのか注目される。
今年もラリージャパンは、愛知県豊田市にある豊田スタジアムにサービスパークを設置。20SSの総ステージ走行距離は305.34kmが設定されている。
ドライバーズ選手権争いは、前述の通りエバンスが首位に立っており、13ポイント差でオジエとカッレ・ロバンペラが同率の2番手。ヒョンデのオィット・タナックはエバンスに50ポイント差だが、計算上ではタイトルのチャンスを残している。ラリー2マシンは15台がエントリーしており、うち13台がWRC2部門にノミネートしている。
過去2年間のラリージャパンはエバンスが連勝中、ターマックイベントでの初開催はヒョンデのティエリー・ヌービルが勝利を収めた。今回、エバンスが3連勝を飾れば、グラベル時代のラリージャパンも合わせても、ラリージャパン最多勝利者となる。WRCジャパンラウンドをエバンス以外に2回勝利しているのは、ミッコ・ヒルボネン(07年、08年)のみだ。
そのエバンスは、このジャパンで悲願である自身初のドライバーズタイトル獲得を決めるチャンスが浮上している。エバンスがこのジャパンで、オジエとロバンペラに23ポイント差をつければ、最終戦サウジアラビアを待たずに初タイトルが決まる。
■路面とタイヤ
ナローでツイスティ、時に苔むした道を使用するジャパンのステージは、カレンダーのほかのターマックラリーとはほとんど比較対象とはならない。容赦のない道には、防護柵や排水溝、岩肌などが待ちかまえる。そのため、正確な運転と精密なペースノートが成功の鍵となる。この時期は、木の下は落ち葉や湿った場所が多く、グリップレベルは常に不安定。さらに、ここ3回の開催ではいずれも悪天候がラリーの展開に影響を及ぼしている。
ハンコックがこのイベントに供給するタイヤは次のとおり。
RC1
ハード Ventus Z215 WRC3 本数:28本
ソフト Ventus Z215 WRC7 本数:22本
ウエット Ventus Z210 WRC5 本数:12本
RC2、RC3
ハード Ventus Z215 WRC3 本数:26本
ソフト Ventus Z215 WRC7 本数:20本
ウエット Ventus Z210 WRC5 本数:12本
■ラリーデータ
開催日:2025年11月6日〜9日
サービスパーク設置場所:愛知県豊田市豊田スタジアム
総走行距離:933.87km
総ステージ走行距離:305.34m(SS比率32.70%)
総SS数:20
■鍵となるステージ
SS4/5 伊勢神トンネル (19.66 km)
2022年にラリージャパンがWRCカレンダーに復帰して以来、伊勢神トンネルは定番のステージとなっている。その名の由来となった狭いトンネルで知られるこのステージは、WRCのなかでも独特な存在であり、過去には数多くのドライバーを苦しめてきた。3年前にはカエタン・カエタノビッチがトンネル出口でクラッシュし、エミル・リンドホルムにWRC2タイトルを奪われる結果となった。しかしこのステージには、トンネル以上の危険が潜んでいる。2023年には、アドリアン・フルモーとダニ・ソルドがバンクに転落し川にまたがる状態となり、昨年はアンドレアス・ミケルセンも同様の事態に見舞われた。今年は初めて、逆方向で走行するこのステージは、金曜日に設定されているなかでは最も距離が長い。
■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3
APRCファイナル
■マニュファクチャラーズ選手権ノミネートドライバー
[トヨタ・ガズーレーシングWRT]
エルフィン・エバンス(#33)
カッレ・ロバンペラ(#69)
セバスチャン・オジエ(#17)
[ヒョンデ・シェル・モビスWRT]
ティエリー・ヌービル(#1)
アドリアン・フルモー(#16)
[Mスポーツ・フォードWRT]
グレゴワール・ミュンステール(#13)
ジョッシュ・マカリアン(#55)
[トヨタ・ガズーレーシングWRT2]
サミ・パヤリ(#5)
昨年のWRCジャパン結果
1. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド) 3:23:41.0
2 S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド) +1:27.3
3 A.フルモー(フォード・プーマ・ラリー1ハイブリッド) +1:55.5
WRC2部門
1 N.グリアジン(シトロエンC3ラリー2) 3:33:45.3
2 S.パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +1:46.5
3 新井大輝(シュコダ・ファビアR5) +3:20.0
過去のWRCジャパン優勝者
2024年 E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド)
2023年 E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド)
2022年 T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1ハイブリッド)













