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WRC第5戦ラリーポルトガル(グラベル)は5月15日(木)に開幕ステージとなるスーパーSSを走行した後、16日(金)はSS2〜SS11を走行。トヨタGRヤリス・ラリー1を走らせるトヨタは、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデ、勝田貴元/アーロン・ジョンストン、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンが2番手、3番手、4番手と並んだ。TGR-WRT2から参戦するサミ・パヤリ/マルコ・サルミネンは6番手、この日はルーズグラベル路面を先頭で走行した選手権リーダーのエルフィン・エバンス/スコット・マーティンは7番手でこの日を乗り切った。
トヨタGRヤリス・ラリー2でWRC2部門を戦うTGR WRCチャレンジプログラム2期生は、小暮ひかるが部門15番手、山本雄紀が23番手。ルノー・クリオ・ラリー3でWRC3部門に参戦する松下拓未は部門4番手につけたが、後藤正太郎はシェイクダウンで転倒した際にロールケージにダメージを負ったため、出走できなかった。
(以下、発表リリース)
WRC 第5戦 ラリー・ポルトガル デイ2
合計140km以上のグラベルステージを走破のフルデイ初日
オジエ、勝田、ロバンペラが総合2、3、4位につける
5月16日(金)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第5戦「ラリー・ポルトガル」の競技2日目デイ2が、ポルトガル北西部の「フィゲイラ・ダ・フォズ」を起点に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 17号車)が総合2位に、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が総合3位に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)が総合4位に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合7位につけました。また、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は、総合6位につけています。
前日、古都コインブラでのセレモニアルスタートに続き、大西洋に面したリゾート地「フィゲイラ・ダ・フォズ」で行なわれたスーパーSSで始まったラリー・ポルトガルは、16日金曜日の朝から本格的な戦いがスタート。ポルトガル北西部の山岳地帯で10本合計146.48kmのグラベル(未舗装路)ステージが行なわれました。約15時間にわたる競技は途中にフルサービスが設けられず、20分間のリモートサービス2回のみで一日を走り切る非常に苛酷な一日になりました。ポルトガル北西部は朝から好転に恵まれ、ステージの路面は基本的にはドライコンディションでしたが、週の前半に降った雨の影響で、午前中は路面が湿っているステージもありました。
グラベルラリーへの出場は、昨年9月のラリー・チリ・ビオビオ以来となるオジエは、朝の2本のステージでは思うようにペースが上がらず、総合5位に。しかし、2番手タイムを記録した3本目のSS4を境に速さを増していき、午前中のループを終えた時点で総合3位に順位を上げていました。アルガニルでのリモートサービスを経て始まった午後の再走ステージ1本目、SS6ではベストタイムを記録。続くSS7では、3番手タイムを1回、2番手タイムを2回刻むなどやはり調子を上げてきた勝田がベストタイムを記録し、オジエを抜き総合3位に順位を上げました。さらに、SS8では総合2位につけていたアドリアン・フォルモーが大きく後退したことにより、このステージ3番手タイムの勝田は総合2位に、オジエは勝田と0.4秒差の総合3位に順位を上げました。午後の再走ステージ最後のSS9では、勝田のタイムを上回ったオジエが総合2位に。一日の終盤に設定された、かつて90年代に使用された2本のステージでもオジエは速さを保ち1、2番手タイムで走破。首位のオィット・タナック(ヒョンデ)と7秒差の総合2位でデイ2を締めくくりました。一方、勝田は最後の2本のステージでペースが上がらず。オジエとの差は20.1秒に拡大しましたが、総合3位の座は守り切りました。
ドライバー選手権首位のエバンス、2位のロバンペラは、ステージの出走順が1、2番手だったことにより、多くのステージでルースグラベルを掃き飛ばしながらの不利な走行を強いられました。それでもロバンペラは2番手タイムを3回記録するなど、ステージによってはハンデを感じさせない好タイムを記録。勝田と1.2秒差の総合4位まで順位を上げました。また、Rally1車両でのラリー・ポルトガル出場は今回が初めてとなるパヤリは、一日を通して安定した走りを続け総合6位に。不利な一番手スタートにより多くのタイムを失った総合7位エバンスに、7.6秒差をつけて一日を終えました。
50台以上のクルマがエントリーリストに並んだRally2車両の戦いは、WRC2にエントリーするオリバー・ソルベルグが圧巻の速さを発揮。全10ステージのうち、9ステージでベストタイムを記録し首位に。WRC2クラス 2番手のライバルに43.6秒という大きな差を築き、総合でも10位につけています。
ユハ・カンクネン(チーム代表代行)
長い一日でしたが、全体としては良い一日でした。多くの過酷なステージを走破した選手たちの仕事にとても満足しています。もちろん、エルフィンは多くのステージの1回目の走行ではロードクリーニングに少し苦しみましたし、2回目も小さいサイズのクルマが刻んだ異なる走行ラインの影響を受け、決して楽な走行ではありませんでした。セブはトップとかなり近い位置につけており、貴元とカッレもトップ 4内に入っています。明日、彼らがどのような走りを見せてくれるのか、とても楽しみです。サミも素晴らしい走りを見せ、いい順位で一日を終えました。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
厳しい一日でした。朝のスタートはそれほど悪くありませんでした。午前中の最初の2本のステージは道が完全には乾いていなかったため、コンディションは皆あまり変わらず、タイムロスもそれほど大きくありませんでした。しかし、その後はかなり苦戦しました。一日の最後の2本のステージはグリップが非常に低く、路面のクリーニングが極めて大変だったことを考えると、午後の再走ステージのループに関してはもっともっと良いタイムで走ることができたはずです。それでも明日は、少なくとも今日よりは良い出走順でスタートすることができますし、砂が多いステージはもう少し走りを楽しめるはずなので、より良いフィーリングを見つけて、さらにプッシュしたいと思っています。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
とてつもなく長い一日でしたが、かなり満足できる結果になったと思います。ベストとは言い難い状況でしたが、自分の出走順からできることはすべてやれたと思います。朝はいつものポルトガルよりもグリップが低いコンディションでのスタートになり、誰にとってもトリッキーな状況だったと思います。その後、路面が乾いていき、いつものようなコンディションに近づきました。午後の再走ステージのループは自分たちにとって特に良かったと思うので、明日はこれまで相性が良かったステージでタイム差を挽回できるように頑張ります。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
良い一日でした。朝はクルマのセットアップに少し違和感を覚え難しいスタートになりましたが、おそらくそれはウェットコンディションの難しい路面で事前テストを行ったことが理由だと思います。しかし、ステージとステージの間で調整を重ねた結果、走りのリズムが良くなっていきました。週末に向けてソフトコンパウンドタイヤを温存しながらも、上位を争い、トップに近い位置で戦えたことに満足しています。オィットとのバトルは常に緊張感がありながらも楽しめるものなので、明日もプレッシャーをかけ続けるためにベストを尽くす必要があります。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
一日の大部分は順調でした。クルマはとても扱いやすく感じましたし、運転を楽しむこともできました。ただ、一日の最後に2本の新しいステージを走った時はフィーリングがそれほど良くなく、少し安全サイドに振った運転をしたかもしれません。それでもまだ3位を維持していますし、ラリーはあと2日残っています。明日もまた出走順は良いので、引き続きプッシュし続けます。
サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
自分たちにとっては悪くない一日でした。序盤はコンディションが変わりやすく、リズムをつかむことに苦労しましたが、その後は路面が乾き始め、かなりラフになっていきました。テストが雨に見舞われた影響でラリーへの準備は理想的ではありませんでしたが、セットアップをかなり大きく変更した結果、良い方向に進むことができました。今日は思い切りハードにプッシュしたという感じではなかったので、ペースはそれに見合うものだったと思います。今日の走りをベースに、明日はさらなる改善を目指します。
ラリー・ポルトガル デイ2の結果
1 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) 1h41m26.2s
2 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) +7.0s
3 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +27.1s
4 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +28.3s
5 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +32.7s
6 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m01.4s
7 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m09.0s
8 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +1m50.2s
9 ジョシュ・マッカーリーン/オーエン・トレーシー (フォード Puma Rally1) +1m54.3s
10 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR Yaris Rally2) +3m38.2s
(現地時間5月16日23時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
明日のステージ情報
競技3日目となる17日(土)のデイ3は、サービスパークの東および東北エリアを中心にステージが設けられ、「ヴィエイラ・ド・ミーニョ」「カベセイラス・デ・バスト」「アマランテ」という4本のステージを、マトジニョスでのミッドデイサービスを挟んで各2回走行。全長22.10km のアマランテは、今年も大会最長のステージとなります。その後、「ロウサダ」のラリークロスサーキットで名物のスーパーSSで一日が終了。7本のステージの合計距離は122.92km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走距離は640kmとなります。