WRCフィンランド:トヨタ勢、エルフィン・エバンスが首位キープで最終日へ、勝田貴元は3番手を死守 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCフィンランド:トヨタ勢、エルフィン・エバンスが首位キープで最終日へ、勝田貴元は3番手を死守

©Toyota Gazoo Racing WRT

WRC第9戦ラリーフィンランド(グラベル)は8月5日(土)、フィンランドのユバスキラ市街地でSS11〜18の走行が行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンス/スコット・マーティンが首位、勝田貴元/アーロン・ジョンストンが3番手をキープした。4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッドを駆るヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネンも、安定した走りを続けて総合5番手を堅守している。一方、前日のSS8でコースオフを喫したカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンは、再スタートを断念した。

(以下、チームリリース)


WRC 第9戦 ラリー・フィンランド デイ3
首位エバンスが7本のベストタイムでリードを拡大
勝田は激戦の末、総合3位の座を守る

8月5日(土)、2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦「ラリー・フィンランド」の競技3日目デイ3がユバスキュラのサービスパークを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)が総合1位、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が総合3位、スポット出場のヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネン組(97号車)が総合5位につけ、前日までの順位を守りました。なお、デイ2でコースオフを喫したカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組 (69号車)は、クルマのダメージが大きくデイ3での再出走を断念。リタイアとなりました。

Toyota Gazoo Racing WRT

ラリー・フィンランドのデイ3は、サービスパークの南西エリアが戦いの舞台となり、「ヴァスティラ」「パイヤラ」「ラプスラ」「ヴェックラ」という4本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。8本のステージの合計距離は160.68kmと、4日間で最長の一日でした。デイ3もまた天気は安定せず、午前中は時々降る雨により路面は全体的に湿った状態に。しかし、午後は天気が回復して青空も広がり、路面は急速に乾いていきました。

前日のデイ2で首位に立ったエバンスは、トリッキーなコンディションとなったステージで朝から速さを発揮。午前中の4本のステージ全てでベストタイムを記録し、総合2位のティエリー・ヌービルに対するリードを6.9秒から、17.7秒にまで拡大しました。さらに、ミッドデイサービスを経て行なわれた午後の再走ステージでもエバンスの勢いは止まらず、3ステージ連続でベストタイムを記録。特に、SS15では2番手タイムの選手に7.8秒という大差をつける圧巻のスピードを発揮しました。エバンスはデイ3の全8ステージのうち、7ステージでベストタイムを記録することとなり、32.1秒という大きなリードを築いてデイ3を走破しました。

デイ2終了時点で総合2位のヌービルと9.5秒差の総合3位につけていた勝田は、午前中2本目のSS12でスピン、15秒程度タイムを失い、総合4位に後退しました。しかし、その後も勝田は攻めの走りを続け、3ステージ連続で3番手タイムを記録。総合3位に順位を上げたテーム・スニネンを激しく追い上げ、午後1本目のSS15で総合3位に復帰しました。続くSS16では0.3秒差で再び順位が入れ替わりましたが、SS17では3番手タイムで差は0.1秒に。そして、デイ3最終のSS18では渾身の走りで今大会2度目となるベストタイムを記録し、スニネンに6.4秒差をつけて総合3位に復帰しました。また、2019年以来のラリー・フィンランド出場となるラトバラは、デイ3でも非常に安定した走りを続け、総合5位の座を維持しています。なお、デイ2で首位を走りながらも横転したロバンペラは、シャシーのダメージが大きく、ラリー期間中に修理をできないことから、今大会からリタイアすることになりました。

豊田 章男 (TGR-WRT会長)
今日のエルフィンの走りは素晴らしいものでした。残念ながらカッレは今朝再スタートすることができませんでしたが、エルフィンの素晴らしい走りがチームに大きな力を与えてくれました。ここフィンランドの道で、彼は自信を持ってクルマをドライブしていると思います。走れば走るほど自信が深まり、運転をより楽しめるようになっていく姿を見るのは、とても嬉しいことです。貴元は一日を通して激しい戦いを続け、特に最終ステージでは良き友人であるカッレから、滑りやすいコンディションでの走りかたについてアドバイスを受けて走ったようです。私たちのドライバーがお互いを助け合いながら戦っていることを、とても誇りに思います。ヤリ-マティはステージ走行後のインタビューでたくさんお喋りしていますが、それは彼がラリーを楽しんでいるということなので、いいと思いますし、彼の笑顔を見ると私も楽しくなります。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
今日はフィーリングが良く、クルマも良く走ってくれました。プッシュする自信もありましたし、必要に応じてクリーンなドライビングに集中することもできました。特に最後のステージは難しいコンディションでしたが、全てをコントロールできていたと思いますし、もちろんこの順位で一日を終えることができて嬉しく思います。今日は世界最高ともいえるステージを含む、素晴らしいステージを走りましたが、このようなコンディションでも思い通りに走れるクルマに仕上っていたのは素晴らしいことですし、2021年にここで味わったいい感覚を思い出させてくれました。しかし、明日もまだそこそこ長い距離を走るので、この順位を保ったままフィニッシュするために何をすべきかに集中しています。

Toyota Gazoo Racing WRT

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)
今朝はまだ雨がかなり降っていてトリッキーでした。1本目のステージはグリップを見極めるのに苦労し、2本目はより良いドライビングを心がけたのですが、小さなミスでタイムをかなり失ってしまいました。その後、反撃を試みましたがタイム差は非常に小さく、各ステージでコンマ数秒しか稼ぐことができませんでした。それでも、最後のステージが難しいコンディションになることはわかっていたので、できる限りプッシュすることにしました。もちろんリスクはありましたが、少しでもタイムを縮めることができれば、明日に向けてより良いポジションを確保できると思って攻めました。明日も大きなチャレンジになると思いますが、ベストを尽くして戦います。

ヤリ-マティ・ラトバラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 97号車)
今日も楽しい一日でした。ヤムサ周辺のステージは道幅が広く、ハイスピードで、流れるようなコーナーが続き、多くの観客がいて雰囲気も最高でした。雨が多く降ったのでコンディションは少し難しかったですが、それでも概ね走りを楽しむことができました。最後のステージはまるでサファリ・ラリーのようで、深い轍には雨水があふれ、フロントガラスには泥がたくさんつきました。それでも、ステージではたくさんの人たちが応援してくれて、『よくやっているよ』と言ってくれるのは嬉しいものです。彼らの声援が私を後押ししてくれるのは素晴らしい気分ですし、このまま明日のフィニッシュまでそれが続くことを願っています。

ラリー・フィンランド デイ3の結果
1 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 2h08m07.0s
2 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +32.1s
3 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m27.8s
4 テーム・スニネン/ミッコ・マルックラ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +1m34.2s
5 ヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +3m39.5s
6 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +8m05.0s
7 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (シュコダ Fabia RS Rally2) +8m17.5s
8 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (フォード Fiesta Rally2) +8m51.4s
9 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シュコダ Fabia RS Rally2) +9m42.7s
10 アンドレアス・ミケルセン/トシュテン・エリクソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +10m02.6s
(現地時間8月5日20時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

明日のステージ情報
競技最終日となる8月6日(日)のデイ4は、前日に続きサービスパークの南西エリアが戦いの舞台に。「モクシ-サーロイネン」「ヒモス-ヤムサ」の2本のステージを、ミッドデイサービスを挟むことなく各2回走行します。SS19/21「モクシ-サーロイネン」は昨年大会の逆走ステージとなり、SS20の再走となる最終のSS22「ヒモス-ヤムサ2」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに対し、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。ステージは全部で4本でその合計距離は51.64km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は309.61kmとなります。

Toyota Gazoo Racing WRT



RALLY PLUS