WRCメキシコ事前情報:今季最初のグラベルラリーは2020年以来の開催となる高地イベント – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCメキシコ事前情報:今季最初のグラベルラリーは2020年以来の開催となる高地イベント

©Toyota Gazoo Racing WRT

WRCは第3戦の舞台を、2020年以来のメキシコに移す。前回大会は新型コロナウイルスの感染が一気に世界的に拡大し、土曜日に途中終了という異例のフィニッシュを迎えていた。その後、2年はカレンダーから外れていたが、今季はメキシコ首都から北西に400km離れたレオンで、選手権第3戦の開催を務める。

情熱的なファンが集まることでドライバーからの支持も高いイベントだが、ラリーとしての試練は厳しく、石が散乱するグラベルステージは気温が30度にも達するうえ、場所は最も高い場所で2700mという標高を誇る。空気が薄くなるだけでなく、エンジンパワーもおよそ25%下がることになる。

2004年からWRCラウンドとして開催されるこのラリーのハイライトのひとつは、世界遺産でもあるグアナファトでのセレモニアルスタート。毎年、何千人もの人が集まるなか、市街地のスーパーSSを2回走行する。

WRCラウンドとしての開催と並行して、今回のラリーメキシコはFIA NACAM選手権の開幕戦にもあたり、地域選手権のドライバーやチーム陣が、世界が注目する舞台でスキルを披露する絶好の機会となる。

■エントリー状況
ヒョンデ・シェル・モビスWRT:2014年にヒョンデに初めてWRCメキシコラウンドの勝利をもたらしたティエリー・ヌービルに、エサペッカ・ラッピとダニ・ソルドが加わる。ラッピは今季、ヒョンデに加入。ソルドはクレイグ・ブリーンとサードカーをシェアしての参戦のため、開幕戦モンテカルロ以来の参戦となる。

Mスポーツ・フォードWRT:オィット・タナックとピエール-ルイ・ルーベをフォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1のドライバーに起用。タナックはメキシコで2位フィニッシュを2回果たしているが、ルーベは初めてのメキシコ参戦。ジョルダン・セルデリディスもプーマ・ハイブリッド・ラリー1でエントリーするが、マニュファクチャラーズ選手権ポイントの対象外での参戦となる。

トヨタ・ガズーレーシングWRT:WRCタイトルを8回獲得しているセバスチャン・オジエが今季2度目の参戦。オジエは、前回WRCとして開催された2020年のラリーメキシコで優勝を飾っている。チームメイトは、カッレ・ロバンペラとエルフィン・エバンス。前戦スウェーデンで、初めてマニュファクチャラーズ選手権ポイント対象のドライバーとしての参戦を経験した勝田貴元は、今回はセミファクトリードライバーとしての役目に戻る。

■サポートカテゴリー
WRC2は強豪が名を連ねる。2022年王者のエミル・リンドホルム(トクスポーツWRT2、シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)、昨年はラリー1で参戦してきたガス・グリーンスミス(ファビアRSラリー2)のほか、アドリアン・フルモー(Mスポーツ・フォードWRT、フォード・フィエスタ・ラリー2)、トクスポーツWRT2のニコライ・グリアジン、カエタン・カエタノビッチ(いずれもファビア・ラリー2 Evo)、マルティン・プロコップ(フィエスタ・ラリー2)、オリバー・ソルベルグ(ファビアRSラリー2)など、ラリー優勝の経験者が数多く参戦する。

ポーランドのプライベーター、ダニエル・シュウィストは、ファビア・ラリー2 EvoでWRC2チャレンジャー部門に参戦。祖父に、ヨーロッパタイトルを3回獲得し、2021年には当時91歳でサファリラリーに参戦したソビエスワフ・ザサダを持つ。そのほか南米からは、チリのジョルゲ・マルティネスとペルーのエデュアルド・カストロが登場する。

WRC3は、パラグアイのディエゴ・ドミニゲス(フォード・フィエスタ・ラリー3)のみのエントリー。

■ラリールート
2023年のルートは総走行距離969.89kmと比較的コンパクトだが、試練と変化という意味では大きく、今回もレオンに近いシエラ・デ・グアナファト山脈と、シエラ・デ・ロボス山脈にステージを集中させた。

Distrito Leon Mxはステージを延長してサービスパーク内のセクションを追加したほか、Ibarrillaのステージが復活。人気の観戦ポイント、アグア・ザルカでも有名なこのコースは2016年以来の設定だ。

土曜日に1回、日曜日に2回走行するLas DunasのスーパーSSは、鉱山の跡地にゼロから作られたステージ。主催者はこの3.70kmのステージから「素晴らしい映像」が生まれることを期待している。一方、日曜日のSan Diegoは2020年に初めて設定されたものの、この時は土曜日に急遽ラリーが終了してしまったため、実際に競技で走行されることはなかった。

ラリーは3月16日夜にグアナファトのStreet Stage GTOを2回走行して開幕。金曜日は31.45kmのEl Chocolateから始まる。名物ステージLas MinasとOrtegaもこの日に設定されており、スーパーSSで1日を締めくくる。

21.69kmのDerramaderoは、Ibarilla、El Mosquitoと並んで土曜日の人気コースとなることが予想される。
ラリー最長ステージは、日曜日のOtatesで35.93km。最終のパワーステージにはEl Brinco(9.58km)が指定されている。

■ラリーデータ
開催日:2023年3月16日〜19日
サービスパーク設置場所:レオン
総走行距離:964.28km
総ステージ走行距離:312.77km(SS比率32.44%)
総SS数:23

■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3

■マニュファクチャラーズ選手権ノミネートドライバー
[トヨタ・ガズーレーシングWRT]
カッレ・ロバンペラ(#69)
エルフィン・エバンス(#33)
セバスチャン・オジエ(#17)

[ヒョンデ・シェル・モビスWRT]
ティエリー・ヌービル(#11)
エサペッカ・ラッピ(#4)
ダニ・ソルド(#6)

[Mスポーツ・フォードWRT]
オィット・タナック(#8)
ピエール-ルイ・ルーベ(#7)

■2020年ラリーメキシコ最終結果
1 S.オジエ/J.イングラシア(トヨタ・ヤリスWRC) 2:47:47.6
2 O.タナック/M.ヤルベオヤ(ヒョンデi20クーペWRC) +27.8
3 T.スニネン/J.レーティネン(フォード・フィエスタWRC) +37.9

■近年のウイナー
2020年 S.オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)
2019年 S.オジエ(シトロエンC3 WRC)
2018年 S.オジエ(フォード・フィエスタWRC)
2017年 K.ミーク(シトロエンC3 WRC)
2016年 J-M.ラトバラ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)



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