WRCクロアチア:ラトバラ「ポイント計算なんて時間の無駄だった」イベント後記者会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCクロアチア:ラトバラ「ポイント計算なんて時間の無駄だった」イベント後記者会見

©Toyota Gazoo Racing WRT

WRCクロアチアラリーのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。総合2番手に後退してパワーステージを迎えたトヨタのカッレ・ロバンペラをサービスで見守っていたチーム代表のヤリ‐マティ・ラトバラは、タイヤチョイスが合わないコンディションに一時は勝利もあきらめかけたなかで見せたロバンペラの激走に、チームスタッフ全員が驚愕したことを明かした。

●WRCイベント後記者会見 出席者

Toyota Gazoo Racing WRT

1位:カッレ・ロバンペラ=KR(トヨタ・ガズーレーシングWRT、トヨタGRヤリス・ラリー1)
2位:オィット・タナック=OT(ヒョンデ・シェル・モビスWRT、ヒョンデi20 Nラリー1)
3位:ティエリー・ヌービル=TN(ヒョンデ・シェル・モビスWRT、ヒョンデi20 Nラリー1)
ヤリマティ・ラトバラ=JML(トヨタ・ガズーレーシングWRT、チーム代表)

Q:カッレ、本当にドラマチックな最終日を終えて、今の気分は
KR:もちろん、いい気分だ。全体的にかなりタフな週末だったし、最終日にこのような戦いになってまだプッシュしなくてはならないのは、よりエキサイティングだったし、気分もさらにいい。

Q:最終ステージは、本当にプッシュしていた。やり切ったくらいなのでは
KR:あれ以上の走りはできないね。

Toyota Gazoo Racing WRT

Q:最終日の午前、君はハードタイヤでオィットはソフトだった。この決定にはハッピーだったか
KR:あの段階では、もちろんいいと思っていた。最初の1本ではハードがかなりいいだろうと分かっていた。ドライだったし、グリップもかなりあったのでハードでよかった。最初のステージを走っていた時はOKだったが、その後、雨が降り出して流れが悪くなった。

Q:あのステージを終えてリードを奪われた時はショックを受けていたように見えた
KR:そうだね、ウエットタイヤを2本、クロスで履いていたのだが、ハードの2本がフルウエットではまったく機能しなかった。ステージを通してタイムをロスし続けるすると分かっていながら、何も打つ手がない中で走るのはタフなものだ。速さを上げようと試みるが、グリップしない。あのような状況では何もできることがないので、打ちのめされた気分になるよ。

Q:最終ステージでは日差しが出てきたが、それでもあのタイヤチョイスは理想的ではなかった。クルーからの情報はどれくらい重要だったか
KR:週末を通して重要だった。グラベルクルーは、いいノートを正確に作る大変な仕事をしてくれているので、僕らも彼らを信頼できるし、パワーステージでもいい仕事をしてくれていた。あのステージを迎える時、自分たちのタイヤの組み合わせではドライブしやすくはないと分かっていた。でも、終盤、ハードがうまく効いた場所があった。でもすごく泥が出ていてダーティな場所もあったので、あれがベストだったのかどうか分からない。ものすごくタフだったが、とにかくプッシュするだけだった。

Q:グラベル、スノーで勝ち、今回はターマック。これまでの勝利と比べてどうか
KR:少なくとも、一番トリッキーだった。もちろん、週末を通してトリッキーなコンディションだった。誰もがミスをしたりトラブルを抱えたりしていたし、終盤で自分もパンクや雨の降り時を見誤った。だから、タフだった。

Q:オィット、1ステージで首位に立ち優勝も狙えた。今日の戦いの総括と、2位という順位に対する気分は
OT:初日の後はかなり浮き沈みがあったが、この順位につけられるとは予想していなかった。金曜日はかなり離れてしまったし、毎日状況が変わっていった。序盤は雨が降っていて、一番ラクだった。しかし、それぞれのステージがまったく異なり、世界の違う場所に行っているような感じだった。それがひとつのループにあるというのは難しかったが、唯一の自分たちの強みは、とてもクレバーでいいタイヤチョイスができたということ。土曜日と最終日も、すごくうまくいった。これが、自分たちの最強カードだった。

Hyundai Motorsport GmbH

Q:最終日の午前は確かにタイヤチョイスの効果が現れていた。君はソフトを履き、ティエリーはスプリット。与えられた天気の情報は絶妙だった
OT:そうだね、僕らのスタッフはいい仕事をしてくれた。少なくとも彼は挑んでくれた。今日の午前でさえ、雨については彼自身も確証を持てていなかったが、可能性が高かったし、自分と後続との間には大差がついていた。自分が大きなリスクを負っているという感じはなかった。個人的には攻めていきたかった。最初のステージを終えてあまりに悪かったので、最後のループまでティエリーやクレイグ(ブリーン)を抑えられるか心配になり始めたが、次のステージでは驚くほどよくなった。あの天気については、信じがたいね。

Q:最終ステージに向けては何を考えていたのか
OT:もちろん優勝を目指したが、土曜日のようなコンディションでは、パフォーマンスが発揮できない。もちろん、ティエリーの方が常に速いが、彼はかなり限界までプッシュしていた。自分たちは、間違いなくトヨタ勢と張り合うほどの速さが少し欠けていた。それ以外は、いいステージになったし、クリーンでミスもなく、危ない場面を引き起こさないように努めていた。

Q:ティエリー、週末を通してドラマの連続でパワーステージでも退屈させなかったね! バンクにヒットした時はポディウムが遠ざかったと思ったか
TN:正直、思わなかったよ。マシンがどこに行ったのか分からなかった。ディッチがあることは分かっていたのでマシンを守ろうとしたが、どうなったかはご存じのとおり。すごく派手なように見えたが、車内ではそれほどでもなく、パンクを2本しただけで済んだ。幸い、2本だけだった。そうでなければ、サービスに戻るのは大変になっただろうからね。チャレンジングで、感情が入り乱れて、浮き沈みの激しい週末だった。フラストレーションもすごくたまったが、楽しいことも少しあった。いろいろなことがあったから、最終日の午前のように3番手に追いつくことが一番の目標になっていたからね。だから、いまここにいられてハッピー。パワーステージポイント3点は獲れていたかもしれないのを逃したけれどね。

Hyundai Motorsport GmbH

Q:モンテカルロと比べてマシンはどうだったか
TN:マシンがよくなったことは確かだ。でも、1イベントだけでモンテで発生した問題を突き止められるかといえば、現実的には無理だろう。現実的に考え続けなくてはならない。一歩前進したし少し近づけたが、まだすべてではない。パフォーマンスの面でも、また信頼性の面でもね。最初の3戦で自分は3回ヒットしているからね。この先のイベントに向けて成長していきたい。どうにかこうにか2台がポディウムに上がれたので、マニュファクチャラーズ選手権としては今週末はこれまでよりも少しよくなった。でも、タイトルを獲るためには、まだステップを踏んでいかなくてはならない。

Q:次は、今季最初のグラベルイベントのポルトガルだ。セバスチャン・ローブ、ダニ・ソルドが再び登場し、もしかしたらオジエも。その点で、強豪ドライバーが非常に有利な走行順で出てくることをどう感じるか
TN:この3クルーは勝てるドライバーなので、オィット、カッレ、自分にポディウムのチャンスがあるかと言えば現実的ではないが、僕らはこの数週間で練習をしなくてはならないし、今回の週末のような天気になれば優勝のチャンスも出てくる。

Q:カッレ、グラベルのポルトガルを先頭走行で走ることについては。ポディウムは狙えると思うか
KR:自分にとっても、可能性は低いだろうね。興味深いし、トリッキーになるだろう。プランとしては、この先のラリーでポイントを獲得して、いいペースを続けていくという感じだと思う。ポディウムや優勝を争うのは簡単ではないと分かっているし、あるいは不可能かもしれない。自分たちのベストを尽くすしかない。

Q:オィットはどう。今年最初のグラベルラリーを楽しみにしているか
OT:そうだね、最初のテストが終わって、グラベルのフィーリングをつかめるといいけどね。ポルトガルはいつも楽しいイベントだし、ステージも素晴らしい。でも、どうなるかな。このマシンで初めてのグラベルで、どんな順位につけられるのか興味深いよ。

Q:ヤリ‐マティ、この週末のカッレのパフォーマンスをどう思ったか。最終日はどんな気持ちだったか
JML:感情は……週末をとおして上がったり下がったり。オィットは、限界まで我々を本当にプッシュしていた。最終日の午前は、あのタイヤチョイスで走り始め、最初のステージでのカッレを見てよさそうな感じだった。ほぼ勝てる流れだった。それから事態が一変し、最後から2本目でオィットが非常に素晴らしいタイムをマークし、首位に浮上した。あの段階で、勝利を逃したと思った。雨が降り始めたし、パワーステージも雨になるだろうと思った。WRC2勢の走りを見て道にかなりたくさんの泥が出ていたので、オィットのタイヤの方が有利だと分かった。自分は今回どれくらいポイントを失うか、ヒョンデはどれくらい追いついてくるか、計算を始めた。でも最終的には、紙を放り投げて、時間の無駄だったと思った。そんなことをするなんて、ナンセンスだったと。カッレの最初のスプリットが出て、みんなが驚いた。どうやったらあんなに速く走れるのかと、信じられなかった。ミラクルだよ。ものすごいスピードで、どうすればハードタイヤであのように走れたのか。そして彼はあのステージを制した。自分にとって、これまでのカッレのベストのパフォーマンスだ。これまでもいい走りはしてきたが、今回のはダントツで彼のベストドライブだ。

Toyota Gazoo Racing WRT

Q:あのタイヤチョイスについて。どのチームも探りを入れていて、オィットはカッレより先にタイヤを選んだ。気持ちの中でハードコンパウンドに疑問はなかったか
JML:自分たちに届いた情報では、ドライコンディションになるのでドライタイヤで行くべきなのは明白だった。それから最後の最後に、カッレにウエットタイヤを2本履かせる決断をした。ラッキーにも、それが報われた。それがなければ完全に負けていたと思うが、あの2本のタイヤで救われた。ヒョンデは少し賭けに出ていたと思うが、結果的には彼らのチョイスの方が良かった。自分たちはかなり自信を持っていたし、雨が降り始めることを知らなかったので、かなり驚いた。でも、たくさんのドライバーも驚いたと思う。予想するのがとても難しかったし、準備するのもすごく難しい。時にはこうしたことも起こる。それがラリーだし、すべてのことに備えることはできない。

Q:金曜日の晩にオィットと会話しているのを見かけた。オィット、彼は何を言っていたんだい
JML:僕らは元チームメイトだし、同じチームで走っていたんだよ! とても正直な会話をしていたんだ。自分のセリカや旧車のドライビングについてね。いい会話だったよ。

Q:トヨタはポルトガルで何台走らせるのか
JML:4台だ。

Q:4台目は誰が乗るのか
JML:乗るのはカッレ・ロバンペラ、エルフィン・エバンス、勝田貴元、あともう1台だ。

Q:もうひとりのドライバーは……サプライズはないよね。君ではないだろう?
JML:そうだとしたら最高のサプライズだけど、そうはならないと思うよ! 残念ながら今の段階ではハッキリさせることはできない。



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