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WRCスペイン:ピレリの新舗装タイヤ、P ZERO RA WRCがデビュー

©PIRELLI

WRCが今週、今季第11戦ラリースペインでシーズン最速のターマックイベントを迎えるなか、ピレリは新型タイヤを投入する。今年のターマックラリーであるクロアチアとベルギーでデータを蓄積したピレリは、最新バージョンのターマック用タイヤ、P Zero RA WRC HA(ハードコンパウンド)とP Zero RA WRC S(ソフトコンパウンド)を開発した。

来季から導入されるハイブリッドの新規定マシンを視野に入れたこのタイヤは、先日スペインでテストを行い、今回のラリーで実戦デビューを迎える。この新タイヤは革新的な構造を採用しており、特にショルダーは前モデルと比較して耐衝撃性を高めたことでより強くなったという。全チームから支援のおかげで、開発プログラムの予定は前倒しで進んでいるとのことだが、定評あるP Zeroのパフォーマンスとドライバビリティは維持されているという。

P Zero RA WRC:ピレリのターマックタイヤはハードとソフト、ふたつのコンパウンドが用意される。ドライコンディションで気温が高く、距離の長いステージでは、新しいハードコンパウンドタイヤ(P Zero RA WRC HA)が第一選択となる。ソフトタイヤ(P Zero RA WRC S)は、ドライと湿ったコンディションのミックスや、気温の低い状態、スリッパリーなステージでの代替の選択肢となる。

P Zero RA RC2:パワーが低いラリー2マシンに用意され、コンパウンドは同じくドライコンディション向けのハードコンパウンド(RA5)、ミックスや湿ったコンディション向けのソフトコンパウンド(RA7+)のふたつ。いずれも、ワールドラリーカー勢が履くP Zero RA WRCに投入されている特徴の多くが流用されている。

Cinturato RWB:全部門の4輪駆動マシンに用意されるウエットコンディションのターマック用タイヤ。独自のトレッドパターンにより特に排水性が高く、ハイドロプレーニングを軽減する。

PIRELLI

テレンツィオ・テストーニ(ピレリ・ラリーアクティビティマネージャー)
「カタルーニャは1年で最もタフなイベントのひとつで、最も攻略の難しいターマックと言えるかもしれない。高速コーナーが多く速度域の高いイベントで、トラクションとブレーキングも多くタイヤへの負担も大きい。さらに、例年気温が高いほか、道のほとんどはスムーズではあるが、摩耗の激しい路面であることも試練となる。我々の最新版P Zero RA WRC HAタイヤは、ドライバーに安定感と一貫性を気持ちよく感じてもらえるように設計されており、このようなラリーではタイヤ戦略がリザルトに直結することもあり、特に重要な点となる」

「スペインでは、スムーズで計算されたアプローチに効果がある傾向にあり、まとまりのないドライビングスタイルは、貴重な数秒のロスにつながることもある。また、新たなステージや過酷なステージもあり、オールターマックとなる今年のスペインでの展開が興味深い。今年のジュニアWRCはこのスペインで最終戦を迎える。若手ドライバーがステップアップを踏んでいくことを支援するというピレリのスポーツ信念にとって重要なカテゴリーだ」

ピレリが今回のスペインに持ち込むタイヤの本数は約3200本。そのうちおよそ900本がWRカー用だ。

各マシンがラリー中に使用できるタイヤ本数は次のとおり。
ワールドラリーカー
P Zero RA WRC HA (hard)
:32本
P Zero RA WRC S (soft):24本
Cinturato RWB:12本

ピレリは、WRC2、WRC3を含め、エントリーする4WDマシンにも2000本のタイヤを供給する。
4WDマシン(WRC2、WRC2を含む)
P Zero RA5 (hard)
:30本
P Zero RA7+ (soft):22本
Cinturato RWB:12本

ピレリが2018年からタイヤを供給するジュニアWRCは、フォード・フィエスタ・ラリー4のワンメイクで、このカテゴリーには230本のタイヤを用意する。
ジュニアWRC
P Zero RA5 (hard)
:18本
Zero RA7+ (soft):8本
Cinturato RWB:12本

ツイスティな公道を使用するラリースペインは基本的にスムーズなターマック路で構成されるが、摩耗の激しいセクションもあるため、適切なタイヤ戦略と丁寧なドライビングスタイルが肝となる。タイヤの摩耗は、特に気温が高い時には重要な要素。ドライバーはコーナーをカットする傾向にあるので、道に石やグラベルが掻き出されることも多く、走行が重なるごとに道がダーティになっていく。

PIRELLI

今年のラリースペインは雰囲気が変わり、10年間ミックス路面のイベントとして開催されてきたが、今年は100%ターマックステージでの戦いとなる。新ステージも多く設定されており、特に金曜日の開幕ステージは最も短いが、ヘアピンや下りのセクションが多く、この日最もトリッキーなステージと言えそうだ。土曜日はイベント最長の日で、サロウの市街地で締めくくられる。また、日曜日の開幕ステージは、夜明け前からの走行となる。選手権争いの面でも重要なイベントとなり、セバスチャン・オジエとトヨタは、ドライバーズ、マニュファクチャラーズのタイトルをここで決められるチャンスを握っている。ニル・ソランスは、ヒュンダイi20クーペWRCでWRカーデビュー。兄弟のヤン・ソランス(2019年ジュニアチャンピオン)はシトロエンC3ラリー2でエントリーしている。スペインチャンピオンのペペ・ロペス(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)も注目のドライバーだ。

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