WRCモンツァ:波乱の競技3日目はオジエが総合首位に。勝田は再びSS二番時計をマーク – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCモンツァ:波乱の競技3日目はオジエが総合首位に。勝田は再びSS二番時計をマーク

©TOYOTA

12月5日(土)、WRC最終戦モンツァは競技3日目を終えて、トヨタのセバスチャン・オジエが総合首位に立った。2番手にはダニ・ソルド、3番手にはオィット・タナックとヒュンダイ勢が続く。ランキングトップのエルフィン・エバンスがSS11で氷雪路に足をすくわれコースオフ、リタイアを喫するなど波乱の1日となった。

競技3日目は山岳路を舞台にSS7〜SS13の計7SSが行われる山場の1日。3SSを2回走行し、最後にモンツァ内のコースを走る構成で、SS走行距離は126.95kmとなっている。この日も分厚い雲がかかり、スタート前の気温は4度。路面は濡れており、山岳ステージの一部セクションではまるでモンテカルロのようなアイスターマックに変化する難しいコンディションでの戦いとなる。

上位陣のほとんどはウエットタイヤ4本+スノータイヤ2本という組み合わせを選択。トヨタのカッレ・ロバンペラとMスポーツ・フォードのエサペッカ・ラッピはウエットタイヤ6本、ヒュンダイのオーレ・クリスチャン・ベイビーはウエットタイヤ3本+スノータイヤ3本を選択した。トリッキーなコンディションゆえ、ひとつのSSあたりのタイム差が大きく出ることも予想される。また、前日エンジントラブルからストップしたヒュンダイのティエリー・ヌービルは、5日土曜日の競技には参戦せず。あえてペナルティを受け入れ、マシンを温存して最終日のパワーステージに照準を合わせる。

HYUNDAI


オープニングのSS7でベストタイムをマークしたのはオジエ。ウエットとアイスが混在する難しいステージで文句なしのタイムをたたき出し、ソルドとラッピをかわして一気に総合首位へとジャンプアップを果たしてみせた。これで総合2番手にソルド、総合3番手にラッピ、僅差で総合4番手にエバンス、総合5番手タナックと続く格好になった。SS8はソルドが渾身の一番時計を刻み、意地の首位奪還。オジエはSS8番手タイムに沈み、ソルドに対し4.5秒差の総合2番手となっている。また、このSSではエバンスがラッピをかわし、総合3番手に浮上した。午前中最後のSS9はエバンスが制し、0.5秒差でオジエが続く。一方のソルドは遅れを喫し、SS5番手タイムに。この結果、再び総合首位はオジエの手に渡り、4.4秒差でソルドが総合2番手、ソルドの3.1秒後方にエバンスという順位となった。

サービスを挟んだ午後のステージでは、大きくコンディションが変わり始めていた。再び降り始めた雪は、時間を追うごとに強くなり、峠の頂上付近ではオンボードカメラでもはっきりと確認できるほどになっていった。午後の各車装着タイヤはウエットタイヤ4本+スノータイヤ2本という組み合わせ。ラッピだけはウエットタイヤ3本+スノータイヤ3本を組み合わせて山岳路に挑む。

SS10では先頭走者を務めるMスポーツ・フォードのガス・グリーンスミスがコースアウト、同じ場所でベイビーもクラッシュを喫し、道をふさぐ格好で停車してしまった。すぐさまレッドフラッグが導入され、すでにコースインしていたロバンペラ、タナック、エバンス、オジエはスロー走行でクラッシュ現場を通過。結局SS10はキャンセルされることとなった。

M-SPORT


続くSS11は後半部分で積雪が見られる難しいコンディションに。グリーンスミスのリタイアで先頭スタートとなった勝田は果敢にアタック。中盤の右コーナーでスピンしかけ、右フロントの空力パーツを破損しながらもきっちりと生き残ってみせた。ここでは総合3番手につけていたエバンスがステージ中盤でコースアウト。道からこぼれ、ステージへの復帰は困難となったためリタイアを余儀なくされた。これでエバンス戴冠の可能性がゼロになったわけではないが、チャンピオン争いの主軸はオジエとタナックのふたりに移ることとなる。

このSS11では出走順後半のコンディションが好転したためか、多くのラリー2/R5車両がトップ10入り。ベストタイムはヒュンダイi20 R5を駆るウンベルト・スキャンドーラが獲得した。上位陣ではオジエが最速タイムをマークしており、総合2番手につけるソルドとの差を20.4秒に拡大。続くSS12は積雪が激しくなったため、安全を考慮しキャンセルとされている。

TOYOTA


サービスをはさみ、この日最後のSS13はモンツァサーキットを舞台とした前日SS6の再走ステージ。上位陣は全車スノータイヤでSSに臨んだ。ベストタイムは「諦めずプッシュを続ける」と語るソルド。SS2番手タイムは勝田が獲得した。上位陣の順位に変動はないものの、ソルドと首位オジエの差は17.8秒に短縮。ソルドとしてはオジエにプレッシャーをかけ続けていく狙いだ。ソルドの背後4.3秒には総合3番手のタナック、4番手にラッピ、5番手にロバンペラというオーダーになっている。

12月6日(日)の競技最終日はモンツァサーキットの敷地内に作られたコースで争われる。残されたSSはわずかに3つだが、SS距離は38.31km。波乱続きとなった2020年シーズンを締めくくる、最終日の戦いに注目したい。SS14は日本時間6日の15時48分スタート。

WRCモンツァ SS13後暫定結果
1. S.オジエ(トヨタ・ヤリスWRC) 1:47:47.2
2. D.ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC) +17.8
3. O.タナック(ヒュンダイi20クーペWRC) +22.1
4. E.ラッピ(フォード・フィエスタWRC) +38.2
5. K.ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC) +1:10.1
6. A.ミケルセン(シュコダ・ファビア・ラリー2 EVO) +3:20.6
7. O.ソルベルグ(シュコダ・ファビア・ラリー2 EVO) +3:34.9
8. J.フッツネン(ヒュンダイi20 R5) +4:08.9
9. M.オストベルグ(シトロエンC3 R5) +4:39.0
10. E.リンドホルム(シュコダ・ファビア・ラリー2 EVO) +5:06.6
25. 勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC) +11:44.6



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