新井「ここまでレベルが高いとは」 ──JRC第4戦ラリー後記者会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

新井「ここまでレベルが高いとは」 ──JRC第4戦ラリー後記者会見

 

<出席者>
新井 敏弘(JN4優勝ドライバー)
松井 博和(JN4優勝コ・ドライバー)
松原 久(JN3優勝ドライバー)
香川 俊哉(JN3優勝コ・ドライバー)
大桃 大意(JN2優勝ドライバー)
露木 明浩(JN2優勝コ・ドライバー)

<司会>
伊吹 浩明(プレイドライブ)

──久々の優勝、おめでとうございます。今回、新井選手がぶっちぎるんだろうという予想が多かったなか、SS1は10秒負けからスタートということで始まりました。なにがあったんでしょうか?
新井:そうですね。まず第2戦の久万高原ラリーはゼロカーで走ったんですが、道がそこそこ広くてクルマを動かせるような道幅があったんですが、今回のSS1の真名畑八溝はそんなになくて。今回は去年のGB、フランス、ドイツで使ったクルマをそのまま持って来ていますので、サスペンションとかエンジンマウントがFIA用だったりとか色々あって突貫工事で全日本用に合わせて来たのでちょっと時間が足りなくてなかなか乗りづらい部分があって、そのなかでちゃんと走らないといけないんですけど、そこで遅れましたね。

──途中で足まわりの仕様を変更したんですよね?
新井:今回、デジスパイス(コンパクトGPSロガー)をつけて走ったのですが、終盤がどうも遅いと。終盤は道ががクネクネしているんですが、そこがどうも遅いらしいというので、サスを硬くしてみようということでセッティングを変えました。私のクルマは横で松井選手が乗っていて「この足、なんでこんなに柔らかいんですか?」っていうくらい、柔らかいんですね。海外ラリー用で、トラクションを出すために4速5速で曲がるようなコーナーに合わせてある足なので、なかなか2速で曲がるようなコーナーに合っていないので、そこだけ変更したら1㎞あたり2秒くらい速くなりました。

──それは3ループ目ですか?
新井:そうですね。3回目の真名畑八溝の下りは、それでいったら10秒くらいばっと上がったので逆転につながりました。

──デイ2なんですが、4本のSSで奴田原選手と2勝2敗でした。ペース的にはどうだったのでしょうか?
新井:すいません、最初の2本はちょっと寝不足でまったく力が入らず(笑)。松井選手もどこを読んでるか分からなくなっちゃって私も半分、有視界走行みたいなところもあったので、ちょっとふたりで寝ぼけてましたね(笑)。

──それでは松井選手にお聞きします。新井選手と組んだのは?
松井:昨年の久万高原のゼロカーで組みました。

──久々だっと思うんですが、ナビシートから見た新井選手の走りはどうでしたか?
松井:今まで自分が乗ったことがあるドライバーとはやっぱりクルマの動かし方が違うなと、横に乗っていて実感できました。やっぱりすごいなというか、さすがだと思いました。

──新井選手のペースノートは英語オンリーだと思うのですが、そのへんは対応できましたか?
松井:柔軟にかどうか分からないんですけど、炭山(裕矢)選手と乗っている時も英語でやっていましたし、一応、英語のペースノートは読めます。まあ久々というのもありましたし、新井選手は全然スピードが速いので。コーナリングスピードというか、3速とか4速のコーナーがすごく速くて、「ロング」っていうと普通はもう少し待つタイミングがあるんですけど、それが「ロング」でも本当に速くどんどん過ぎていくので、そのへんで最初は合わなかったり、遅れちゃったりすることがありました。

──新井選手からみて、松井選手のペースノートのリーディングは何点でしたか?
新井:普通の人のノートだったら、全然100点で読めたと思うんですけど、私のはインフォーメーションが多く入る時は外国人でも早口にならないといけないくらいなので、そうなると日本人の英語だと難しいかなと思いますね。

──それではJN3クラス優勝の松原選手にお聞きします。昨日デイ1、SS1でコースアウトして3mくらい落ちましたね?
松原:そうですね。3mか4mくらい落ちました。

──その時点でラリーが終わっていても不思議がない状態から、今回のJN3クラスは誰が優勝してもおかしくないなかで、見事優勝した心境をお聞かせください。
松原:今日は(クラストップの)香川選手の方がタイムが出ると思っていたので、最初のSSと2本目のSSはタイムを比べてから走ろうと思っていました。1本目は2秒くらい負けていましたから、その次も同タイムだったらもう2位キープでいこうと思っていたら、香川選手がストップしたので。

──昨年に引き続き、MSCC福島ラリーでは2連勝ですね。
松原:はい。ここは相性がいいのか、分かりませんが。

──では香川選手にお聞きします。SS1で相当モチベーションが下がったと思います。どんな気持ちでしたか?
香川:SS1で相当ダメージを受けましたので、クルマの方も影響が出るのではないかと心配しました。まあ再スタートできたことは本当にラッキーだったので、あとはもう、なんとか入賞できればという気持ちでラリーを続けました。クルマのダメージが少なかったのがラッキーだったと思います。

──続きましてJN2クラスの大桃選手、今日の主役じゃないかと思います。優勝おめでとうございます。
大桃:ありがとうございます。

──デイ1の下りのロングで、ぶっちぎりの速さでした。下りはもともと得意だったということしょうか?
大桃:いえ、そういうわけじゃないんですけど、デミオは上りが上らないので、もう下りで頑張るしかないと思っていたので、ただ踏むだけでした。

──クルマとしては第3戦のひむかラリーと変わらずですか?
大桃:リヤのトーションビームを排気量が小さいクルマのにしたんですけど、それが良かったのかと思います。動きがすごく良くなったので。

──途中から天野選手が脱落して、ライバル不在になり独走状態になりました。その辺の心境はどうでしたか? 最後までゴールを目指すのは難しかったですか?
大桃:そうですね、こういう経験が初めてだったので難しかったです。自分の走りもできず、なんとかゴールしたという感じです。

──露木選手にお聞きします。メンタル的な面もコントロールしないといけない立場だと思いますが、ナビシートからどういう助言を行なっていたのでしょうか?
露木:(大桃選手は)若いと言われながらも、ラリーショップでメカニックをしているという仕事柄、自分がラリーに出ていなくても、ラリーの戦い方というのを普段から耳にしているので、経験がないなかでもそういう耳からの入力がある分、対応の仕方がひとまわりくらい年上の人よりもしっかりしているという印象を受けています。ですので、今回みたいな争いになった場合でも、こういう場合はこういこう、こういう場合はこうしようという話をすると「そうですね」と方向性も合いますし、そのとおり行動もできます。「8割で抑えよう」と言うと本当に8割でずっと抑えられるので、ドライバーとしても技術的に素晴らしいと思います。

──ペース配分としてはドライバー主導型という感じですか?
露木:そうですね。今年の久万高原では「最初から行こう」ということでいったらSS1でリタイアしてしまったので、次の宮崎(ひむかラリー)で1ループ目に3本あったうち、1本目、2本目を7割で走って3本目がSS1のリピートだったのでそこを8割にして、そこから上げていきました。それで「8割だったらそこそこ戦えるね」というのがあったので、今日も真名畑八溝の下りからは8割という目安で入っていって石なんかもよけながらバーストせずに完走できました。自分が気持ち良くて安全なスピード域でいければということでドライバーと話をしています。

──再び大桃選手にお伺いしますが、最終TCに帰ってきてどんな気持ちでしたか?
大桃:すっごいうれしかったです(笑)。

──これまでの苦労や色々あったと思いますが、どんなことが思い浮かびましたか?
大桃:やっぱり僕の名前は大桃なんで、父が偉大すぎたので苦しかったです。結果を出せないのがすごく苦しくて、やっと見返せたかなと(笑)。

──最後に新井選手にお伺いします。14年ぶりの全日本、終わってみていかがですか?
新井:やっぱり全日本なのでレベルは高いし、そう簡単には、ちょっと来てパッと勝てるような感じでないことは重々承知していたんですけど、ここまで(レベルが)高いという感じも正直なかったので、けっこう大変な思いをしましたね。ただギャラリーステージなどで、ここに避難してきている被災者の方々にも見てもらえて、非日常的なドライビングを楽しんでもらえたかなという気がしているので、そのへんは良かったかなと思います。



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