WRC昇格に寄せて:ウルモ・アーバ、2019年ラリーエストニアを振り返る(再編集) – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRC昇格に寄せて:ウルモ・アーバ、2019年ラリーエストニアを振り返る(再編集)

©Martin Holmes Rallying

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で大混乱に陥った2020シーズン、再編成されたWRCカレンダーに異例の追加イベントとして加わることになったラリーエストニア。

このイベントの世界戦昇格を目指して主催を続けてきたウルモ・アーバに、2019年のイベント終了後、故マーティン・ホームズがインタビューした記事を再編成してお届けする。ラリーへの情熱とともにIT大国としても知られるエストニアが2020年、母国出身の世界チャンピオンを迎えての初めてのWRC開催をどのように運営していくのか、そのヒントも垣間見ることができる。


2003〜2007年にかけて、ジュニアWRCで活躍したウルモ・アーバ。2008年にはWRCにも活動の場を広げてシトロエンC4 WRCで参戦した同時期、母国エストニアでもラリーが広がりを見せていた。現在、アーバのラリー活動は新たな方向へ進み、ラリーエストニアのプロモーターとして奔走の日々を送る。WRC登録4チームすべてから参加を集めた今年(*編集部注:2019年当時。以下同)のラリーエストニアを終えた時点で40歳と1カ月となったアーバが、はるばるフィンランド湾を超えて、史上初の公式WRCプロモーショナルイベントとして開催されたラリーエストニアについて語ってくれた。WRCプロモーターがヨーロッパ外イベントの導入に力を入れているなか、ラリーエストニアのモチベーションはどこにあったのか。アーバは、ラリーエストニアが世界選手権の候補イベントとなる可能性がどれだけあると見ていたのか。あるいは、選手権外イベントとしての単独開催を確率しようとしていたのだろうか。

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ウルモ・アーバ(UA):自分たちは、いいイベントを作ることだけに重点を置いているのだと思う。僕らの夢はもちろん、いつかエストニアでWRCを開催することだが、政治的な理由でそれを実現するのはとても難しい。だから、自分たちの影響が及ばないことには重点も置かない。自分たちにできることは、このラリーを最高に素晴らしいイベントにして、自分たちが信じる方向に向けて成長させることだ。

マーティン・ホームズ(MH):ラリーエストニア独自の性質のひとつは、リアル感のあるテストラリーであることだ。今年はWRC登録4チームがすべて揃ったが、彼らが参加したことの理由は、きみの思惑とはちょっと異なると自分は見ている。ラリーフィンランドを念頭に置いてこのラリー参戦を検討した事実が、大いにあるだろう。
UA:複雑な要素ではあるが、それも一理ある。ラリーフィンランドは高速で、世界で最も難しいグラベルラリーだし、特にWRCのカレンダーとしては、低速のグラベルラリーが続いた後に迎えることもある。チームは念入りに準備をしなくてはならないし、現状ではラリーエストニアはそれを行う絶好のチャンスだと考えることはできるだろう。

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MH:ラリーエストニアが、それほどの高速ラリーだと評価を受けている事実について、懸念点などは?
UA:実は、今年は高速ステージは1本だけ、SS14が少し速くて、平均速度が時速140kmを超える程度だ。でも、特に土曜日のメインステージは、すごくフィンランドに似ている。ステージ設定のうえでは、よりテクニカルなステージにする作業に取り組んで、新しい道を作ったりもしている。地元の自治体やエストニア政府ともいい関係を築いているので、道を改修することができるんだ。もちろん、新しい部分を作るなど相応のやりかたでね。そうしたことを、やっていかなくてはならない。WRCはどのレベルも争いが激しいから、そこでやっていきたいなら、ダラダラやってはいられないよ!

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MH:そのほかの方向性についても考えていることがあるのだろうか。
UA:今年のラリーエストニアの間にあまり話に出さなかったことは、ITソリューションについての考え方だ。これは、1年か2年の間に使えるようになるかもしれない。ごくシンプルに言えば、自分たちは主催運営に関して、ライブでスタッフ全員をトラッキングする世界で最初のラリーになりたいと思っている。現状、我々の運営スタッフは1800人いる。オフィシャルやマーシャルが適切な場所についているか、業務を果たしているかを知りたいんだ。世界中のイベントをたくさん視察してきて、スタッフが書類上では担当になっている任務を、実際の場所では別のことに対応している場面も見てきた。これは、セーフティ面での課題だ。例えば、スタッフが観客をすぐに安全な場所に案内できるようにしたい。大きなプロジェクトだし、かなりの予算も投資しているが、エストニアはIT大国として知られているので、そこが我々の強みだと思う。我々の運営体制を大きく変えることができるし、ITを通して大きな改革を行うこともできる。一歩一歩、進めているよ。
 
MH:一方で、タナックをフィーチャーすることも忘れてはならないね。
UA:もちろん、常にセットだ。地元のヒーローがいなくては、素晴らしいイベントを主催することは不可能だ。オィット(タナック)とマルティン(ヤルベオヤ)は、我々のラリーの支えになっている。このイベントの主催を2017年に始めた時、オィットとマルティンとはこうしたアイデアについて話し合ってきたし、彼らなしでこのイベントはやりたくないとも僕らは伝えた。だから、彼らは僕らを支えてくれているし、僕らも彼らの支援をうれしく思っている。今では、ラリーはエストニアではNo.1のスポーツ、国技同然なんだ。
(Martin Holmes)
*この記事は2019年8月10日に執筆されたものです。

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