WRCアルゼンチン:アダモ「君が考えているほど悪人じゃないよ」イベント後記者会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCアルゼンチン:アダモ「君が考えているほど悪人じゃないよ」イベント後記者会見

©Hyundai Motorsport GmbH

WRCアルゼンチンのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。1−2フィニッシュと、最高の形で南米連戦を滑り出しマニュファクチャラーズ選手権のリードを広げたヒュンダイ。ライバルのアクシデントで転がり込んできたコルシカの勝利は素直に喜べなかったチーム代表のアンドレア・アダモも、今回は満面の笑顔を惜しげなく披露した。

●WRCポストイベントカンファレンス出席者

Hyundai Motorsport GmbH


1位:ティエリー・ヌービル=TN(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
1位:ニコラ・ジルスール=NG(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
2位:アンドレアス・ミケルセン=AM(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
2位:アンデルス・ヤーゲル=AJ(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
3位:セバスチャン・オジエ=SO(シトロエン・トタルWRT)
3位:ジュリアン・イングラシア=JI(シトロエン・トタルWRT)
アンドレア・アダモ=AA(ヒュンダイ・シェル・モビスWRTチーム代表)

Q:ティエリー・ヌービル、シーズン2勝目おめでとう。この週末は、例年よりも厳しい試練が多かったのでは。
TN:そうとも言えるし、そうでないとも言える。今回も、ラリーは非常にタフになった。グリップ変化が本当に多かった。最初のステージはとにかく悲惨だった。でも一方で、自分のマシンは週末を通して完璧だったと言える。自分たちが昨年から成長できた感触があった。この週末を戦い切れるだけのマシンの余裕が100%感じられたし、誰もが非常に厳しいと知っているこのラリーではそれが鍵となる。トリッキーな場所もあり、3日間がそれぞれに異なり、天気も変わった。そんな中では、余裕が感じられてチームが完璧なマシンを与えてくれなければ、あのようなパフォーマンスは出せない。

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Q:2位で追っていたオィット・タナックがリタイアしてもペースが落ちず、余裕のある走りをしているのだと我々からも見てとれた。
TN:その通り、それは一つのサインだし、他のイベントでは他のドライバーもそのような感じになる。自分が乗っていてマシンのフィーリングがよければ、もちろんマシンもコンペティティブでなければならないが、そうなればあのような走りができる。楽になるわけではないが、コントロールできるようになる。まさに今回、自分たちはそれができた。自分とニコラは2人とも余裕があったし、マシンは自分たちが思う通りの走りをしてくれた。だから、週末を通して、かなり安全なのに、すごく速い走りができたんだ。

Q:ヒュンダイのマシンとチームはこのイベントと相性がいいようだ。今回の優勝はもちろん、ダブルポディウムは昨年と同じだ。なぜ、このイベントにここまで相性がいいのだと思うか。
TN:自分たちのマシンは、とても信頼性が高い。他のイベントでも見られるように、ラフなコンディションに非常に強い。ヒュンダイがWRCに参戦を始めてから、ラフなイベントではいつも強かったが、とにかく信頼性が高いということしか言えない。だから、今回もドライビングがとても楽しかった。

Q:次のイベントは、誰もにとって未知数のイベントだ。ラリーチリについて分かっていることはあるか。
TN:正直、わずかなことしか知らないね。どこにチリがあるのか、どこの空港に行けばいいのかは知っている。それ以外は、何の情報も持っていない。いつも言うように、自分はラリーの一戦一戦に集中して戦っている。だから、次のイベントのことも数日のうちに集中し始めるよ。

Q:ニコラ・ジルスール、ティエリーも言ったように開幕ステージは先頭走行にとってはタフだった。あの段階で勝てるかもしれないと感じていたか、あるいは不可能だと思ったか。
NG:ある意味では、勝てるかもしれないと思っていた。もちろん、状況が厳しくチャレンジングな状況の中で、それまでの経験を持っていることは大きな武器になる。レッキの前から厳しい天気になると分かっていたので、たいていのことはうまく予想ができていた。違う見方や、違う戦略もいろいろあったが、最終的にウエザークルー、天気予報士、チームとともに、セッティングを調整したり、適切なタイミングでファインチューニングする正しい判断をして、ステージ毎に対応することができた。全ては最終的にうまく行ったということ。とても僅差の戦いだった。

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Q:新しいイベントに臨むことは、コ・ドライバーにとってどれだけの試練になるか。どのような準備を行っていかなくてはならないのか。
NG:少し不思議な気分だ。どのイベントも、たいていのことは知っている状態で迎えるからね。ロードブックやマップをチェックする時は、それがどこなのかイメージしながら見ることができる。でもチリでは、全てが新しいので、全てのことを探らなくてはならない。でも、こういう試練は自分は好きなので、うれしいことでもある。

Q:アンドレアス・ミケルセン、またWRCのポディウムに戻ってきた。昨年のスウェーデン以来だが、今回は素晴らしいパフォーマンスで、ステージでも自信がみなぎっていた。この結果にはハッピーなのでは。
AM:すごくうれしいよ。かなり気持ちが明るくなった。もちろん、結果が出なくて厳しい一年だった。でも、何度も速さを見せてきた。ずっとリザルトにつながらないでいたので、アルゼンチンでここにいられることが、チームのためにもうれしいよ。1−2フィニッシュは、最高にうれしいし、マニュファクチャラーズ選手権もいい流れになっている。個人的には、今回の2位は優勝したような気分。ここ数ヶ月、なぜ自分たちがうまくいかないのかを理解するために、必死で努力してきた。結果が出るのは時間の問題だったと感じている。チリに向けてもいい気分だよ。1週間しかないが、本当にエキサイティングな気持ちだ。

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Q:昨日の午後はミークとバトルになった。最終ステージをフィニッシュした時はステアリングを叩いていたように、この週末、マシンに大満足だったのは明らかだった。
AM:そうだね、とても扱いやすかった。ラリーアルゼンチンは、いつも楽しめているイベントだ。でも、昨日は午前にかなりタイムをロスしたので、変更を行った。ドライビングスタイルも少し変えたことで、とてもよくなった。本当にコンペティティブだったしベストタイムも出したので、最高にいい気分だった。だから、この気分をチリにつなげたい。あそこでもいいリザルトが出せると確信している。

Q:アンデルスも同じ気持ちか。
AJ:優勝した気持ちではないが、最高の気分なのはもちろんだ。彼のポテンシャルを知っているだけに、彼の隣で悔しさを感じる時期が続いていた。もちろん、もっと頻繁にポディウムに上がりたいと思っている。近いところまで迫っていたが、いろいろな理由で結果につながらなかった。そして、今日、本当にうれしい。まずはチームのために、そしてチームメイト、そしてもちろん、自分たちのためにもね。

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Q:次のチリについて、何か話せることはあるか。
AJ:とてもエキサイティングになるよ。あまり知っていることはないが、あそこでも自分たちのマシンはいいことは確かだからね。すごく楽しみにしている。

Q:セバスチャン・オジエ、最終ステージをフィニッシュして僅差で3位に上がった。マシンのパフォーマンスに苦戦していたようだが、今の気分は。
SO:今日獲得したポイントに満足しているのは、もちろんだ。でも、今回の自分たちの速さには、まだ満足していない。ペースに苦戦していたステージがたくさんあった。特に、スリッパリーだった1回目のループだ。まだやらなくてはならないことが、あるということ。いつものように、あきらめなかった価値はあったしパワーステージでは5ポイントを獲得してポディウムにも上がれた。

Citroen

Q:マシンの何が違っているのか。自分では知っているのか。
SO:何が必要なのかハッキリ分かっていれば、事は簡単だ。でも、これはスポーツ。競技レベルは高いし、小さなことが大きな違いにつながることもある。自分にも考えはある。変えなくてはならないことを伝えてもあるが、時間はかかるし簡単にもいかない。でも、少なくとも、マシンが完璧ではなくてもポイントは獲得している。だから、この週末のことはいつまでも忘れない。チームをプッシュして、次のイベントではさらにいい形にしなくてはならない。

Q:次のイベントまで時間はわずかだが、次のイベントは今回よりもスムースのようだ。それは自分にとって有利になるか。
SO:そうなると願うことしかできない。チリのことは、ほとんど何も知らない。自分はイベントの前に動画を観たりするタイプではないし、誰かのレッキ動画を見ることもあまりしない。もちろん、何かしらは観るとは思う。たぶんチリに向かう飛行機の中かな。その後は、レッキをうまくこなさなくてはならない。速度域が高いタイプでスムースな道なはずだと聞いている。今回よりもいい走りで、優勝争いができることを望むばかりだ。今回も、そう離れてはいなかった。パワーステアリングのトラブルでかなりタイムをロスしているしね。

Q:今回は高ポイントを獲得して、選手権ではまだ2位につけている。どう評価するか。
JI:今回は、人生には選択をしなくてはならない時があるということを学んだ。このマシンで思うようなペースに達するためには、必死で取り組まなくてはならない。でも、自分たちにはチームがついている。一丸となって取り組まなくてはならない。

Q:アンドレア・アダモ、ヒュンダイは1-2フィニッシュと素晴らしい活躍を見せた。マニュファクチャラーズ選手権でリードを広げ、ティエリーもドライバーズ選手権のリードを広げた。なかなか喜ばないことで知られているが、今回はラリーを終えてハッピーであるはずだ。
AA:毎回、自分のことを喜ばない人だって言うよね(笑)。君が考えるほど悪人じゃないよ。喜ばないと決めているわけじゃない。現実を見ているだけだ。今回は、ティエリー、ニコラ、アンドレアス、アンデルスが、ライバル達との差を埋めた。信じられない走りを見せた。これまで、最悪な週末を何度も経験してきたので、もちろん、今回はハッピーだ。我々は幸せを感じているが、現実を見なくてはならないし、今回の1-2で懸命に働くことの力になるのだと考えなくてはならない。

Q:どの部分で改良が必要なのか、パフォーマンスが足りていないのか。
AA:エンジニアたちと話し合ってみるよ。

Q:今後、どの段階でマシンの改良が投入されるか。
AA:改良はしているし、一丸となって取り組んでいる。でも、FIAが決めるホモロゲーションシステムの関係で、自分たちは変更を毎週行うことはできない。テストを行う日数も制限されているので、ステップバイステップで進んでいかなくてはならない。7月には、新しいコンポーネンツの公認が取得することを目指しているので、それまでは3月に公認取得したことを最大限活用していかなくてはならない。そして、常に強くなくてはならない。これは、自分のスタッフにいつも強調していることだ。今日のように、ラリーを終えてこの状況にあるためには、信頼性が必要なんだ。



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