全日本ラリー嬬恋:競技2日目を終えて、引き続き鎌田がトップ – RALLYPLUS.NET ラリープラス

全日本ラリー嬬恋:競技2日目を終えて、引き続き鎌田がトップ

©RALLY PLUS

群馬県嬬恋村で開催されている全日本ラリー選手権開幕戦「RALLY of TSUMAGOI」は、2月2日(土)の競技2日目までを終えて、鎌田卓麻/鈴木裕がトップ、2番手に新井敏弘/田中直哉、3番手に勝田範彦/石田裕一とスバルWRX STI勢が上位を占めるスピードを見せている。

ラリーは2月1日(金)、群馬県嬬恋村の嬬恋会館からスタート。各選手はそのままナイトステージ5SS、計19.80kmをこなすというスケジュールだ。今大会では国際格式ラリーである日本スーパーラリーシリーズ(JSR)、東日本ラリー選手権も併催され、全56台がエントリーリストに名を連ねた。

今シーズンから最高峰クラスとなるJN1クラスでオープニングステージのSS1を制したのは鎌田だ。鎌田は昨年のこの大会で勝利を収めており、今年も引き続き勝利を狙っていきたいところ。2番手にはスノーラリー2年ぶりの参戦となる勝田、3番手にはクスコ・レーシングの柳澤宏至/保井隆宏というオーダーでラリーは始まった。このSS1ではディフェンディングチャンピオンの新井が高速コーナーでスピン。コース復帰のために約200mのバック走行を強いられたため大きく遅れ、トップの鎌田から26.7秒差の7番手から追い上げる立場に。しかし新井は、その後のSS2、SS3でベストタイムをマーク、さらに競技2日目のSS6~SS8も制し、2番手の勝田にジワジワとプレッシャーをかけていく。勝田もSS5とSS8でベストタイムを奪いギリギリまで踏ん張るが、この日の最終SSとなるSS12で新井の逆転を許し、新井と1.0秒差で3番手となり競技2日目を終えている。

今回のラリーからコ・ドライバーに鈴木裕を迎え新たなコンビで挑んだ鎌田は、「予定どおりです。少しずつ勝田選手を引き離すことができました。新井選手も同じくらいのペースなので、このまま行きます。コンディションはひどくなってきて、スノーバンクを使わざるをえなくなっていますが、表面の柔らかい雪がなくなり固い面が出ていたためバンパーにダメージを負ってしまいました。タイム差がある程度開いたので、このペースであれば、このまま行けるかと思っています」と、最終日に向けての意気込みを語った。

JN2クラスはトヨタ・ヴィッツGRMNで参戦する眞貝知志/安藤裕一が、SS1〜SS12までの全SSでクラスベストタイムをマークする安定感を見せて、首位の座を固めている。ヴィッツGRMNでウインターラリー初参戦となる眞貝はラリー初日にチェーンが切れてしまうトラブルが発生。パワーのあるヴィッツGRMNでチェーンを装着しながら走る難しさを感じつつ無事に生還を果たした。眞貝はここまでの戦いを振り返って「コンディションの幅が広くて難しかったです。見た目で分かる時と、分からない時があります。マシンはまったく問題ありませんが、クルマが路面を捉える感じがなくなってしまう部分もありました。大きなミスをしないように走るしかありません」と慎重なコメント。

3シーズンぶりに全日本ラリーに復帰した筒井克彦/松本優一と、ラリー初挑戦となるジムカーナドライバーの牧野タイソン/北川紗衣によるトヨタ86の一騎打ちとなったJN3クラスは、筒井が序盤からリードを拡大。「初日はかなり滑るし、走るだけで精一杯でした。2日目も難しい路面で神経をつかいましたね。止まらないように頑張ります」と語っている。一方、牧野は「昨日はスタックしてタイムロスをしたので、今日はだいぶ堅実に走っています。午後に入って、コンディションはかなり変わりました。本来、チェーンを履いた方がいいところもあったんですが、2日目最後のナイトステージに向けてチェーンを温存しました」と、挽回を図る。

JN4クラスはダイハツ・ブーンX4の山口貴利/山田真記子がトップ。2番手の古川寛/大久保叡(スズキ・スイフトスポーツZC32S)に1分27秒、3番手の西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツZC33S)に1分44秒2以上の差をつけて難コンディションのラリーをリードしている。「SS11は自分でコーションを入れていた場所でスピンしてしまいました。ちょっと調子良く走りすぎましたね。それで脱出に20秒くらいロスしましたが、フィニッシュ直前で良かったです。明日の路面状況が分からないので、セッティングは明日朝に判断します」と山口。2012年以来の勝利に向けて、3日目のステージに挑む。

天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”)がトップを快走するJN5クラスは、南野保/ポール・サントと権田哲也/Jackyのマツダ・デミオ勢が後を追うものの、2日目を終えた時点で2分近く天野がリード。2018年から続く連勝記録がさらに更新されそうだ。「パノラマは雪と舗装路が混在しているので、少し危険でした。チェーンを使うのか、判断が難しかったですね。また、タイヤ交換が多くけっこう体力的に疲れていたので、少しペースを落として走っています。明日も同じようなペースで走ろうと思っています」と天野。チェーンを使う2輪駆動の車両については、タイヤ交換の頻度も多く体力勝負になる部分もありそうだ。

CVT車両やハイブリッド車両などが出走するJN6クラスは、トヨタ・ヴィッツCVTの大倉聡/豊田耕司がラリーを大きくリード。2番手のクロエリ/加勢直毅(ホンダ・フィット)、3番手の清水和夫/高波陽二(トヨタ・ヴィッツCVT)に4分以上の大差をつけている。大倉にとっては初のスノーラリーながら、総合順位でも7位と、チェーンを使っての走行にも高い適応力を示した。しかし車両にトラブルも出ているようで、大倉は次のように語っている。
「僕にとっては初のスノーラリー。チェーンで走ったのも初めてで、すごく難しいです。集中力を切らさないように、クレバーに走りたいです。SS9フィニッシュ後に電気系トラブルが出て、リエゾン中にエンジンが止まってしまうトラブルが何度か出ました。原因が分かっていないので、サービスでチェックします」。一方、昨年のTGRラリーチャレンジでクラス優勝を果たし、全日本ラリー初挑戦となるクロエリもコンスタントに2番時計をマークし、全日本ラリー出場は実に34年ぶり、かつてはDCCSウインターラリーを制した大ベテランの清水和夫の追撃をかわしている。

競技最終日となる3日(日)はSS13〜SS18の計6SS。一部のSSで安全対策のため距離が短くなり、SS距離27.04kmとなった。オープニングのSS13は8時33分スタート。

全日本ラリー選手権第1戦 SS12終了時点結果
1. 鎌田卓麻/鈴木 裕(スバルWRX STI) 41:10.1
2. 新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI) +21.1
3. 勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI) +22.1
4. 中平勝也/行徳 聡(スバルWRX STI) +2:15.0
5. 鈴木 歩/松浦 一也(三菱ランサーエボリューション) +6:13.9
6. 眞貝知志/安藤裕一(トヨタ・ヴィッツGRMN) +6:34.3
7. 天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツ) +7:37.4
8. 大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT) +8:04.3
9. 山口貴利/山田真記子(ダイハツ・ブーンX4) +8:10.1

20. 筒井克彦/松本優一(トヨタ86) +17:49.9



ラリプラメンバーズ2024募集中!!