FIAラリーディレクターに就任したイブ・マトン「あらゆる関係者に会って話を聞くことから始める」 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

FIAラリーディレクターに就任したイブ・マトン「あらゆる関係者に会って話を聞くことから始める」

©Citroën Racing

FIAラリーディレクターを務めていたヤルモ・マホネンの引退を受け、国際自動車連盟(FIA)はイブ・マトンを雇用した。これまでシトロエン・レーシングのディレクターであった40代のマトンは、FIAにおけるWRCをはじめとするすべてのラリー選手権およびラリーレイドの総責任者となった。就任までの経緯、作業の優先順位、そしてこれからのビジョンは? ミシェル・リザンが聞いた。

文:ミシェル・リザン
翻訳:伊藤敬子


──あなたはどのようにして雇用されたのですか?
「シトロエン・レーシングのディレクターとして、僕はFIAの責任者と頻繁に接触していた。僕らはよくミーティングを行っていた。それで昨年の夏に、ヤルモ・マホネンが2017年末に引退することが決定したんだ。その時点で僕はそのポジションが僕に合っているかについて熟考した。その後、ミーティングの際にジャン・トッドから、この役職に興味があるかと聞かれた。この仕事について正確に知るべく、トッドと頻繁にやりとりをするようになったんだ。この仕事についてはおおよそ理解していたが、詳細な部分についてはあまりよく知らなかったからね。そしてトッドが再選された時点で、この話は加速した。それはすなわち僕がこの仕事に就くことが望まれていることを意味したからだ」

──そういう意味では、シトロエン・レーシングのディレクターのポジションからFIAのラリーとラリーレイドの責任者に移るというのは昇進を意味するのですか?
「そう考えたことはない。僕にとっては別々の取り組みだ。僕は昔からずっとラリーに対して情熱を持っていたし、現在もそれは続いている。以前から僕はラリーで様々な分野の仕事をしてきており、それでトップチームのディレクターという地位まで務めた。WRCの未来に関して様々ことを考える立場になるということはとても刺激的なことだ。任される仕事は、よりグローバルなビジョンを持ったものになった。単独チームの利害関係を守る仕事ではなく、僕が大好きな選手権全体の利害関係を考えるということになる」

──FIAにとって、ラリーというのはWRCに限定されたものではありませんね。
「そのとおり。WRCは最も露出度が高いものだが、中東、アジア・パシフィック、アフリカ、ヨーロッパといった地域選手権もある。それにラリーレイドも重要だ」

──しかしラリークロスは違うのですね。
「ラリークロスは別の部門が担当している」

──ここ数年、プロモーターとの力関係という問題が表面化しています。例えば、FIAはWRCカレンダーの決定権を持っていますが、それぞれのイベント主催者はプロモーターとの厳密な契約書を締結する必要があります。あなたの実質的な権限というのはどれほどのものなのでしょうか。
「それはまず、僕の新しいオフィスができあがってからにしてほしい。僕は様々な選手権におけるすべての『役者』の中心にいる役割を担う。様々な選手権の責任者にもなるんだ。それぞれにプロモーター、マニュファクチャラー、エントラント、オーガナイザーなどが存在する。その中心にいるFIAはレギュレーションを制定する権限を持つ。僕の優先順位はそれぞれの選手権とその関係者の繁栄を可能にするための提案をしていくことだ。そのために、僕は日常的な作業をこなしてゆくが、そのビジョンはあらゆる分野で中長期的なものでなくてはならない」

Citroën Racing

──ジャン・トッドとFIAは、それぞれの選手権やスポーツのための全体的な方向性についての指示を、あなたにすでに与えましたか?
「僕は2月7日からFIAに勤務しはじめた。選手権の寿命はひとりが決めるのではなく、関係者全体が決めるものだ。その後、コーディネートしていく必要が出てくる。それが僕の仕事となるが、まだこれからの話だ。僕はあらゆる関係者に会って、僕が最も適合したと考えるロードマップを決定し、彼らに提出することになる」

──あなたの経験からして、例えばWRCの未来に関するビジョンはお持ちですよね?
「持っていたとしても、それを公表するわけにはいかない。そうすれば逆効果となるからだ。何度も言うが、選手権の寿命はひとりの人間の意思で決まるわけではなく、関係者全員が決めていくことになる。僕が現在何を考えているかについて言うべきでもないし、言う時期でもない。なぜなら僕に依頼されているのは、全員の利害関係をまとめることだからだ」

──あなたには優先的に取り組まなくてはならない分野があるのではないですか。例えば安全対策など……
「僕には考えはあるが、今も言ったように、まだ現在それについて言及するタイミングではない。まず、僕の仕事が何であるかを“把握”させてほしい。そうすればより考えや仕事の範囲が明確になる。そして全員に会う時間が必要だ。僕がミーティングで、どの選手権でどのようなことをすべきかという自分の考えを述べれば、僕が言ったことを外部に明かす人が出てくるし、それに反発する人も必ず出てくる。人々の意見を聞くことに興味はあるが、他の人たちが考えていることを言いふらすことはしたくはない。最初の頃は自分の意見は持たないようにしたいんだ。安全面、人気、寿命。それぞれが何を必要としているかについての考えは持っているが、もしかしたら僕は誤認しているかもしれない。間違えているかどうかをまず確認したい。マニュファクチャラーのニーズは理解していると思っているが、僕は別の角度から分析したい」

──主催者の仕事はどんどん難しくなってきています。公的な資金投下のおかげで生き延びているイベントがほとんどです。
「ざっと見渡すと、それはラリーに限った話ではないと思う。まずはそれぞれの状況をきちんと調べてみてからでないと、主催者の代わりにいろいろなことを言いたくはない。そこでも彼らに会って、話を聞くことから始める必要がある。確実なのは、ラリーという仕事がどんどんプロ意識の高いものになっており、その結果、要求されるものがより厳しいものになるということだ」

──さらに営利化してきていますしね。
「それは一般社会と同じだよ! 例えばWRCにおいてはアマチュアクルーをどうするかということも検討していく必要があるだろう。それについては、僕は主催者とエントラントがどう考えているかを聞いていきたい。現在、クルーはすべてに参加することはできない。そのために選手権同士の上下関係というものが問題になってくる。その分野においても僕は話を聞くことになる。いま何かを言うのは時期尚早だ」

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