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2017年のWRCはグループB以来のエアロパーツ大解禁【新規定WRカー講座・第3回】

 

全5回の連載でお送りする特別企画「WRカー講座」の第3回目は、新規定マシンを象徴するド派手なエアロパーツについて見ていきたい。

WRC開幕2戦を終えたいま、ステージを走る新規定WRカーの姿がこれまで以上にエキサイティングなものとなっているのは明らかだ。FIAテクニカルディレクターとして新しいWRカー規定の成立に深く関わったベルナール・ニクロは、「これまでのWRカーは『競技用のマシン』としての迫力が不足していた。言い換えれば少し弱いとでも言うのかな。さらにすべてのマシンが少し似通っているということも問題だった」と語っているように、新しいレギュレーションはこうした点の進化を目指して策定され、狙いどおりの効果を発揮しているように見える。

マシンの外観に関する進化のポイントは、ボディ幅の拡大とエアロパーツ解禁の2点だ。

ボディ幅は昨年までの1820mmから1875mmへと55mm拡大された。また、マシンの全長についても、これまではベースとなる市販車の数値を維持しなければならなかったが、新規定ではフロントで60mm、リヤで30mmの延長が許された。そのため、各WRカーは前後とも大きなエアロパーツで“武装”するようになり、それが新規定マシンの最大の特徴となっている。

ベース車両の全長を超えるエアロパーツの装着が許可されるのは、実はグループB以来のこと。長らく封印されてきたエアロパーツが、2017年の新規定でついに解禁されたことになる。同時にカナード類の装着もOKとされ、各WRカーのフロントバンパー周りのスタイリングは大きな変貌を遂げている。

クリーンな形状の2016年仕様フォード・フィエスタRS WRCに対し、2017年仕様のフォード・フィエスタWRCでは大きく左右に張り出したフェンダーからカナードへと繋がるデザインが印象的だ。その下の小型のものも含め片側2枚のカナードを装着する。

Naoki Kobayashi

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ヒュンダイもカナードのデザインに同様の手法を採っているが、フィエスタのように正面まで回り込まず、その面積はやや控えめと言っていい。

Naoki Kobayashi

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シトロエンは、左右フェンダーとは独立した形状のカナードを片側2枚装着。トヨタはカナード効果を狙ったバンパー形状とし、純然たるカナードと呼べるものは片側1枚ずつの装着となっている。

Naoki Kobayashi

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そして、フロント以上に過激な表情を見せるのがリヤセクションだ。2016年仕様と2017年仕様のフィエスタを並べて比較してみると、左右フェンダーは拡幅されるとともに、リヤフェンダー後端のフィン形状がデザイン上のアクセントとなり、迫力あるリヤビューを演出している。リヤスポイラーの左右端にはウイングレットが装着されているのが分かる。また、写真ではあまり目立たないがリヤディフューザーも追加されている。

Naoki Kobayashi

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車体後方には大きなリヤスポイラーが装着されるが、その形状にはかなりの自由度が許されている。トヨタとMスポーツはともにウイングレット付き。とは言え、Mスポーツの常識的な大きさに比べて、トヨタ・ヤリスWRCのリヤスポイラーの巨大さは際立っている。また、シトロエンとヒュンダイは、アッパーエレメントを分割して上方に高くマウントする。

Naoki Kobayashi

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Naoki Kobayashi

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そして、リヤスポイラーの下方では大きなリヤディフューザーが存在感を主張する。リヤスポイラー同様、一定の容積を守れば形状は自由となっており、大胆な形状を採用するトヨタから、やや控えめなMスポーツまで、各チームのデザイン思想の違いを見ることができて興味深い。

Naoki Kobayashi

Naoki Kobayashi


Naoki Kobayashi

次回はワイド化された迫力のボディーワークを写真とともに見ていこう。

2017WRカー講座 インデックス
第1回 WRCトップカテゴリーの歴史と2017年新規定の狙い
第2回 新規定WRカーの見えない進化、エンジン&駆動系
第3回 2017年のWRCはグループB以来のエアロパーツ大解禁 – このページ
第4回 迫力と安全性を両立するワイドボディ化
第5回 迫力の外見に隠された巧妙なコンセプト

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