全日本ラリーモントレー:シュコダ・ファビアR5の新井大輝が大会連覇 – ページ 2 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
現地速報がすぐわかる! バックナンバーが読み放題。ラリプラLINE限定コンテンツ配信中

全日本ラリーモントレー:シュコダ・ファビアR5の新井大輝が大会連覇

©Jun Uruno

■レグ2

ラリー2日目は「Shionosawa Touge(4.05km)」と「Nostalgic Dojo(7.09km)」の2ステージを、サービスを挟んでリピートする4SS、22.28km。この日は朝から空に雲が広がったが、コンディションは前日に続きドライとなった。ただし、SS5とSS7が行われる「Shionosawa Touge」は、慢性的に湧水が路面に流れ出ている箇所があり、要注意だ。

JN-1クラスは、オープニングのSS5で新井大輝/立久井大輝(シュコダ・ファビアR5)が、ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGRヤリス・ラリー2)に2.3秒差をつけるベストタイムをマーク。初日午後のセクションではセッティングを微調整したことで大きくタイムを落としていた新井大輝だったが、ここでさっそく、1.5秒差ながらもコバライネンをかわして首位を奪還した。

JN-1クラス優勝の新井大輝/立久井大輝(R2R x YAHAGI Skoda Fabia R5)/Jun Uruno

ベストから3.4秒差の3番手タイムに勝田範彦/保井隆宏(GRヤリス・ラリー2)、3.5秒差の4番手タイムに鎌田卓麻/松本優一(ファビアR5)。3番手の鎌田と、4番手の勝田との差は、5.6秒に縮まった。以下、トップから48.8秒差の5番手に奴田原文雄/東駿吾(GRヤリス・ラリー2)、56.7秒差の6番手に福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアRSラリー2)がつける。

SS6も新井大輝がコバライネンに1.8秒差をつける連続ベストを刻み、コバライネンとのアドバンテージを3.3秒に拡大。勝田は3.0秒差の3番手タイムで、3番手を争う鎌田との差を0.3秒削って5.3秒差とした。

サービスを挟んだ午後のセクション。新井大輝はSS7でコバライネンに1.6秒差をつけるこの日3回目のベストタイムを刻み、その差を4.9秒に拡大する。迎えた最終のSS8は「タイムを削るためには無理をしなければならない」と語るコバライネンがなんとかベストタイムを獲り返すものの、追いつくまでには至らない。

この結果、新井大輝がコバライネンにわずか3.1秒差を残して凌ぎ切り、前戦飛鳥に続く2連勝を飾った。3位争いは、この日の4SSすべてで鎌田を上まわった勝田が最終SSで逆転。1.2秒という僅差で勝田が3位表彰台を持ち帰った。首位から36.4秒差の4位に鎌田、1分03秒0差の5位に奴田原、1分16秒6差の6位に福永が入った。

シーズン序盤はマシントラブルなどに悩まされながらも、チームとマシンを立て直して2連勝を飾った新井大輝は、フィニッシュ後、「最終日の最終ステージまで、どちらに転ぶのか分からない、厳しい接戦になりました。今日も本当にハードでした(笑)。地元ですし、応援してくれているファンの皆さんや、支援してくれているスポンサーの皆さんのためにも勝ちたかったという想いがありました」と、喜びを語った。

RALLYPLUS

最後まで追い上げたものの、優勝まで一歩及ばなかったコバライネンは「正直ガッカリしている。ここまで厳しいシーズンが続いているね。十分なスピードがないし、スピードがないことにフラストレーションが溜まっている。それでも、ヒロキさんも勝つに値する素晴らしいスピードを持っていた」と、ライバルを讃えながらも悔しさを露わにした。

JN-2クラスは、初日トップの山田啓介/藤井俊樹(トヨタGRヤリス)が、ラリー2日目もステージウインを2本獲得するなど安定して速さを披露し、今シーズン3勝目を獲得。初日3番手の貝原聖也/西﨑佳代子(GRヤリス)が、SS7で小泉敏志/村山朋香(GRヤリス)をパスし、山田に39.2秒差の2位で表彰台に上がった。43.9秒差の3位に小泉、1分10秒9差の4位に三枝聖弥/木村裕介(GRヤリス)が続いた。若手育成を目的とするJN-2のサブカテゴリー「MORIZO Challenge Cup」は、大竹直生/橋本美咲が開幕4連勝を飾っている。

JN-2クラス優勝の山田啓介/藤井俊樹(FTI-EASYソミック石川DLGRヤリス)/Tadayoshi Nakajima

2日目は2番手以下との差をコントロールするクレバーな走りで3勝目を決めた山田は「今回はクルマだけでなく、自分のドライビングが昨シーズンから変わりつつあることを感じました。ペースノートを作っていても、走らせ方やライン取りが変わってきて、ノートの表現にも変化があります。1年間の成長や進化を感じられた良いラリーウイークになりました」と、笑顔を見せた。逆転で2位表彰台を獲得した貝原は「前戦の飛鳥は最後がダメだったので、今回は2位が狙えそうな位置にいましたし、最後は気合いを入れていきました。この後のグラベルは鎌田選手から学ばせていただく予定です」と、こちらも納得の表情を見せた。

JN-3クラスは、SS5で初日2番手の鈴木尚/島津雅彦 (スバルBRZ)、SS6は同3番手の上原淳/漆戸あゆみ(BRZ)がベストタイムをマークし、初日トップの渡部弘樹/横山慎太郎(トヨタ86)に迫る。SS7でセカンドベストを刻んだ鈴木が、ここでついに渡部を0.8秒逆転し、トップに浮上した。そして迎えた最終のSS8、渡部がこの日初めてのベストタイムをたたき出した一方、鈴木は0.8秒差の2番手タイム。総合リザルトでは渡部と鈴木がいずれも58分54秒7と同タイムとなった。その結果、ラリー競技開催規定細則のスペシャルステージラリー開催規定第14条により、SS1のタイムが速かった渡部が全日本初優勝を手にした。同タイムの鈴木は2位、2日間を通して3本のSSでベストを刻んだ上原も、10.1秒差まで迫っての3位に入った。

JN-3クラス優勝の渡部弘樹/横山慎太郎(クスコWMDLウルト86)/Jun Uruno

うれしい全日本選手権初優勝を飾った渡部は「最後は自分のすべてを出し切って、チームとコ・ドライバーを信じてアクセルを踏み抜いて攻めました。全日本選手権での初ベストも獲得できましたし、地元群馬で初優勝を決められたことが、本当に本当にうれしいです」と、全身で喜びを表した。同タイムながらも2位に泣いた鈴木は「すべては結果です。久々に参戦したことで、前半から攻めることができなかったのが敗因だと考えています。最後はこれ以上はないところまで攻めましたし、それで負けたのならば仕方ないです。いや、負けたことに納得はしてないですけれどね(笑)」と、接戦を振り返った。

JN-4クラスは、藤原友貴/宮本大輝(スズキ・スイフトスポーツ)がSS5とSS7、高橋悟志/箕作裕子(スイフトスポーツ)がSS6とSS8と、2本ずつベストタイムを獲り合うことになった。この結果、両者の差は大きくは変わらず。SS1で築いたマージンを最後まで活かした藤原が、第3戦飛鳥に続いて2連勝を飾った。6.1秒差で高橋が2位、ターボ系のトラブルにより初日前半のタイムが伸びなかった筒井克彦/本橋貴司(スイフトスポーツ)が、57.5秒差の3位に入った。

JN-4クラス優勝の藤原友貴/宮本大輝(ロッソレーシング WM DL スイフト)/Jun Uruno

高橋と緊張感あるバトルを制した藤原は「最終日の午前中は高橋選手に詰められましたし、午後のSS7でもあまりタイムアップできませんでした。それでも、高橋選手も余裕がないはずだと考えて、逃げ切ることができました。1日目から良いペースで走り続けられたことが、今回の勝因だったと考えています」と、冷静に振り返った。悔しい2位となった高橋は「やはり、勝つことができなかったのでモヤモヤが残っています。最終日だけ見たら、かろうじて勝っているんです。レグポイントも獲得できました。ただ、トータルで考えると、初日の1本目で勝負がついてしまいましたね」と、肩を落とした。

JN-5クラスは、初日トップの松倉拓郎/山田真記子(トヨタ・ヤリス)が、この日は4SS中3SSでベストタイムを奪取。トップの座をしっかり守り切って、今シーズン初優勝を飾った。36.7秒差の2位には河本拓哉/有川大輔(マツダ・デミオ)。阪口知洋/野口智恵美(日産マーチ)は、島根剛/粕川凌(ヤリス)からの追い上げをわずか0.8差で凌ぎ切って、4戦連続となる3位表彰台を決めた。

JN-5クラス優勝の松倉拓郎/山田真記子(DL☆Gセキネン鹿ソニックセラメタ ヤリス)/Tadayoshi Nakajima

前戦でのリタイアの悔しさを晴らす勝利となった松倉は「最終日もしっかりと走ることができました。再出走の小川(剛)選手がかなり良いタイムで走っていましたが、私自身も満足のいくラリーになりました。このクルマをグラベル仕様にして、北海道のグラベルラリーもしっかりと走れるようにしたいです」と、すでに視線は得意とするグラベル2戦に向かっている。2位の河本は「初日の前半でセッティングとドライビングが合わなかったのですが、その後セッティングを変えて、いい感じの走りができるようになりました」と、納得の表情を見せた。

JN-Xクラスは、初日トップの天野智之/井上裕紀子(トヨタRAV4 PHEV)が、最終日に行われた全SSでベストタイムを刻み、負けなしのシーズン4連勝を飾った。1分53秒3差の2位に清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリス)、2分07秒4差の3位に海老原孝敬/蔭山恵(ホンダCR-Z)が入った。

JN-Xクラス優勝の天野智之/井上裕紀子(TRT・DL・ RAV4 PHEV)/Jun Uruno

新型マシンで圧巻の開幕4連勝を決めた天野は「だいぶ狭いセクションにも慣れてきました。走らせ方をトライしながら、適正なブレーキングの開始時点など、少しずつこのクルマの特性をつかめてきたのは、今回の大きな収穫です」と、RAV4への手応えを語る。天野は、次戦ラリーカムイでは、昨年もドライブしたトヨタ・アクアにマシンをスイッチする。またも天野の牙城を崩せなかった清水だが「午後は行きすぎないように、あまり警戒しすぎないように走りました。それでも、やっぱりヒヨってしまいますね。毎回色々な課題が見つかるラリーは楽しいですね」と、笑顔を見せた。

全日本ラリー選手権第4戦ラリーモントレー 最終結果
1 JN-1 新井大輝/立久井大輝(R2R x YAHAGI Skoda Fabia R5) 53:53.6
2 JN-1 ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(AICELLO速心DLヤリスRally2) +3.1
3 JN-1 勝田範彦/保井隆宏(LUCK with ROOKIE DL GRヤリスRALLY2) +35.2
4 JN-1 鎌田卓麻/松本優一(Castrol TEIN DL ファビア) +36.4
5 JN-1 奴田原文雄/東駿吾(ADVAN KTMS GRヤリスRally2) +1:03.0
6 JN-1 福永修/齊田美早子(Fabia RS rally2) +1:16.6
7 JN-2 山田啓介/藤井俊樹(FTI-EASYソミック石川DLGRヤリス) +2:21.5
8 JN-2 貝原聖也/西﨑佳代子(ADVICS 多賀製作所 K-one GRヤリス DL) +3:00.7
9 JN-1 新井敏弘/小坂典嵩(SUBARU WRX VBH) +3:03.7
10 JN-2 小泉敏志/村山朋香(DLドリームドライブGRヤリス) +3:05.4
ーーー
18 JN-4 藤原友貴/宮本大輝(ロッソレーシング WM DL スイフト) +4:40.6
23 JN-3 渡部弘樹/横山慎太郎(クスコWMDLウルト86) +5:01.1
34 JN-5 松倉拓郎/山田 真記子(DL☆Gセキネン鹿ソニックセラメタ ヤリス) +6:33.3
42 JN-X 天野智之/井上裕紀子(TRT・DL・ RAV4 PHEV) +8:23.6

12
RALLY PLUS