©モントレーの象徴的存在、“めがね橋”を駆け抜ける大竹選手/橋本選手/TOYOTA
6月6日（金）〜8日（日）に群馬県で開催された全日本ラリー選手権第4戦加勢裕二杯 MONTRE 2025（ターマック）で、TOYOTA GAZOO Racing-WRJ（TGR-WRJ）は大竹直生／橋本美咲（トヨタGRヤリス）が、JN-2クラスのサブカテゴリー、MORIZO Challenge Cup（MCC）で4連勝をマーク。平川真子／竹原静香（GRヤリスDAT）はMCC8位に入り、最優秀女性ドライバー賞を獲得した。
（以下、発表リリース）
全日本ラリー選手権第4戦 加勢裕二杯 MONTRE 2025
前半戦の集大成となるモントレー
2日目に突き放した大竹がMCC4連勝
6月6日（金）〜8日（日）にかけて、群馬県安中市を拠点に2025年シーズンの全日本ラリー選手権（JRC）第4戦「加勢裕二杯 MONTRE 2025」が開催され、TOYOTA GAZOO Racing-WRJ（TGR-WRJ）から参戦した大竹直生選手/橋本美咲選手（GR YARIS GR4 Rally）が、MORIZO Challenge Cup（MCC）で4戦連続となる優勝を果たしました。平川真子選手/竹原静香選手（GR YARIS GR4 Rally DAT）はMCC8位で完走を果たしています。
「人材育成」と「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」の実践を目的に、全日本ラリー選手権に参戦してきたTGR-WRJ。眞貝知志監督のもと、今シーズンからはフィンランドのTGR-WRTとの連携をいっそう深め、「世界を見据えた」活動を行っています。2025年シーズンはJN-2クラス内の「MORIZO Challenge Cup」に、大竹選手がMT仕様のGR YARIS GR4 Rally、平川選手が高性能スポーツ8速AT（GR-DAT）搭載車のGR YARIS GR4 Rally DATでエントリーします。
開幕戦から続いてきたターマック（舗装）ラリー連戦は、今回のモントレーでひと区切りとなります。今シーズンからTGR-WRJチームを率いる眞貝知志監督は「ここまでターマック3戦を終えて、チームはとても良い状態にあります。4名の選手には、シーズン前半のターマックラリーの集大成として、道と対話しながらしっかりと走り切ってほしいです」と、スタートに向けてコメントしました。
昨年に続き、スペシャルステージ（SS・タイムアタック区間であり、タイムが計測されるコース）は群馬県西部の西毛エリアを中心とした山間部。昨年話題となった碓氷峠の旧道を走行するSSには、今年も観戦エリアが設けられました。レッキ（事前のコース試走）を終えた平川選手は「開幕戦からひとつひとつ積み重ねてきたことを今回のモントレーではしっかり形にして、自己ベストを出せるように頑張りたいです」と、意気込みを語っています。
6月7日、サービスパークが置かれた群馬県安中市の「安中しんくみスポーツセンター」において、セレモニアルスタートが実施されました。抜けるような青空が広がるなか、2台のGRヤリスが声援を受けてSS1へと向かっていきます。ラリー序盤、大竹選手はSS2でMCCトップタイムを記録し、0.3秒差ながらもMCC首位に立ちます。サービスでサスペンションセッティングを調整した大竹選手は、SS3とSS4で連続トップタイムを並べ、2番手の選手に9.8秒差をつけて初日を終えました。平川選手は着実にペースアップし、SS2ではMCC5番手タイムをマーク。SS4ではドライビングミスによりひとつポジションを落としてしまいますが、この日を6番手で終えています。
6月8日のラリー最終日、大竹選手はSS5とSS7でトップタイムをマークし、ライバル選手との差をさらに拡大。最終的に12.6秒差として、開幕から負けなしの4連勝を飾りました。2日目、平川選手はペースをつかむのに苦労する場面もありながら8位で完走。「最優秀女性ドライバー賞」を獲得しました。
■眞貝知志（TGR-WRJチーム監督）
シーズン前半のターマック4戦を終えて、大竹選手/橋本選手はMCC4連勝、平川選手/竹原選手も目覚ましいペースアップを見せており、特に今回は初日に6番手、5番手タイムもマークしてくれました。堂々とした速さを見せてくれましたし、チームとしての成長も実感できた一戦となりました。すぐに次戦に向けた作業が始まりますが、両選手ともダメージを負うことなくフィニッシュまでクルマを運んでくれましたので、計画どおりに明日からグラベルラリーに向けたクルマの仕様変更作業を始められます。また、今年の開幕戦から、TMA（トヨタ・モーター・アジア）からミュー（ミーリット・ンガームスッティ）さんをお迎えして、一緒に学ぶことになりました。TGR-WRJは『モータースポーツを起点としたもっと良いクルマづくり』に活かすため、TGR-WRTを手本にモータースポーツのプロから様々なことを学んでいます。それを日本だけでなく、グローバルに広げ一緒に成長していこうという取り組みの一環です。
■大竹直生（ドライバー）
まずは開幕から4連勝することができ、とても嬉しいです。SS1ではセッティングがイマイチな感触がありましたが、サービスでそれを改善できましたし、無理せずミスせず走ることができました。去年よりも路面が荒れているところがありましたが、クルマを壊さずにフィニッシュし、次戦以降のグラベルラリーへと良い流れをつなぐことができたと思います。橋本選手とのコンビネーションもどんどん良くなっていますし、グラベルラリーは大好きなので、すでに次戦のことで頭がいっぱいです。
■橋本美咲（コ・ドライバー）
MCC4連勝ということで、とても嬉しく思っています。全体を通じて攻めるところ、抑えるところをドライバーがしっかりとコントロールしているのが分かるラリーだったと思います。大竹選手のペースノートもすごく読みやすくなっていて、ラトバラ代表にノートづくりを教わったことが、色々と変わるきっかけになったのかなと思います。私も次戦からのグラベルラリーをとても楽しみにしているので、ここまで4連勝という、良い流れを続けていければと思います。
■平川真子（ドライバー）
初めて最優秀女性ドライバー賞を獲得でき、とても嬉しく思っています。前戦の飛鳥で、チームからのアドバイスを実践して良いタイムが出せたので、同じような走りができるよう準備して臨みました。1日目と2日目で大きな変化のあるコースで、失敗してしまったことも多かったのですが、その分、得るものも多いラリーだったと思います。ここで学んだことをシーズン終盤のターマックラリーにも活かしたいと思います。4WD車両でのグラベルラリーは初めてですが楽しみにしています。まずはしっかり完走が目標です。
平川選手/竹原選手は0.6秒差で逃げ切り
最優秀女性ドライバー賞を受賞した/TOYOTA
■竹原静香（コ・ドライバー）
少しずつ失敗を重ねながら、平川選手と一緒に成長できているなという印象のラリーでした。たとえばタイヤの内圧選択やエア圧、ペースノートの言葉選びなど、何か失敗したことについても『次はこうしよう』と、お互い前向きに話を進められているので、確実に経験を積めているという実感がありますし、それがタイムにも表れていて、達成感を得ることができたラリーとなりました。リエゾン距離は長めでしたが、SSの反省点を振り返ったり、気持ちをリフレッシュしたり、有意義に時間を使えたと思います。
ラリー初日は、各車日没後にサービスに帰還
メカニックにとってもハードな一戦となった/TOYOTA
■ミーリット・ンガームスッティ（大竹号エンジニア）
私はタイ出身で、TMAから来ました。まだモータースポーツ室が新しく立ち上がったばかりで、モリゾウさんの理念が深く浸透していないこともあり、日本で勉強するべくチームに合流しました。大竹選手のクルマと、2台の足まわりを担当しています。大竹選手や平川選手を間近で見て、緊張や気負いなく、自分たちのペースで安定して集中力を切らさずに走ることができる点がすごいと思いました。日本のラリーには初めて来ましたが、高校生の頃からWRCを見てきた私にとっては夢のような職場で、毎日が楽しいです。TGR-WRJはTGR-WRTを手本としたチームで、全体がプロとして取り組んでいますし、様々な知識を吸収できるところだと思っています。
■古市准也（大竹号メカニック）
大竹選手の車両の右フロントを担当しています。大竹選手は、ペースコントロールがとても良くできていて、ずっと安定している印象です。今シーズンは眞貝監督がチームを率いる体制に代わり、TGR-WRTとの連携が強まったことも4連勝につながったのかなと思います。帰ったらすぐに次戦の準備が始まります。MCCの厳しい規定内でできることをエンジニアと相談しながら、良い状態で大竹選手に走ってもらえるよう一生懸命クルマを作っていきます。
全日本ラリー選手権第4戦 加勢裕二杯 MONTRE 2025
MORIZO Challenge Cup最終結果
1 大竹直生/橋本美咲（GRヤリス） 58:28.0
2 最上佳樹/小藤桂一（GRヤリス） +12.6
3 ジール・ジョーンズ/バイデン・トムソン（GRヤリス） +14.4
4 奥井優介/藤田めぐみ（GRヤリス） +53.9
5 長尾綱也/安藤裕一（GRヤリスDAT） +1:37.2
6 稲葉摩人/竹下紀子（GRヤリス） +1:41.5
7 米林慶晃/木村悟士（GRヤリス） +1:51.0
8 平川真子/竹原静香（GRヤリスDAT） +1:59.1
9 兼松由奈/山下秀（GRヤリスDAT） +1:59.7
10 田部井翔大/梅本まどか（GRヤリス） +3:14.9
11 関あゆみ/市橋真由子（GRヤリスDAT） +6:39.4
12 伊藤はづき/槻島もも（GRヤリスDAT） +8:47.7
