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2025年シーズンWRC第5戦ラリーポルトガル(グラベル)は、5月17日(土)に競技3日目SS12~SS18の7SSを走行し、トヨタのセバスチャン・オジエが首位に浮上。2番手にもチームメイトのカッレ・ロバンペラが上がり、トヨタは1-2体制に。前日首位だったヒョンデのオィット・タナックは3番手に後退した。
前日にはなかったランチタイムのフルサービスを挟み、「Vieir do Minho(17.69km)」、「Cabeceiras de Basto(19.91km)」、「Amarante(22.10km)」の3SSをリピート。最後にポルトガル名物の「Lousada」(3.52km)のスーパーSSで締めくくるこの日は前日同様のドライコンディション。走り出しからタナック(ヒョンデ)とオジエ(トヨタ)による首位争いと、勝田貴元(トヨタ)、ロバンペラ(トヨタ)、ティエリー・ヌービル(ヒョンデ)による3番手争いがヒートアップした。
オープニングのSS12でベストタイムをマークしたのはオジエ。SS2番手タイムのタナックを2.6秒しのぎ、その差を4.4秒に縮めた。より僅差の3番手争いはロバンペラ、ヌービル、勝田のオーダーでフィニッシュ。前日の最終ループ同様にペースの上がらなかった勝田はここでロバンペラに3番手の座を明け渡してしまった。続くSS13もベストタイムを奪ったのはオジエ。ステージ中盤まで最速のスプリットタイムを刻んでいたタナックが後半でリヤタイヤにスローパンクを喫してタイムを落としたため、両者の差は2.0秒まで縮まった。スタート順の影響がSS12よりも大きかったこのステージでは、勝田もオジエより0.2秒遅れと奮起し、0.9秒差の僅差ながら総合3番手を奪い返す。
だが、この日の最長ステージとなるSS14で再びラリーは動く。3番手争いは勝田がステージ終盤で左フロントにパンクを喫してタイムロスし、セカンドベストのロバンペラが再びリード。ヌービルは前の2ステージ同様にペースが上がらず一歩後退の様相となる。そして注目の首位争いは、ハードコンパウンドタイヤを使ってペースの上がらなかったオジエに対し、4本ともソフト装着のタナックが9.8秒も上まわるベストタイムをマーク。その差を11.8秒にまで広げてしまった。
サービスを挟んだ午後のリピートステージ。SS15でもその差はわずか0.3秒ながらタナックがオジエをしのいで連続ベストをマーク、首位をしっかりとキープする。3番手タイムはロバンペラで、「クルマのフィーリングが悪い。まったくグリップしなかった」とタイムが伸びず、SS5番手タイムタイに終わった勝田は、SS4番手タイムのヌービルに6.4秒差まで迫られてしまった。続くSS16でもマシンと格闘する勝田のペースは上がらない。ロバンペラとヌービルが3番手タイのタイムをマークしたのに対し、勝田はそこから4.5秒も遅れ、ついにロバンペラとの差は11.4秒にまで広がり、後続のヌービルとの差もわずか1.9秒となってしまう。首位争いはまたもタナックがオジエを上まわり、その差は13.9秒に拡大。一方的な展開となってきた。
ループ最後のSS17は、ここを終えた順位で最終日の出走順が決まる重要なステージ。ベストタイムを奪ったのはロバンペラ。フロントに履いたソフトタイヤがステージ半ばで摩耗してしまった勝田はロバンペラに8.0秒、ヌービルからも2.9秒の遅れを取り、ついに5番手に陥落してしまった。そして、勝田がステージを終えた直後、最大のドラマがステージ上で起こった。中間スプリットでロバンペラを上まわる速さを見せていた首位タナックのi20Nになんとパワーステアリングトラブルが発生。残り13kmあたりから大きくペースダウンを強いられたタナックはベストタイムから45.6秒も遅れてフィニッシュし、一気に3番手まで後退してしまったのだ。労せずして首位に立ったオジエと2番手に浮上したロバンペラの差は26.0秒、2.1秒差でタナック、チームメイトから16.3秒差で4番手がヌービルと、ラリーの様相は一変した。
この日の最終ステージは現在は大半がターマックセクションとなった土曜日恒例のロウサダのスーパーSS。わずか3.52kmの距離ながら、ツイスティなレイアウトはパワステトラブルを抱えたマシンには厳しく、タナックはここでもベストタイムのオジエに8.0秒もの遅れを取る。それでもなんとか総合3番手の座は守った。土曜日のすべてのステージを終え、首位オジエはロバンペラに27.6秒の大差をつけて最終日に臨むことに。ロバンペラ~タナック、タナック~ヌービルの差はともに8.5秒となり、5番手となった勝田はヌービルに2.2秒差で最終日を迎える。この日は6番手以降に順位の変動はなし。ポイントリーダーのエルフィン・エバンス(トヨタ)は、前日同様にスタート順に苦しみ、7番手のままだ。
競技最終日はSS19~SS24の6SS、SS走行距離は72.16km。オープニングのSS19は、日本時間5月18日の14時43分にスタートする。
WRCポルトガル SS18後暫定結果
1. S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 3:01:04.7
2. K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +27.6
3. O.タナック(ヒョンデi20Nラリー1) +36.1
4. T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1) +44.6
5. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +46.8
6. S.パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:58.4
7. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) +2:15.9
8. J.マカリアン(フォード・プーマ・ラリー1) +4:13.2
9. G.ミュンステール(フォード・プーマ・ラリー1) +4:41.7
10. O.ソルベルグ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +7:07.5