全日本ラリー唐津:新井大輝/松尾俊亮がシュコダ・ファビアR5で初優勝 – ページ 2 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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全日本ラリー唐津:新井大輝/松尾俊亮がシュコダ・ファビアR5で初優勝

©JN-1クラス優勝の新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5)/Jun Uruno

■レグ2
ラリー2日目は、前日の逆走となる「MIKAERINOTAKI Reverse(6.08km)」のほか、「WARABINONOTANADA(5.24km)」、「AZAMENOSE(4.17km)」の3ステージを午前と午後でリピートする6SS、30.98km。初日のSS1においてアクシデントによりレグ離脱となった奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス・ラリー2)はマシンを修復し、無事リスタートしている。

首位の新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5)は2番手以下に40秒以上のアドバンテージを手にしており、「マシンに余計な負荷をかけずに走りたいです」と余裕の表情。オープニングのSS7は、ラリー初日にエンジントラブルに見舞われ大きく遅れた勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス・ラリー2)が、新井大輝に1.9秒差のベストタイム。再出走にまわった奴田原が5.6秒差の3番手タイム、7.0秒差の4番手タイムに福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)、8.4秒差の5番手タイムで新井敏弘/井上草汰(スバルWRX S4)が続く。

SS8は奴田原が勝田に0.6秒差をつけて、今ラリー初のベストタイムをマーク。続くSS9は新井大輝が奴田原を1.4秒、勝田を1.5秒上まわる一番時計でしっかりと首位の座をキープした。午前中のセクションを終えて、首位新井大輝と総合2番手につける勝田の差は37.4秒とわずかに縮まったが、大勢に変化はない。1分2秒5差の総合3番手に福永、1分10秒5差の総合4番手は新井敏弘、1分15秒9差の総合5番手には「少しずつマシンのことが分かってきた」と語る田口勝彦/北川紗衣(トヨタGRヤリス・ラリー2)が入っている。

JN-1クラス優勝の新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5)/Jun Uruno

サービスを挟んだ午後のセクション。SS10では奴田原が新井大輝に0.8秒差をつけてこの日2度目のベストタイム。続くSS11をベストでまとめた新井大輝は、スタートから一度も首位の座を譲ることなくフィニッシュ(SS12は主催者の計測機器故障によりキャンセル)。シュコダ・ファビアR5での初勝利、そして2020年に最終戦として開催された唐津以来となる全日本ラリー選手権JN-1クラス優勝を決めた。

初日のトラブルが響き、新井大輝との接戦に持ち込むことができなかった勝田は、40.4秒差の2位表彰台。1分06秒4差の3位は「色々と試しているんだけど、タイムに結びつかない」と悔しさを吐露した福永。上位ふたりのペースからは離されたものの、2戦連続表彰台を確保した。1分20秒1差の4位は、序盤表彰台圏内をキープしながら、最終日は福永に引き離されてしまった新井敏弘が入っている。以下、5位に田口、6位に眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリスDAT)、7位に鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI)のオーダーでラリーを終えた。

JN-1クラス優勝の新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5)/Jun Uruno

新井大輝は「勝田選手のトラブルもあって、初日に40秒のアドバンテージを得られたのが大きかったです。まだ自分の中でやりたいことがありますが、マシンに関しては目指すところは固まりました。そして、リードを持って挑めたことで、最終日は久万高原に向けた良いテストができましたね。この後は、マシンが壊れなければ選手権タイトルを狙っていきます」と、2020年以来のタイトル奪取を宣言した。

新井大輝と接戦に持ち込めなかった勝田は「出し切っての2位です。初日のトラブルがなければ、もっと良い戦いができたかもしれませんが、大輝選手のクルマよりもこちらのポテンシャルが高いので、もっと頑張らないとですね。今日は奴田原選手もいいタイムを出していましたし、今後はさらに面白くなりそうです」と、次戦での挽回を誓う。

JN-2クラス初日首位の三枝聖弥/船木一祥(スバルWRX STI)/ Hiroaki Ibuki

JN-2クラスは、40秒差を持って最終日に挑んだ三枝聖弥/船木一祥(スバルWRX STI)が、アドバンテージを活かしてトップフィニッシュ。待望の全日本ラリー選手権初優勝を達成した。2位にはMORIZO Challenge Cup(MCC)の山田啓介/藤井俊樹(トヨタGRヤリス)が入り、開幕戦の三河湾に続きMCCで2連勝を飾っている。SS8とSS10でベストタイムをマークし、ようやく期待されていたスピードを発揮した大竹直生/藤田めぐみ(MCC:トヨタGRヤリス)が、SS10でKANTA/保井隆宏(MCC:トヨタGRヤリス)をパス。SS11でもベストタイムをマークして今季初の3位表彰台を得た。

ついに念願の全日本初勝利を手にした三枝は「リードは十分ありましたが、何度かヒヤリとする瞬間がありました。平常心で走ることを心がけましたが、最終SSは心臓がバクバクで……。今回は本当に気持ちよく走ることができました。実感が湧かなかったんですが、最後にメディアに囲まれてようやく実感しました(笑)」と、喜びを語った。

MCC2連勝を飾った山田は「MCCのペースが全体的に上がるなかで、勝ち切れたことがすごく嬉しいです。レベルが高いなかで、2連勝できたことで、開幕戦三河湾よりも嬉しさは増しています。最終日は2位とのタイム差を見つつ、路面的にも少し危ないところがあるので、マージンを少しずつ使いながら安全に、なおかつタイムを落としすぎないように組み立てをしました」と、笑顔で振り返った。

JN-3クラス初日首位の長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86) / Hiroaki Ibuki

JN-3クラスは、SS6とSS7で首位の長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86)が連続ベストを刻み、2番手につける山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)を一気に突き放した。長﨑は午後のセクションでもステージウインを1本獲り、終わってみれば、2位山本との差を拡大し、うれしいシーズン初勝利を飾った。4番手からこの日をスタートした曽根崇仁/竹原静香(トヨタGR86)が、この日に2本のベストをたたき出して3番手の上原淳/漆戸あゆみ(トヨタGR86)に迫ったが、7.3秒届かず4位に終わっている。

シーズン初勝利を手にした長﨑は「ここからラリーが隔週で続くので、まずは最初のラリーで無事に戻ってこられて良かったです。午前中は頑張ったんですが、ひたすら全開というわけではなく、セーフティを取りながら走ることができました。攻めと守りのバランスが良かったので、午後もその走りを心がけました。結果、差を拡大できた感じです。今シーズンは山本選手の独走を許さないようにしたいですね」と、冷静に振り返った。逆転を狙いながら、逆に差を広げられてしまった山本は「三河湾の段階ではターマックでかなり良くなったと思ったんですが、路面の質がだいぶ違うことを差し引いても、振り出しに戻った印象です。午後に入って路面が良くなったのに、僕はタイムが落ちていましたから……。次に向けて時間はありませんが、なんとか対策します」と、肩を落とした。

JN-4クラス初日首位の高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ) / Jun Uruno

JN-4クラスは、首位の高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ)がSS7でベストタイムをマークし、アドバンテージを拡大。しかし、SS8とSS9で西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)が連続ベストをたたき出し、その差を3秒にまで縮めてみせた。サービスを挟んだ午後のセクション、SS10は高橋が午前中に続く一番時計。SS11は西川が獲り、最終SSを前にその差は2.5秒に縮まった。しかし、最終のSS12がキャンセルに終わったことで、高橋が開幕戦三河湾に続く2連勝を飾った。首位を射程に捉えながら、西川は悔しい2位。3位に黒原康仁/松葉謙介(スズキ・スイフトスポーツ)、4位に前田宜重/勝瀬知冬(スズキ・スイフトスポーツ)が入った。

高橋は「ゼロスタートのつもりで行かないと、やられてしまうと思ったので、必死で攻めました。ただ、最後のセクションでミッションが壊れてしまって、最終SSの後半はかなり危なかったです。フィニッシュまでたどりつけない可能性もあったので、本当に嬉しいです」と、安堵の表情で語った。高橋に一歩届かなかった西川は「下りメインでしたし行けると思ったんですが、高橋選手の底力を見せられましたね。高橋選手と競ることで、私自身のレベルも引き上げられたと感じています。総合順位でも昨年より上がっていますし、大きな刺激を受けました」と、高橋を称えた。

JN-5クラス初日首位の河本拓哉/有川大輔(マツダ・デミオ) / Jun Uruno

JN-5クラスは、首位の河本拓哉/有川大輔(マツダ・デミオ)が、オープニングのSS7でベスト。2番手で松倉拓郎/山田真記子(トヨタ・ヤリス)は、SS8とSS9で連続ベストを刻むが、河本も僅差で続いており、思うように差を縮めることができない。河本は、午後も2本のベストタイムをマークして初日に得たアドバンテージを守り切り、昨年の久万高原以来となる全日本ラリー選手権勝利を決めた。3位は前日の順位を守った大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)、4位には小川 剛/山本祐也(トヨタ・ヤリス)が入っている。

優勝候補のふたりを破り、2度目の全日本勝利を手にした河本は「理想的なラリーになりました。近づかれた局面はありましたが、心配になるような状況ではなかったです。ラリーを通して淡々と走ることができました。ここからのターマック3連戦、すべてのラリーを走りたかったので、とにかく最初の唐津でアクシデントを起こさないように注意しました」と、落ち着いた表情で振り返った。最終日は僅差の展開に持ち込みながら追いつくことができなった松倉は「初日に足まわりのセッティングを慎重に置きに行ってしまったことが、最後で響きました。タイヤや足まわりに関して試行錯誤もありましたし、色々と勉強になったラリーでした。次は丹後に出る予定です」と、反省の弁を語っている。

JN-6クラス初日首位の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア) / Hiroaki Ibuki

JN-6クラスは、天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア)が、前日までのアドバンテージを守り切って開幕2連勝を達成。ただ、最終セクションでは、左フロントハブをとめているボルトが緩んだことでペースを上げられず、2位の清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリス)にベストタイムを奪われる場面もあった。3位は地元の山北研二/塩濱浩之(トヨタ・アクア)、4位には中西昌人/山村浩三(ホンダ・フィット)が入っている。

最終日の午前中までは完璧なラリーを展開していた天野は、マシントラブルを抱えながらも、しっかりと勝利を持ち帰った。「今回、もし海老原選手が出ていたら、勝利は難しかったと思います。キャンセルになった最終SSは、ここだけで40秒近くも遅れましたから……。午後は毎回ボルトを指で締めてなんとか走り切った感じです。それでも、フィニッシュしたら、ガタガタでしたからね」と、薄氷を踏む展開だったことを明かしている。一方、今回はベストタイムをマークした清水は「天野選手に少しずつ近づいている気がしますが、やはり持っている引き出しの差を感じました。それでも、ブレーキングを含めたハイブリッドの走り方について収穫の多いラリーだったと思います」と、冷静にコメントしている。

全日本ラリー第2戦ツール・ド・九州2024 in 唐津 最終結果
1 JN-1 新井 大輝 松尾 俊亮 シュコダ・ファビアR5 55:52.7
2 JN-1 勝田 範彦 木村 裕介 トヨタGRヤリス・ラリー2 +40.4
3 JN-1 福永 修 齊田 美早子 シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo +1:06.4
4 JN-1 新井 敏弘 井上 草汰 スバルWRX S4 +1:20.1
5 JN-1 田口 勝彦 北川 紗衣 トヨタGRヤリス・ラリー2 +1:24.0
6 JN-1 眞貝 知志 安藤 裕一 トヨタGRヤリスDAT +2:25.0
7 JN-1 鎌田 卓麻 松本 優一 スバルWRX STI +2:30.8
8 JN-2 三枝 聖弥 船木 一祥 スバルWRX STI +2:50.2
9 JN-1 石黒 一暢 穴井 謙志郎 トヨタGRヤリス +3:44.8
10 JN-2 山田 啓介 藤井 俊樹 トヨタGRヤリス +3:47.1


12 JN-4 高橋悟志 箕作裕子 スズキ・スイフトスポーツ +4:02.8
13 JN-3 長﨑雅志 大矢啓太 トヨタGR86 +4:07.1
22 JN-5 河本拓哉 有川大輔 マツダ・デミオ +5:09.6
41 JN-6 天野智之 井上裕紀子 トヨタ・アクア +8:21.9

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