WRCスウェーデン:豪雪の2日目、出走順を活かしたエサペッカ・ラッピが首位。勝田貴元も3.2秒差の2番手につける – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCスウェーデン:豪雪の2日目、出走順を活かしたエサペッカ・ラッピが首位。勝田貴元も3.2秒差の2番手につける

©HYUNDAI

2024年シーズンWRC第2戦ラリースウェーデンは、2月16日(金)にラリー2日目の7SSを走行し、ヒョンデのエサペッカ・ラッピが、トヨタの勝田貴元に3.2秒差をつけて首位に立った。1分20秒7差の総合3番手にはWRC2に参戦するオリバー・ソルベルグ(シュコダ)がつけている。

木曜日にセレモニアルスタートと、レッド・バーン・アリーナでのSS1に続き、この日から本格的な森林ステージが幕を上げる。金曜日はサービスが置かれたウメオの西と北を舞台とする3SSをリピートし、最後に「Umea Sprint(5.16km)」で締めくくる7SS、107.90km。SS2/SS5「#42 Brattby(10.76 km)」、SS4/SS7「Floda(28.25km)」は昨年と同じルートたが、SS3/SS6「Norrby(12.36km)」は大部分が新ルートとなった。

前日よりも気温が上がったことで、スタートの段階では一部に霧がかかっている。オープニングのSS2、ベストを刻んだのは、今回がシーズン初出走で有利な後方スタートとなったカッレ・ロバンペラ(トヨタ)。3.2秒差のSS2番手タイムには、こちらもシーズン初登場のエサペッカ・ラッピ(ヒョンデ)と、「シェイクダウンを経て良いセットアップが決まった」と笑顔を見せたオィット・タナック(ヒョンデ)が同タイムで並んだ。

TOYOTA


期待の勝田貴元(トヨタ)は、ベストから3.5秒差のSS4番手タイムに、「昨年はこのステージでアクシデントに見舞われましたが、余裕を持って良いフィーリングで走れました」と、笑顔を見せた。先頭スタートのティエリー・ヌービル(ヒョンデ)は11.2秒差のSS6番手タイム、2番手スタートのエルフィン・エバンス(トヨタ)も6.1秒差のSS5番手タイムと、やわらかいフレッシュスノーに足を取られ、思うようにタイムを伸ばせていない。

この結果、首位ロバンペラ、4.9秒差の総合2番手に勝田と変わらず、タナックが総合3番手、ラッピが総合4番手と、それぞれポジションを上げた。以下、エバンス、アドリアン・フルモー(Mスポーツ・フォード)、ヌービルのオーダーで続く。

SS3は、ラッピがロバンペラに1.2秒差をつけて、今回初の一番時計を刻む。2.0秒差で勝田、2.1秒差でタナック。スピンを喫したエバンスは11.4秒差のSS6番手タイム、ここでもフレッシュスノーの掃除役を課されたヌービルは、13.1秒も遅れてしまった。首位のロバンペラに早くも25.8秒差をつけられたヌービルは「ワイパーもフルで動きっぱなしだし、悪夢を見ているようだった」と、肩を落とした。

この日の最長の28.25kmを走行するSS4は、大きなドラマが待っていた。まず総合3番手につけていたタナックが、18.5km地点でスピンを喫してスノーバンクにヒット、ラジエターにダメージを負ってマシンを止めた。さらに、首位を走行していたロバンペラもタナックと同じ場所でコースオフ。こちらもラジエターを壊し、ラリー続行を断念している。総合8番手を走行していたグレゴワール・ミュンステールはパンクを喫し、ステージ中の交換を余儀なくされ、4分近くタイムを失った。

波乱のSS4を制したのは「厳しいコンディションでしたが、スノーバンクを使って走ることができた」と振り返った勝田。このステージでは、ラッピもスタートから10km地点でスノーバンクにヒットして左フロントにダメージを負っており、勝田がラッピに11.4秒差をつけて首位に浮上した。セカンドベストでまとめたエバンスが13.3秒差の総合3番手、総合4番手にフルモー、総合5番手にヌービルと、それぞれポジションを上げている。

ウメオでのサービスを挟んだ午後のセクション。最初の走行後に雪が激しく降ったことで、場所によっては10cmほどの積雪を記録している。午前中に続き、スタート順の早いヌービルやエバンスがタイムを落とすなか、後方スタートのアドバンテージを活かしたラッピが、勝田に6.1秒差のベストタイム。これで首位勝田との差を5.3秒に縮めた。SS3番手タイムのフルモーは、総合3番手のエバンスに2.4秒差まで迫っている。

M-SPORT


SS6も積雪により、WRC2に参戦するゲオルグ・リンナマエがセカンドベストを獲得するなど、後方スタートほど有利な状況に。ラッピは勝田に5.0秒差をつける連続ベストをマークし、0.3秒差と首位を射程に捉えている。その後方ではペースの上がらないエバンスをパスし、フルモーが総合3番手にポジションアップ。ヌービルはリフューエルでエンジンがかからなくなるトラブルが発生。スタートのTCに4分遅着し、40秒のペナルティを受けて総合14番手まで順位を下げることになった。

ロングステージのSS7は、日が落ちて厳しい視界のなかでの走行になった。ラッピが勝田に2.1秒差の3連続ベストタイムを並べ、ついに1.8秒差ながらもトップに立つ。WRC2ながらもSS3番手タイムをマークしたオリバー・ソルベルグが、フルモーを捉えて総合3番手にポジションアップ。ヌービルがトラブルにより遅れたことで、先頭スタートになってしまったエバンスは、ベストのラッピからこのステージだけで44.9秒も遅れ、WRC2のゲオルグ・リンナマエ(トヨタ)に抜かれて総合6番手にドロップしている。

Red Bull


金曜日を締めくくるのは、初日にも走行した「Umea Sprint」。首位のラッピは大観衆の声援を受けて、午後に行われたすべてのステージをベストでまとめた。
「午後は確かにロードポジションのアドバンテージを活かすことができたね。今日得た自信を持って、残りのラリーに集中する必要がある」と、僅差の首位に表情を引き締めた。

1.4秒差のSS2番手タイムとなった勝田は、ラッピから3.2秒差の総合2番手。
「特に午後は雪がかなり多く、僕の出走順でもラインがない箇所がありました。首位を守ることはできませんでしたが、近い位置につけていますし、ラリーはまだ2日あるのでプッシュし続けたいです」と、明日以降の挽回を誓う。後方スタートの利を活かしたWRC2のソルベルグは、1分20秒7差の総合3番手。1分26秒3の総合4番手にフルモー、1分50秒差の総合5番手にエバンスがつけており、出走順が変わる3日目は、彼らがポジションを挽回することになりそうだ。

競技3日目はSS9〜SS15の7SS、SS走行距離は125.96km。オープニングとなるSS9は、日本時間2月17日の15時45分にスタートする。

WRCスウェーデン 2日目暫定結果
1. E.ラッピ(ヒョンデi20Nラリー1) 58:18.8
2. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +3.2
3. O.ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +1:20.7
4. A.フルモー(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +1:26.3
5. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:50.0
6. G.リンナマエ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +1:50.1
7. S.パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +2:05.8
8. R.コルホネン(トヨタGRヤリス・ラリー2) +2:08.6
9. M.ヘイッキラ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +2:19.0
10. L.ヨーナ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +2:45.7



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