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全日本ラリー北海道:MORIZO Challenge Cupは大竹直生が暫定チャンピオンに

©本大会優勝の大竹直生選手/橋本美咲選手。MCC暫定チャンピオンを決めシャンパンファイトを行った。/TOYOTA

全日本ラリー選手権JN-2クラスに、若手育成を目的として設定されているトヨタGRヤリス、トヨタGRヤリスDATのワンメイクで争われるサブカテゴリー「MORIZO Challenge Cup(MCC)」は9月5日〜7日に北海道帯広市で開催されたシーズン第6戦「RALLY HOKKAIDO」に9台が参戦した。うち、田部井翔大は体調不良により、走行を断念した。

ラリーは、大竹直生が序盤からリードを築き、暑さで熱中症になりながらも奮闘。開幕から負けなしの6連勝を飾り、シーズン2戦を残した時点で暫定チャンピオンを決めた。地元北海道出身でMT車両での2戦目に臨んだ長尾綱也と、初めてグラベルラリーに臨む18歳の米林慶晃は激しい2位争いを展開し、最終的に0.7秒差で長尾が2位の座を勝ち獲った。

(以下、発表リリース)
MORIZO Challenge Cup第6戦 RALLY HOKKAIDO
MCC6連勝の大竹が暫定チャンピオン
米林を0.7秒抑えた長尾が2位

9月5日(金)〜7日(日)にかけて、2025年シーズンの全日本ラリー選手権(JRC)第6戦「RALLY HOKKAIDO」が北海道帯広市を拠点に開催され、JN-2クラス内の若手育成カテゴリー「MORIZO Challenge Cup(MCC)」において、TOYOTA GAZOO Racing-WRJ(TGR-WRJ)から参戦する大竹直生選手/橋本美咲選手が優勝を飾りました。この結果、大竹選手は2戦を残してMCCの暫定チャンピオンに輝きました。

MORIZO Challenge Cup(MCC)は、若手ドライバー育成を目的に2024年から導入された、全日本ラリー選手権JN-2クラスのサブカテゴリーです。今シーズンもJN-2クラスの車両規定をベースとした「トヨタGRヤリス」によって争われます。全日本ラリー選手権全8戦で開催され、25歳以下(一部条件付きで28歳以下)のドライバーが対象。MCC独自のポイントが付与され、1位~3位までの上位入賞者、最多SSトップタイム賞、最優秀女性ドライバー賞が表彰されます。また、シリーズ年間成績優秀者には、副賞としてTGR WRCチャレンジプログラム最終選考の参加資格が与えられます。

第6戦ラリー北海道は、世界ラリー選手権(WRC)やアジア・パシフィックラリー選手権(APRC)の開催実績を持つ、全日本ラリー選手権屈指のビッグイベント。十勝地方の林道や、陸別のオフロードサーキットに設定されたスペシャルステージ(SS・タイムアタック区間であり、タイムが計測されるコース)の刻々と変化する路面は、クルーに高い対応力を求めます。

今大会には、前戦ラリー・カムイに出場した大竹直生選手、ジール・ジョーンズ選手、長尾綱也選手、平川真子選手、奥井優介選手、松原周勢選手に加え、兼松由奈選手、米林慶晃選手、田部井翔大選手の計9台がエントリーしました。5日金曜日には、モリゾウこと豊田章男会長から、MCCに参戦する若きチャレンジャーへのメッセージと、サイン入りのキャップが贈呈されました。ラリーは帯広駅前でラリーショーとセレモニアルスタートを実施し、6日土曜日から競技が始まりましたが、体調不良を訴えた田部井選手はスタートを断念することになりました。

ドライコンディションとなった初日、SS1ではここまで5連勝中の大竹選手がトップタイムをマークし、上々のスタートを切ります。SS2では長尾選手がトップタイムを獲得しますが、この日最長の23.53kmを走行するSS3でSSトップタイムを記録した大竹選手は、その後の5SSも制し、初日を終えた段階で2番手以降に1分13秒8の大差を築きました。

北海道出身の長尾選手は僅差のバトルを制し
2戦連続で2位表彰台を獲得した/TOYOTA

熾烈を極めたのは、米林選手と長尾選手による2番手争い。序盤は長尾選手が2番手につけますが、SS4でSS2番手タイムを記録した米林選手が長尾選手を逆転し、2番手に浮上。終盤、長尾選手も追い上げを見せたものの、米林選手が長尾選手に7.6秒差をつけて初日を走り切りました。優勝候補に挙げられていたジョーンズ選手は、スタート直後からエンジンの不調に見舞われ、首位から1分53秒8差の4番手。4分29秒4差の5番手に平川選手、平川選手から3.5秒差の6番手に松原選手がつけています。

朝から雨となった最終日、滑りやすい路面を警戒した大竹選手は、1分以上のアドバンテージを活かし、リスクを避けたペースで走行。そのまま危なげなくシーズン6連勝を決め、残り2戦を待たずにMCCの暫定チャンピオンを獲得しました。僅差の2番手争いは、長尾選手がSS10で米林選手を逆転。最終SSをトップタイムで締めくくった長尾選手が、前戦のラリー・カムイに続き2位表彰台を獲得しています。グラベルラリー初参戦の米林選手は、わずか0.7秒及ばなかったものの、3位で自身初のMCC表彰台を手にしました。ジョーンズ選手は不調を抱えながらも4位、一時、松原選手に逆転を許した平川選手は、最終SSで再逆転し、5位に入賞しました。

ラリー終了後には、北愛国交流広場のサービスパークにおいてMCC独自の表彰式が開催され、大竹選手/橋本選手が北海道池田町の十勝ワインから協賛いただいたスパークリングワインで“シャンパンファイト”を実施。暫定チャンピオンの誕生を祝う、笑顔あふれる温かな雰囲気の表彰式となりました。

■大竹直生(MCC1位/最多SSトップタイム賞)
MCCで6連勝を挙げ、暫定チャンピオンを獲得することができました。チームがクルマを改善してくれたおかげで、今大会ではセットアップを変更せず、全行程を走り切ることができました。これまで支えてくださったチームの皆さんに感謝しています。去年はずっと苦しい思いをしてきたシーズンでしたが、モリゾウさんはそんな中でもいつも気にかけてくださって、リベンジの年としてチャンスをいただきました。あらためて、若手が強くなれるMCCという機会を用意してくださったモリゾウさんに感謝していますし、これからも切磋琢磨しながら、いいラリードライバーになれるよう頑張っていきたいと思います。

■長尾綱也(MCC2位)
これまでのキャリアで、こんなに激しいバトルを経験したことはありません。本当に週末をとおして緊張感が途絶えなかったですし、今までにない状態でした。最終SSのオトフケ2は、もうできることがないくらい、自分でもプッシュしました。ミスやコースオフもなく、最大限に攻めた結果、米林選手とほぼ同タイムでフィニッシュでき、2位をキープできました。この状況に震えましたし、MORIZO Challenge Cupに参戦して本当に良かったと思いました。素晴らしい経験になりました。

2位の長尾選手(左)と3位の米林選手
手に汗握る戦いの経験は、今後の糧となるはず/TOYOTA

■米林慶晃(MCC3位)
最終日の残り2SSは、チームから『絶対完走』と言われていました。それでも、もう少しだけプッシュしようと、頑張りました。特に0.6秒差で迎えた最終SSは、自分としてもかなり良いタイムで走ることができましたが、それでも0.1秒、長尾選手に負けてしまいました。今回、念願の表彰台を獲得でき、本当に嬉しく思います。これまでは完走ペースで走ってきましたが、こうして最後まで勝負ができたことは、自分としても大きな収穫です。

■ジール・ジョーンズ(MCC4位)
かなり悔しい結果となった週末でした。僕自身でうまく挽回できなかったというのが、正直な感想です。ペースに苦労しましたが、これは抱えていたトラブルが間違いなく影響していたと思います。トラブルに対して、自分ができることが少なく、フラストレーションが溜まりましたし、多くのタイムを失うことにもなりました。次のターマックラリーに向けては戦略を練り直して、挽回を狙います。

■平川真子(MCC5位/最優秀女性ドライバー賞)
最終日は、ドライビングに関して課題があったので、そこだけに集中して、絶対に安全に、かつ速く完走しようという気持ちで挑みました。今回、初日のSS1では自分のベストなパフォーマンスを発揮できず、すごく悔しい思いをしました。それでもラリー北海道全体をとおして、何を積み重ねていけばスタートから自分が持つ最大限のパフォーマンスを発揮できるか、学ぶことができました。このラリーで得た気づきを、次の久万高原ラリーにしっかり活かしていきたいです。

■松原周勢(MCC6位)
5位と0.2秒差ですから、とても悔しいです。最終SSからサービスに戻ってくるリエゾンでは、泣きそうになりました。走りに関して、現在の実力という意味では、満足しています。ペースを落としすぎることもなく、不満の残るようなドライビングはありませんでした。ただ、ラリー全体を考えると、実力不足は否めません。特に課題に感じたのはハイスピードセクション。コ・ドライバーの加勢(直毅)選手からのアドバイスを聞きつつ、ラリー中も少しずつレベルアップすることができました。

■兼松由奈(MCC7位)
GR-DAT車両で初めてのグラベルラリーでしたが、初日は周囲でリタイアが続出するなどすごく難しい道で怖さもありました。パンクをした際には、初めてSS内でのタイヤ交換も経験しました。最終日のSS10オトフケの1回目はコンディションが不安だったので、リスクを避けて走り、2本目でペースを上げていくつもりでしたが、思ったように走れなかった点は消化不良です。それでも、これだけ難しいラリーを通じて、クルマを壊さず完走できました。スタート前に考えていた目標はクリアできたと考えています。

■奥井優介(MCC8位)
SS3のスタートから8km地点でコースアウトしてしまい、レグ離脱となりました。右コーナーでリヤが出てしまって、そのまま振り戻せず、コース外に落ちてしまいました。幸いクルマにダメージがなかったので、最終日に再出走できました。オトフケのSSは気持ちよく走ることができましたが、イケダはあまりにも滑りやすくて、壁が迫ってくる瞬間がありました。表彰式を見た時に、自分がリタイアしたことを思い出して、あらためて悔しさを感じています。

全日本ラリー選手権第6戦 RALLY HOKKAIDO
MORIZO Challenge Cup最終結果

1 大竹直生/橋本美咲(GR YARIS GR4 Rally) 1:12:31.4
2 長尾綱也/安藤裕一(DL WPMS GRヤリス) +1:11.5
3 米林慶晃/木村悟士(KTMS GRヤリス) +1:12.2
4 Zeal JONES/Bayden THOMSON(CUSCO WM DL GR Yaris) +2:05.2
5 平川真子/竹原静香(GR YARIS GR4 Rally DAT) +5:02.6
6 松原周勢/加勢直毅(CUSCO WM DL GR Yaris) +5:02.8
7 兼松由奈/山下秀(ロッソモデロ 大東建託 GRヤリスDAT) +17:09.3
8 奥井優介/藤田めぐみ(CUSCO WM DL GR Yaris) +1:00:27.1
R 田部井翔大/槻島もも(CUSCO WM DL GR Yaris)
参戦9台、出走8台、完走8台



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