WRCエストニア:ヨンネ・ハルットゥネン「今回は1度しかシートをつかまなかった」イベント後記者会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCエストニア:ヨンネ・ハルットゥネン「今回は1度しかシートをつかまなかった」イベント後記者会見

©Toyota Gazoo Racing WRT

WRCラリーエストニアのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。圧巻の強さを披露してエストニア3連覇を果たしたカッレ・ロバンペラ。無理なくその速さを披露した様子は、コ・ドライバーのヨンネ・ハルットゥネンが危ない場面を察して身構える回数が極めて少なかったコメントからもうかがえた。

●WRCイベント後記者会見 出席者

@World / Red Bull Content Pool

1位ドライバー:カッレ・ロバンペラ=KR(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
1位コ・ドライバー:ヨンネ・ハルットゥネン=JH(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
2位ドライバー:ティエリ・ヌービル=TN(ヒョンデ・シェル・モビスWRT)
3位ドライバー:エサペッカ・ラッピ=EP(ヒョンデ・シェル・モビスWRT)
ヤリ‐マティ・ラトバラ=J-ML(トヨタ・ガズーレーシングWRT、チーム代表)

Q:この記者会見は、メディア、世界のファンのみなさんに向けて配信されています。カッレ、見事な勝利だった。このイベントが大好きであることは何度も聞いている。WRC10勝目、またエストニアで勝利をマークした気分は
KR:もちろんいい気分だ。本当に素晴らしいラリー。毎年、すごく楽しんでいる。これ以上の場所はないよ。

Q:この週末は自然に速さを見せていた。どれくらい限界まで攻めていたか。抑えていた時はあったのか
KR:金曜日はかなりプッシュしなくてはならなかった。限界に達していた場所はあったし、ほとんど限界でプッシュしていた。砂利を掃除しなくてはならない時は、後続と張りあうペースを出すのは簡単ではない。でも、土曜日は同じようにプッシュしても、走りやすいペースだったので、大きなリスクを負うことなくキープすることができた。そこからは、かなりシンプルだったね。

Q:楽ではなかったことは良く分かる。ヨンネ、コ・ドライバーの立場としてはどんな週末だったか
JH:この週末、速さを見せられて良かった。危ない場面もなかったしね。通常、そういう場面がある時は自分はシートをつかむんだけど、今回は1度しかつかまなかったよ。でも、このイベントが来年なくなってしまうのは少し悲しいね。すでにシリーズのアイコン的なイベントになっているし、たくさんの人が観戦に来てくれた。主催運営も本当に素晴らしいし、ステージもいい。何もかもが本当にプロフェッショナルなので、またこのイベントに戻りたいと願うばかりだよ。

Q:本当に素晴らしいイベントだ。ところで、シートをつかんだのはいつ
JH:金曜日だったと思うよ。
KR:ある高速コーナーで速度が少し高すぎた。

Q:それを見て面白がっていたのでは
KR:そうだね、いつも見ているよ。道に集中していても、いろいろなものが見える。彼が何をしているかも見ている。シートをつかむ度に、大丈夫だったとホッとしているんだ。ステージをフィニッシュしたということは、ドラマはなかったということだ。

Q:母国フィンランドに向けての自信は。ここと比べて大きな注目を集めるが、プレッシャーは感じるか
KR:もちろん、母国で感じる気持ちはいつも特別。よりワクワクするし、プレッシャーも高くなる。当然だ。チームにとっても母国ラリーだから、フィンランドは山場のイベントだ。ここではあまりプレッシャーは感じない。いいリザルトを出さなくてはならないという、自分自身のプレッシャーだ。優勝を狙えると感じるイベントでは、高ポイントを獲りたい。それに、ラリーが始まる前にすでにオィットがペナルティを受けたのは、少し残念だった。間違いなくいい戦いになっていただろうからね。金曜日、彼はものすごく速かったし、どうなっていたかなんて誰にも分からない。激戦になっていたかもしれないんだからね。でも、フィンランドではまた話は別だ。

Q:ヨンネは、伝統の一戦でもある母国ラリーを10日後に控えてどんな気分か
JH:母国ラリーというだけでなく、生まれ育った町だからね、いつもとは違うよ。でもすごく楽しみにしているし、このマシンやこの仲間と一緒に自分の地元でラリーができるのは、格別の気分でしかない。

Q:ティエリーはどんな週末だったか。超高速イベントのエストニアで、どのステージでも笑顔が見られたようだ。2位には満足か
TN:正直、すごくハッピーだ。ポディウム争いができると期待して臨んだが、金曜日の日中に首位に立てたのは予想していなかった。土曜日の午前はカッレにプレッシャーを与え続けようと努力したし、少しはその効果もあったかもしれないが、自分たちがパンクに見舞われたので、その後は上位よりも後続の方により注意していた。でも、このリザルトには本当に喜んでいる。まず、このような高速ラリーでこんな走りができてモチベーションが高まる。マシンに自信を持てるようになったし、フィンランドに向けてのモチベーションにもつながる。いつもは、あまりモチベーションを高めて臨めていなかったし、あまりイベントを楽しめなかったからね。でも今年のフィーリングは違う。

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Q:それはなぜなのか。マシンやチームに何か変化があったのか
TN:この数年、たくさんのことが変わったのは確かだ。マシンも何度か変わったが、なぜかは分からない。過去は、2012年、2013年などは、あそこでも速かったし2位でフィニッシュしたこともある。でもその後は苦戦するようになって、マシンも合わなかった。2年前ははマシンは良かったが自分がミスをして、昨年は単純に難しかった。でも今は、マシンが乗りやすくなった。それからこの1年、テストの拠点がフィンランドになったので、あの国の道を走ることが増えた。だから、こういう道や速さに慣れてきたのかな。それが、この週末でも役立ったひとつのポイントだとも思う。

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Q:トヨタの存在がフィンランドでテストをさせるようになったのでは(笑)。改善された部分はあったか
TN:間違いなくあったと思う。自分とエサペッカは、マシンの好みが似ていると思うし、テストセッションでも同じ方向で取り組めている。お互いにとってもチームにとっても、すごく助かっている。

Q:エサペッカ、見事なリザルトだったが、週末を通してエルフィン・エバンスと激闘を続け、体力的にもメンタル的にも、どのようなプレッシャーを感じていたか
EP:戦いに勝つのは、いつでもいい気分だ。それに、3日間続けて全開で走り倒したのは初めてだった。いつもは、どこかの時点で決着がついたり、戦いが終わってしまったりするが、このような激闘は初めてだった。でも、すごくいい戦いでもあった。常に集中しなくてはならなかった。どのステージも必死でプッシュしなくてはならなかったし、とても楽しかった。でも、自分のパフォーマンスにはあまり満足していない。もう少し速くありたかったが、できなかった。この先2週間の間に、良くなりたいね。

Q:なぜ速くなかったと思うのか。金曜日はすごく速かったが、土曜日のあるステージでは、金曜日ほど決意を持てていないと話していた。何が変わったのか
EP:日が変わったけど(苦笑)でも、うまく説明がつかない。あまりよく眠れなくて、朝は疲れていたのかもしれない。分からないけど、いずれにしても言い訳にはならない。全体的に、もっといいパフォーマンスを出さなくてはならない。もちろんティエリーに対してもだし、カッレとも張りあいたいと思っていたが、あれ以上、差を詰めることができなかったのは少し残念。

Q:ヤリ‐マティ、パワーステージが始まる前、カッレとヨンネの素晴らしさには言葉が見つからないと話していた。今は、どんな言葉をかけるか
J-ML:カッレとヨンネは、ゾーンに入ったような感じだ。このゾーンに入るのは、すべてを完璧にこなしてきた後に、自然にやってくるもの。すべてが楽になり始める。不必要な努力はいらない。でも、どうやってそのゾーンを見つけるか、それがクエスチョンだ。だから、言葉が見つからない。でも、素晴らしいパフォーマンスだった。2005年のコルシカでセバスチャン・ローブが見せたような圧勝だった。

Q:エルフィンはエサペッカと激闘になったが、彼も全力を尽くした。昨日の夜は、日曜日の最初の2本にチャンスがあると言っていた。その2本が終わった後のタイムを見て、どう思ったか
J-ML:最初の1本は、エサペッカが強かったと思う。ここですでにタイムを稼いでいた。この1本でその後が決まると思っていた。その後は接戦になると分かっていたし、そこで9秒以上になったと思うので厳しくなると思った。そこで彼より速く走りプレッシャーを与えられなければ、彼に追いつくのはもう不可能だと思っていた。でも、エルフィンは貴重なポイントを獲得してくれたし、素晴らしいアタックを見せてくれたから満足しているよ。

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Q:タイトルが確定する最初のチャンスはいつになると思うか
J-ML:自分もそれほどしっかり計算していないし考えてもいないが、今はフィンランドかも知れないと思っている。カッレとヨナスはいま、すごい強さでリードしているので、もしかしたらあそこで決まってしまうかもしれないね。まだちゃんと考えなくてはならないけどね。でも、今の状況を考えれば、チリの後かな。

Q:フィンランドではドライバーに復帰するが準備はどうか
J-ML:動画を少し見たりしているが、フィンランドでの目標は4位〜8位の間。そこを目指していく。

Q:ヨンネ、コ・ドライバー側から、ヤリ‐マティのコ・ドライバーを務めるユホ・ハンニネンに何かヒントはあるか
JH:No。Mr.ハンニネンは超プロフェッショナルだ。でも、Mr.ハンニネンはヤリ‐マティについて、あのラリーでリスクを負い出したら、自分はマシンを降りると言っていたよ(笑)。
J-ML:そうだね、自分が優勝を狙ってアタックを始めたら、彼はマシンから飛び降りるのが想像がつくよ。そしたらリタイアしなくちゃだから、そんなに速くは走れないね。



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