WRCポルトガル:「ドーナツターン」でWRC2優勝を逃したソルベルグ、ペナルティに物議 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCポルトガル:「ドーナツターン」でWRC2優勝を逃したソルベルグ、ペナルティに物議

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WRC第5戦ラリーポルトガル、WRC2に参戦したオリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)。土曜日を終えた時点で35.4秒のリードを築いての首位で最終日を迎える予定だったが、この日の未明に審査委員会の裁定が下され、土曜日最後のSS15で、フィニッシュからストップコントロールの間に“エキシビション走行”と見なされるパフォーマンスを行ったことで、1分のペナルティが与えられた。

審査委員会の裁定書では、フィニッシュ後に“ドーナツターン”を披露したことが、2023年FIA WRCスポーツ規則34.1.3条と合わせて、イベントの特別規則書12.21条の違反にあたると判断された。裁定書では、ソルベルグが“ドーナツターン”を行ったのはSSの一部ではあるが、ラリーポルトガルの特別規則書12条21項では、適切な場所がないためどこにおいてもエキシビション走行を行うことを厳しく禁じていることを付け加えている。

このペナルティを受けたことで、ソルベルグは2番手に後退。日曜日に設定された4SSすべてでWRC2のトップタイムをたたき出し、パワーステージポイントも獲得したが、ガス・グリーンスミス(ファビアRSラリー2)にわずか1.2秒届かず勝利を逃した。

ソルベルグとコ・ドライバーのエリオット・エドモンソンは聴聞で、この件に関するレギュレーションを知らなかったとし、スペクテイターのためにいいショーを行ったつもりであると述べた。クルーは規定を知らなかったことを謝罪するとともに、自分たちの意見として、安全でない状況を作り出したわけではない、と付け加えた。

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2023年の規定から、イベント審査委員会には、ドーナツターンのような「エキシビション走行」を罰する際、罰金ではなくタイムペナルティを与えることが認められるようになっている。今回のポルトガルでは、イベントの特別規則書ではこの罰則に対するペナルティは5分と規定していた。審査委員会はこのソルベルグの一件に対し、総合タイムに60秒を加算するペナルティを与える判断を下したが、同カテゴリーのライバルたちからは、大会の特別規則に沿ってもっと重い処分を与えれば、自分の順位が上がったという批判もあったようだ。

一方、ソルベルグのペナルティにより今季2勝目を飾る形となったグリーンスミスは、ソルベルグのペナルティに対して「不評だし、厳しい」とコメントしている。
「管理された場所だったし、リエゾンでもなかった。あれをリエゾンでやったのなら、ペナルティも理解できる。こうしたルールができたのは、去年のスペインのことがあったからだと理解しているが、実施方法については疑問が挙がっている。イベントの特別規則ではペナルティは5分と記載してあったが、彼のペナルティは1分だった。どのようなペナルティを受けるかについては、曖昧な部分がある。一方、ルールを理解してそれに違反しないようにすることは、クルーの仕事でありチームの仕事でもある」

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今回の審査委員会では、3人の審査委員が「一件が起きた場所はSSの一部で、コンクリートのバリアによって明確に示されていた」ことから、ペナルティを5分間のままにすることを支持していたとみられている。

FIAラリー委員会のボス、アンドリュー・ウィートリーは「審査委員会は深夜の1時45分まで作業を続けて状況を分析し、2022年10月のラリースペインでポディウムの前で(セバスチャン・オジエが)行ったエキシビション走行の一件を受けて改訂された規定を適用した。この案件は周囲で観戦している人々に危険を及ぼすため、罰金は適切ではないとの意見で合意した」と裁定までの状況を明かす。
「今回のラリーポルトガルでは、審査委員会は、各イベントの前に発行される規定を読んでいないというクルーの発言を含め、入手可能なすべての情報を考慮して判断を下した。規定に記載された5分のペナルティに対して1分のタイムペナルティを適用することは、その決定で説明された状況に鑑みれば相応だ」
(Graham Lister)



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