WRCカナリア諸島事前情報:今季最初の本格ターマックラリーは選手権初開催 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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WRCカナリア諸島事前情報:今季最初の本格ターマックラリーは選手権初開催

©FIA

モンテカルロ、スウェーデン、ケニアを訪れてきた今季のWRCは次戦、選手権初開催のカナリア諸島グランカナリア島で第4戦を迎える。

カレンダー初登場となるラリーカナリア諸島は、島の首都ラス・パルマスを拠点とする今シーズン初めての純粋なターマックラリー。計18SS・301.30kmのステージのなかには、サービスパークが置かれるグランカナリア・スタジアムを走行するSSも含まれている。このステージは、通常はリーガ・エスパニョーラのUDラス・パルマスが試合を行う場所だ。

このイベントはこれまで、ヨーロッパラリー選手権(ERC)のラウンドとして長年開催されてきており、初開催は1977年。現在、ラリー1マシンで参戦するドライバーにも、何人かはこのラリーを経験している

道の性格は、曲がりくねった山道とスムーズな路面。ここを制するには、レーシングスタイルのドライビングテクニックが求められるが、それでも油断できないようなタイトなヘアピンやテクニカルセクションも多く登場する。

気温は20度を超えると予想されているが、島特有の気候から、天候が一変することもある。インカットできる場所は多くなく、後続でもラインが汚れることは少ないと見られ、走行順による影響は大きくはないと思われる。

■路面とタイヤ
ラリーカナリア諸島は、カレンダーのなかで最もサーキット的なドライビングが求められるラリー。グランカナリア島の道は、シーズンのターマックラウンドのなかで最もスムーズでグリップが高く、ドライバーにとってはひとつの試練になる。舗装のグリップに頼りたいところだが、フロントグリップが最優先されるワイドな高速セクションでは、タイヤをオーバーヒートさせる危険性があるからだ。ステージ沿いにガードレールやウォールがあるため、わずかなドライビングミスが大きな影響につながることも多い。

WRCのほとんどのターマックイベントとは違い、コーナーのインカットにより路面が汚れることが大きな要素にはなりにくい。しかし、グランカナリア島の微妙な気候が混乱を引き起こすことがある。沿岸近くのステージでは好天で温暖だが、山に入ると雨になることもあり、クルーにとってはタイヤ選択が悩みの種となりそうだ。

ハンコックがこのイベントに供給するタイヤは次のとおり。
第1:ハード Ventus Z215 WRC3
第2:ソフト Ventus Z215 WRC7
第3:ウエット Ventus Z210 WRC5

■エントリー情報
WRCに昇格するイベントのなかでも、ラリーカナリア諸島のような歴史を誇るラリーはほとんどない。これまで、ERCラウンドとして32回の開催を重ねてきたラリーは、今回初めて世界選手権として開催される。WRC初優勝を目指しているヒョンデのアドリアン・フルモーは、2020年、Mスポーツ・フォードからフォード・フィエスタ・ラリー2で参戦した際に、このラリーで優勝を飾っている。ラリー1勢のなかではフルモーのほか、ティエリー・ヌービル、グレゴワール・ミュンステール、ジョッシュ・マカリアン、サミ・パヤリがカナリア諸島での参戦経験を持っている。うち、2回以上参戦しているのは、ヌービルとミュンステールのみ。ヌービルは2011年にポディウムに上がっている。

WRC2部門には、TGR WRCチャレンジプログラムの小暮ひかると山本雄紀に加え、全日本ラリー選手権で活躍する福永修/齊田美早子がシュコダ・ファビアRSラリー2でエントリーしている。また、スペイン出身のドライバーは9人参戦。地元カナリア諸島出身のルイス・モンゾンは、34回目のラリーカナリア諸島参戦を迎える。しかし最多参戦数の記録は、カナリア諸島選手権を8回制しているホセ・マリア・ポンセが持つ46回だ。

スペインの強豪、エフレン・ラレーナは、自身8度目となるラリーカナリア諸島でWRC2部門にエントリーし、初めてのWRC参戦に臨む。なお、今回は18歳のジョバンニ・トレンティン(シュコダ・ファビアRSラリー2)と、55歳のシェビー・クラビオリニ(プジョー208ラリー4)もそれぞれ、WRCデビューを果たす。

■ラリーデータ
開催日:2025年4月24日〜27日
サービスパーク設置場所:グランカナリア島グランカナリア・スタジアム
総走行距離:1082.20km
総ステージ走行距離: 301.30km(SS比率27.84%)
総SS数:18
アイテナリー:
https://webassets.redbull.com/media/r8TgPyrsRmdqyJWdNYQiE8/WRC/WRC%20Events%202025/ITINERARY_RIC2025_v2.pdf

■鍵となるステージ
Valsequillo – Telde (26.32km)
バルセキージョは、近年のラリーカナリア諸島を代表するステージだが、WRCイベントとしては初開催であるため、最大の山場となりそうだ。序盤は標高の低い民家と民家の間の、車幅ぎりぎりの狭い路地を縫うように走行するが、近年よく使用されてきたサンマテオ方面には向かわず、道は左に曲がり、8km地点までタイトでツイスティな道が続く。その後は上りが始まり、道幅が広がっていく。ドライバーは山間部へと入っていき、ラリーカナリア諸島の代名詞でもある、サーキットレースのような道を走る。ブレーニャ大通りには、道に沿ってガードレールや岩肌があるため、わずかなミスでも大きな痛手となる。

TOYOTA

■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3

■マニュファクチャラーズ選手権ノミネートドライバー
[トヨタ・ガズーレーシングWRT]
エルフィン・エバンス(#33)
カッレ・ロバンペラ(#69)
セバスチャン・オジエ(#17)

[ヒョンデ・シェル・モビスWRT]
ティエリー・ヌービル(#1)
オィット・タナック(#8)
アドリアン・フルモー(#16)

[Mスポーツ・フォードWRT]
グレゴワール・ミュンステール(#13)
ジョッシュ・マカリアン(#55)

[トヨタ・ガズーレーシングWRT2]
サミ・パヤリ(#5)

■2024年ERCラリーカナリア諸島最終結果
1 Y.ボナート(シトロエンC3ラリー2) 1:57:18.8
2 M.フランチェスキ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +2.8
3 A.カチョン(トヨタGRヤリス・ラリー2) +29.7



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