選手権構成を一新したFIAヨーロッパ・ラリートロフィー(ERT)は、全20戦の2023年開幕戦を今週末、チェコで迎える。
FIAのシリーズ格式ではERCのひとつ格下に位置づけられるERTは、ドライバーやチームにとってより分かりやすくより魅力的なシリーズとするため、これまで6地域にわけて開催しファイナル一戦でタイトルを決定していたシステムから、ひとつのシリーズに集約する形式を採用する。ドライバーたちは、それぞれの予算に応じて参戦数を自由に決められるが、選手権ポイントとしてカウントされるのはベスト6戦分となる。この結果、一戦でタイトルを決める「ERTトロフィーファイナル」は廃止となった。
各国のASNは、ふたつまでイベントをノミネートすることができ今季は20戦が予定されているが、来季以降はASNの意向によって戦数が増減することもあるという。
この新しいフォーマットは、2004年に合理化されるまでは年間20数戦が開催されていた旧ERCを彷彿とさせる。マシンの性能によるクラスタイトルは設けず、ラリー2、ラリー3、ラリー4、ラリー5、RGTの出走数に応じた係数が適用される。これにより、理論的には、車種に関係なく、どんなドライバーでもタイトルを獲得できる可能性が出てくることになる。
「ERTに対するコンペティターからの関心度は全地域で一貫しておらず、一部の地域ではFIA格式のイベントを開催することが困難で、ERTファイナルは期待したほどの人数を集めることができなかった」とFIAの地域ラリー担当チーフ、ジェローム・ロッセルは語る。
「一国につき最大2戦でひとつのカレンダーを構成し、係数方式を導入することでマシンにかかわらずどのドライバーでもタイトルを獲得できる可能性を生む係数が設定されるなど、こうした変更によって強いERTが実現することに大きな期待を寄せている」
今季のERTは、3月31日〜4月2日にチェコ南部で開催されるターマックベースのバラッスカラリーで開幕。最終戦となる11月9〜11日のラウジッツラリー(ドイツ、グラベルメイン)まで、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、フランス、ポーランド、ポルトガル、セルビア、スロベニア、スイスで開催される。
ファイナル一戦でタイトルを決定する方式は現在、APRCでも採用されているが、同シリーズは複数戦での選手権ポイントによるタイトル争い復活を視野に入れていることを示唆している。
(Graham Lister)