WRCアクロポリス:ジュリアン・モンセ「ヒョンデの歴史に新しい1ページ」イベント後記者会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCアクロポリス:ジュリアン・モンセ「ヒョンデの歴史に新しい1ページ」イベント後記者会見

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WRCアクロポリス・ラリーギリシャのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。今季から導入されたハイブリッドの新規定ラリー1マシンの開発が遅れたことで、シーズン前半は厳しい展開に苦しんできたヒョンデ。代表空席のままチームを率いてきた副代表のジュリアン・モンセは、カレンダー屈指のラフグラベルでヒョンデ初のWRCポディウム独占を果たした快挙の喜びを語った。

●WRCイベント後記者会見 出席者

Hyundai Motorsport GmbH

1位:ティエリー・ヌービル=TN(ヒョンデ・シェル・モビスWRT、ヒョンデi20 Nラリー1)
2位:オィット・タナック=OT(ヒョンデ・シェル・モビスWRT、ヒョンデi20 Nラリー1)
3位:ダニ・ソルド=DS(ヒョンデ・シェル・モビスWRT、ヒョンデi20 Nラリー1)
ジュリアン・モンセ=JM:(ヒョンデ・シェル・モビスWRT、チーム副代表)

Q:ティエリー、アクロポリスでの優勝おめでとう。今季初優勝まで時間がかかったが、ようやく達成した今の気分は
TN:その通り、ようやくここで決められた。昨年のスペイン以来、ポディウムの頂点に上がっていなかったし、ポディウムもそれほどなかったから、何年もかかったような気分だ。だから、正直、また勝ててとてもいい気分。自分にとって16回目のWRC優勝で常連とまでは言えないが、どんな気分かは分かっている。でも、今回は特別な感情を感じていた。チームが1-2-3を達成したのは、この何年間がんばってきた中で特別なもの。浮き沈みや辛い時期もあれば素晴らしい時期もあったが、1-2-3は実現したことがなかった。今回、ここでできたことは最高の気分だし、チームのみんな、特に自分はこのチームが立ち上がった時からいるので、本当に誇らしく思うし、またひとつミッションを達成した気分だ。

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Q:今回は数時間の間に順位が入れ替わる場面もあったが、どれくらいタフなチャレンジだったか。今年のアクロポリスでのチャレンジはどのようなものだったか
TN:確かにチャレンジングなイベントだった。ステージの性格もそうだが、アイテナリーも、金曜日は気温が高い中で1日が長くさらにチャレンジングだったから、すごく疲れたし、1日のなかでもコンディションが変わっていって、どのコンディションにも対応しなくてはならなかったが、最初のステージの後にも言ったように、マシンは最初からフィーリングが良かったし、走りやすくもあったので、かなりやりやすくなった。

Q:チームの1-2-3がどれほど特別なものかに触れているが、舞台裏ではたくさんの作業が行われてきたし、メディアの間では、特に今年は色々な話が流れていた。今回のリザルトで、そうした憶測を黙らせることになったのでは
TN:そのような批判は、すでに数戦前に沈静化させることができたと思う。これで4戦連続で、3台が大きなトラブルなく揃って走り切った。オィットは2連勝もできたので、速さがあることは示したし、信頼性もある。オィットは、トヨタのお膝元であるフィンランドでトヨタ勢を抑え切ることができたし、自分たちはふたりともイープルや今回もラリーの首位に立っているので、自分たちは最も強いと思う。このことは、自分たちに勢いがあることを示していると思うが、一方で慎重にもならなくてはいけない。いいイベントが続いたから今がある、というわけではない。どのドライバーも、まだ改良するべき点があることには同感だと思うし、この勢いを続けて前進するためにも猛プッシュを続ける必要がある。まだトリッキーなイベントが控えているからね。でも、ベストの展開になることを信じたいし、この先、さらにいいリザルトがやってくることを期待したい。

Q:オィット、今回は2位だった。ステージのフィニッシュではバケツいっぱいの汗をかいているようなドライバーもいて、疲労困憊、タフでチャレンジングだった。今年は、昨年よりも大変だったように思えたが
OT:昨年は、違う意味で大変だった。レッキの段階で視界がなかったし、秋のような天候だった。今年は真夏で、気温がものすごく高く、特に土曜日のステージは速度域が低かったから、マシンの中に風がまったく入ってこなくて、1日の終わりには丸焼け状態だったよ。

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Q:土曜日の午後を走り切っただけでも、みんなよくやったと思う! 週末を通してトラブルを抱えていたが、それがなければリザルトがどうなっていたか分からない。土曜日の午後は、ヒョンデ勢の3台にバッテリーのトラブルが発生したが、これでゲームオーバーになるのではという懸念はあったか
OT:最初はいくつかトラブルがあったので、ティエリーとあまり接戦にはできなかったが、土曜日の午後は単なる暑さの関係によるもので、セーフモードに入っただけだから、懸念することはなかった。結局、何が理由なのかすぐに分かったし、まさしく自分たちがマシンの中で丸焼けになったのと同じ理由だったから、どのマシンも変わりない。

Q:順調な時は素晴らしいタイムも出していた。土曜日の午前や最終日の午前は、とにかくぶっ飛んでいた。ヌービルと差をつけるまでには至らなかったが、今日は走行距離が短すぎたか
OT:そんなことはない。ティエリーは今回、すごく強かったし、自分たちは序盤にロスが多すぎただけで、追いつくには離れすぎていただけだ。

Q:最終日の朝は、チームオーダーが出る可能性についての話題で持ち切りだった
OT:自分たちが変えられることは何もなかった。自分たちの仕事をするだけだった。カッレの件が僕らにとって大きなプレゼントになったのは明らかだったので、自分たちはここで最大限のポイントを獲らなくてはならなかっただけ。今回獲ったポイントが、自分たちの精一杯だった。

Q:パワーステージでは素晴らしい走りを見せた。タイトル争いはニュージーランドに持ち越しとなるが、カッレは優勝はもう必要ない。でも、ここ2戦のことを考えれば、何が起きてもおかしくはないと思うが
OT:決着がつくまで終わりではないということ。自分的には、さらにポイントを重ねるためにプッシュを続けていくし、そうすれば少なくとも最終戦まで持ち越せることもできるかもしれない。自分としては、それが目標。それが可能かどうかは誰にも分からないが、決着がつくまで終わらないので、選手権争いを続けられるようにすることが目標だ。

Q:ダニ、今年は出るイベントすべてでポディウムに上がっているが、今回もやったね! 最高のセカンドドライバー、代行ドライバー、なんと呼べばいいか分からないが、とにかくポイントを持ち帰ってくる。この週末を終えた気分は
DS:正直、ハッピーだ。チームが1-2-3フィニッシュというのは、いいね。もちろん、上位のドライバーのリタイアもあって順位が上がったのもあるが、自分たちも一切ミスをしなかった。常に3台が揃って走り続けたから、結果につながった。

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Q:金曜日はペースをつかむまでしばらくかかったが、その日の最終ステージで調子が上がり始めた。あのステージの前に、コンペティティブなタイムに届かないことを何か特定していたが、あれは何だったのか
DS:リズムに乗るまで時間がかかったのは確か。序盤は苦労した。自分の走行順は通常、初日はもっとコンペティティブなはずなのに、あまりいいペースが出せなかった。2日目も同じ走行順だったが、そう悪くはなく、少し良くなった。でも、初日にかなりタイムをロスしてしまった。

Q:最終ステージは、とにかく走り切ればよく、何のプレッシャーもなかったが、あのステージでトラブルに見舞われたドライバーも何人かいて、難しいようだった。あのSSを迎える時の気分は
DS:エバンスがトラブルに見舞われたのを見て、順位を維持したりミスをしないようにする点では楽になったから、あのパワーステージは本当にダメだった。石もあって、ダメージを負いたくなかったし、争うものがなかったから、とにかくフィニッシュするだけだった。

Q:ジュリアン、ヒョンデにとって歴史的な日となった。WRCでは1-2-3をこれまで達成したことがなかったが、カレンダーで最もタフなイベントで実現した。この週末を終えた気分は
JM:まず、みんなに感謝したい。チームのみんなにとっても、最高の気分だ。2014年にWRCに戻ってきてから、このようなリザルトを収めたことはなかったから、本当によかった。ティエリーも言ったように、ポジティブな流れになっているが、舞い上がりすぎないように慎重にならなくてはいけないし、マシンにも改良しなくてはならない側面がまだたくさんあるが、今はとにかく素晴らしいリザルトを収めたという気分。

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Q:マニュファクチャラーズ選手権の点でも、大きな後押しになったのでは
JM:マニュファクチャラーズ選手権ではその通りだが、1-2-3というリザルトがとても重要だ。今年、我々が初めて勝利をマークしたのはフィンランドだが、3連勝の始めでもあった。シーズンの初めを振り返れば、少なくとも、すごく苦戦していたと言える。開発やパーツなどすべてが遅れたので、モンテカルロで苦戦するとは覚悟していたが、一歩一歩、マシンを改良していった。勝てる日が来ると確信していた。チームのみんなはいるのだし、インフラも変わらないので、また勝てない理由はなかった。ただ、時間が足りなかっただけ。だから、疑問には思っていなかったが、いつになるかというだけの話だった。そして、本当に素晴らしい。我々の歴史に、新たなページが加わった。

Q:次はニュージーランドだが、10年カレンダーに含まれていなかったイベントだ。ドライバーたちは、あの道を走れることを楽しみにしていると思うが、チームとしてもターゲットは再び優勝を重ねることなのでは
JM:4連勝を狙わない理由はない。もちろん、一戦一戦に集中しているし、楽観的にもなってはいけない。シーズンにはいいイベントがたくさんあるが、ケニアは本当に過酷だったし、あそこで学んだこと、苦しんだことが、今回のギリシャで報われたのかもしれない。このようなタフなラリーで改善が必要だということが示されたのだからね。だから、今回は信頼性が非常に重要な鍵だった。ニュージーランドはまた違ったラリーなので、とても慎重にならなくてはいけない。もちろん、最善のリザルトを狙うが、どこまでできるかは見てみないと分からないね。



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