WRCベルギー:ヌービル「マルティンとずっとやってきたような感じ」イベント後記者会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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WRCベルギー:ヌービル「マルティンとずっとやってきたような感じ」イベント後記者会見

©Hyundai Motorsport GmbH

WRCベルギーのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。母国イベントで会心の勝利を決めたティエリー・ヌービル。今季の開幕戦直前にコンビが決まったマルティン・ウィダグとの待望の初勝利をマークすることにもなり、新鮮な雰囲気を与えてくれる相棒の働きを称賛した。

●WRCイベント後記者会見 出席者

Hyundai Motorsport GmbH

ティエリー・ヌービル=TN(ヒュンダイ・モータースポーツ)
クレイグ・ブリーン=CB(ヒュンダイ・モータースポーツ)
カッレ・ロバンペラ=KR(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
アンドレア・アダモ=AA(ヒュンダイ・モータースポーツチーム代表)

Q:ティエリー、優勝候補筆頭として迎えた母国ラリーで、ベルギー初のWRCで勝利した気分は
TN:いい気分だよ! 自分たちの勝利や活躍を、みんなが期待してくれた。プランは勝つことだった。常にラリーをコントロールできたので、最初からかなり余裕を感じることができた。あれ以上、速い必要はないと分かっていた。必要ならそれもできたが、今週末のことは本当に心配していた。ほかのみんなは、そのことに苦戦した。今日でさえ何かトラブルに遭って勝つことができないのではと恐れていた。チームにとって本当に重要な勝利だった。ダブルポディウムを獲得して、週末を通して強い戦いをすることが両選手権のためにも重要だったんだ。

Hyundai Motorsport GmbH

Q:過去、何度も参戦したラリー。WRCとして開催された今回のイベントと使用されたステージについて、どう思うか
TN:まず、主催者に感謝を伝えたい。これまでWRCを開催した経験はなかったが、開催を果たして素晴らしい仕事をしてくれた。運営もステージも良く、ここのステージをワールドラリーカーで走ることが本当に楽しかった。どこも速度域が高くてスリッパリーな場所が多く、6速に入っている時はナローな道では少しドリフトもするので、このマシンがどれだけ速いか、その速度感を感じられる。この週末、本当に楽しかった。今日のスパも、WRカーで世界屈指のサーキットを走ったことが楽しかった。サーキット区間はグリップが本当に高くて楽しめた。マシンはとてもソフトで車高が高いから、それに合わせたドライビングをしなければならない。少しやりすぎるとスキール音が鳴って高速でスライドしてしまう。でも、とても楽しかった。

Q:コ・ドライバーのマルティン・ウィダグと組んでの初勝利でもある。少し時間がかかったし、彼にとってWRCへの参戦は大きなステップだ。今のコンビネーションについてはどうか
TN:今シーズンの開幕直前にコ・ドライバーが変わったので、今季は厳しくなるだろうと、みんなが予想していた。マルティンはモチベーションが非常に高く、素晴らしい仕事をしてくれている。一緒に乗り始めた時から、最初からずっと一緒にやってきたような感じだった。マシンの中で一緒にいて、やりやすい。時々、自分のラリーの準備をプッシュしてくれたりもするのもいいね。自分は長いことWRCに参戦しているので慣れを感じてしまう時もあるから、新しいことや違う考え方を学ぶのはいいことだ。自分もそれが楽しいし、初心を思い出させてくれる。コンビネーションはうまくいっているんじゃないかな。

Q:クレイグ、自身5度目のWRCポディウムだが、2戦連続は初めてでいずれも2位だ。イープルでの週末はどれほど楽しめたか
CB:同じシーズンで2度ポディウムに上がるのはうれしい。いつもは、かなり分散しているからね。本当に楽しんだよ。今回のラリーは、以前にR5マシンで走った経験のあるイベントだった。いつかWRカーで走ってみたいと夢見ていた。今シーズン、そのチャンスが得られて、ここを走ったのは期待以上だった。ティエリーも言ったようにナローな道だが、常にグリップが変化する中を時速190〜200kmで走ると、とても速度を感じられる。反対にスパのような広いコースを走ると、止まっているように感じるよ! 本当に楽しかった。

Hyundai Motorsport GmbH

Q:土曜日の午前はベストタイムも並べてとてもペースがよかった。その後、少し抑えていた。何か指示があったのか
CB:(笑)

Q:最終日の午前(SS17)は少し危ない場面もあった。何が起きたのか。その後の走りに何か影響したか
CB:ポールがあの左コーナーでブレーキをコールするのが10m遅れたんだ。言うとおりにしようとしてあの結果に……それは冗談。あのコーナーのことはレッキで分かっていたし、トリッキーだと思った。あのステージをスタートする前にWRC Liveで見てかなり難しそうだったから、警戒もしていた。だからブレーキが少し早すぎて、2回踏むハメになった。クレストの頂点でブレーキを少し離しすぎてしまい、もう少しブレーキをかけようとした時にロックして、速度が落ちるどころか上がってしまった。正直、雨の多いベルギーの夏に感謝しなくてはならない。そのおかげでバンクがかなりソフトになっていたんだ。そうでなければあそこで止まっていただろう。2回目の走行では、同じ場所で転倒しているマシンを見た。たぶん、自分よりもブレーキを踏むのが遅かったんだろう。自分はコーナーで速度が乗りすぎて排水溝を飛び越えてしまったので、コースオフを免れた。アイルランドではよく「the rub of the green(幸運の意味)」とよく言うんだけど、今日はまさに“the rub of the green”だった。

Q:来年はフル参戦を狙っていると公言している。ここ数戦でポディウムに上がり、気持ちの余裕ができたのでは。2022年のプランについて話せることはあるか
CB:それとは関係なくてもポディウムは自分のためになる。どんな局面においてもね。もちろん、自分たちの目的を果たすことにも役立つし、状況を良くすることにもなる。契約に関すること以外では、自分とポールにとって今後に向けての自信になった。今まで以上に自信を感じているのは確か。あとは結果を待つよ。

Q:カッレ、ターマックでの初ポディウムだ。過去に参戦経験のないドライバーのうち最上位という結果は、喜んでいいと思う。最終日の最初のステージで3番手に浮上したが
KR:週末を通して、彼らとはかなりの接戦になった。1位、2位の争いではなかったとしても、ちゃんとした戦いができて楽しかった。このラリーを迎える前から、上位のふたりは経験があるから彼らとはあまり張り合えないことは分かっていた。彼らはここに合ったペースを出していた。それでも、今日はチームメイトといい戦いができたし、彼らよりも上位でフィニッシュできたので、かなりいい週末だった。

Toyota Gazoo Racing WRT

Q:初めてここに来たドライバーにとっては、学ぶことの大きいラリーになると言及していた。今回のステージで何を学んだか、今はより理解が深まったと感じているか
KR:どうするべきか、マシンに何が必要か、テストよりもよっぽど多くのものを得ることができた。ラリーが進むに連れて、手応えも自信も感じられるようになったし、マシンの中にいるのもより楽しめたよ。

Q:アンドレア、今季は厳しい内容が続いていたが、ここで1-2フィニッシュ。このリザルトはチームにとってどれだけの意味を持つか
AA:すべてにおいて重要だと思う。チームにとってだけでなく、拠点で待つ仲間のためにも重要だ。ここ何戦かは我々にとって複雑な内容になっていた。このような事態になった時、最悪なのはスタッフが恐れることだ。自分はとにかくチームのシェルターとして、みんなを守ろうとしていた。できることなら自分が肩代わりして、みんなには今までどおりに頑張ってもらいたいと思っていた。人生の中でも楽な日々ではなかったよ。

Q:ベルギーは初めてWRCカレンダーにデビューを果たした。このイベントの雰囲気はどうだったか。将来、またカレンダーに復帰してもらいたいと思うか
AA:そうは見えないかもしれないが、この中では自分が最年長だ。このイープルには1990年に来たことがあり、その後も何度も来ているが大好きなラリーだ。イープルラリーがWRCになることが決まった時は、アラン・ペナスよりも自分の方が喜んだと思う。ここで過ごした経験から、いま自分たちがいる状況につながった。自分が木曜日に言ったように、ERCとWRCが同じプロモーターになることは、ラリー界にとっていいチャンスになり得ると思う。ERCでステージを経験したドライバーたちがWRCに参戦するようになり、その時にERC時代の経験を活かせるという、いい流れを作ることができる。そうしたことがなければ、難しい。今は、何の経験もなしにいきなりWRCに来てWRC3に参戦する若手もいるだろう。こうした背景ができれば、現実的な物語と本当の戦略ができると心から思う。この週末を迎える前からすでに自分は、なぜイープルがERCカレンダーに入っていないのかと質問していた。自分が関係することではないが、誰かが問わなければならない。我々はベストを目指さなくてはならない。我々はみんな、会社を経営しているのであり、このアイデアは検討されるべきことだと確信している。

記者席からの質問
ホセ・ルイス・アブルー(オートスポーツ・ポルトガル)
Q:このラリーが雨が降ってマディになったらどうなっていたか

TN:以前、このラリーがWRCカレンダーに入るべきかと聞いてきたジャーナリストに答えたことがある。その時は「もちろんだ。でも、天気がいい場合に限るよ!」と答えた。もしコンディションがウエットなら、すごくタフになる。見通しが立たないことがたくさん出てくるし、サプライズが多すぎてしまうだろう。不可能ではないが、とても性能のいいアンチカットシステムが必要だ。そうでなければ、本当にマディになるし、ターマックタイヤでグラベルラリーを走るような感じに近くなる。大好きなイベントだし夏は本当に楽しいけど、冬にやるイベントではないね。



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