シュコダのフル電動ラリーカー『RE-X1クライゼル』が実戦デビュー – RALLYPLUS.NET ラリープラス

シュコダのフル電動ラリーカー『RE-X1クライゼル』が実戦デビュー

©SKODA

シュコダは、フル電動ラリーカーのRE-X1クライゼルを、7月15〜17日に開催されたオーストリアラリー選手権戦ラリーワイツ(ターマック)で実戦デビューさせた。マシンはトラブルなく走り切り、内燃エンジンのマシンを相手に総合3位でフィニッシュした。

SKODA

このシュコダRE-X1クライゼルは、シュコダ・モータースポーツとバッテリー技術のスペシャリスト、クライゼル・エレクトリックとの共同により実験的に製作されたプロトタイプ。ラリー2カテゴリーで数々の成功を収めてきたファビア・ラリー2 Evoがベースとなっている。

クルーを務めたのはライムンド・バウムシュラッガー/ユルゲン・ハイグル。
バウムシュラッガーは、「2月に初めてこのマシンをドライブしたが、素晴らしかった。通常のファビア・ラリー2 Evoより100kg重いので、ドライングスタイルを少し変えなくてはならなかった。クラッチもギヤボックスもないので、コーナリング時の速度判断はまったく違う方法になった。それでもRE-X1のハンドリングは、ガソリンエンジンのラリー2にどんどんと近づいている」と、そのフィーリングを語っていた。

イベントの2日目はほとんどのステージがウエットとなり、オーストリアで何度もタイトルを獲得しているバウムシュラッガーの手腕が冴えた。この日の最初のステージで3番手に浮上し、日中サービスではバウムシュラッガーの笑顔が、マシンのフィーリングの良さを物語っていた。
「ウエットでは、かなりいい感じのようだ。タイヤチョイスが当たったし、徐々にペースを上げていけた。すべて順調だ」

SKODA

クルーがミスのないパフォーマンスを披露したことに加え、マシンのバッテリーが十分なパワーを発揮することも競技を走り切る鍵となった。充電は、主催者と合意のうえで、特別に設計された移動式充電ステーション、CHIMEROをステージ間のあらかじめ決められた場所に設置。クライゼル・エレクトリックのチームは、機動性と操作性に優れ、最大200kWの高い充電能力を持つようCHIMEROを設計した。

このCHIMEROは、15分でRE-X1クライゼルを80%まで充電することができるため、アイテナリーに影響はなく、次のタイムコントロールに遅れるリスクもなかったという。100%充電したRE-X1クライゼルは、競技ペースで35kmまでは走行できるという。今回のラリーワイツでは、ラリー2マシンと同様、純粋に電動だけのプロトタイプがラリー1戦分を走り切ることができると証明された。このラリーに設定されたルートは14SS・160.44km、リエゾンを含めた総走行距離は514.33kmだったが、トラブルは一切発生しなかったという。

SKODA

SKODA

バウムシュラッガーは、その後もペースを維持し、ラリー2マシン勢に混ざっての総合3位でフィニッシュを果たした。
「3位は、自分たちにとって素晴らしいリザルト。特に、今回は電動ラリーマシンがラリーを1戦走り切ったワールドプレミアだったからね」とバウムシュラッガー。
「これを実現させてくれたすべてのパートナーたちに感謝したい。今後、さらに開発を進めるためにたくさんのデータを得ることができた。次のラリーが待ち切れない」

ラリーワイツ 最終結果
1 S.ワグナー(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)1:36:16.1
2 E.カイス(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +32.7
3 R.バウムシュラッガー(シュコダRE-X1クライゼル) +2:37.5
4 J.ケフェルボック(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +2:49.9
5 G.ノボロック (シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +2:52.8
6 B.スタトリウス(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +5:58.8
7 M.カルテイス(三菱ランサーエボリューションVII) +6:07.3
8 M.レンガウアー(スバルWRX STI) +6:38.5



RALLY CARS