WRCフィンランド:ラトバラ「まだリタイアの時期ではない」プレ会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
現地速報がすぐわかる! バックナンバーが読み放題。ラリプラLINE限定コンテンツ配信中

WRCフィンランド:ラトバラ「まだリタイアの時期ではない」プレ会見

©Toyota Gazoo Racing WRC

WRCフィンランドのシェイクダウン後に行われたプレイベントカンファレンスの内容(抜粋)。シーズンも後半に入り、各ドライバーの去就も気になり始める季節。WRC参戦200戦勝目を超え、今年いっぱいでトヨタとの契約が切れるラトバラは今後の継続についての質問に、あと数年間は走り続けたいという気持ちを明かした。

●WRCプレイベントカンファレンス出席者
セバスチャン・オジエ=SO(シトロエン・トタルWRT)
テーム・スニネン=TS(Mスポーツ・フォードWRT)
ヤリ‐マティ・ラトバラ=JML(トヨタ・ガズー・レーシングWRT)
クレイグ・ブリーン=CB(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)

Q:セバスチャン・オジエ、WRCの後半戦が始まるが、タイトル争いは厳しいバトルになりそうだ。今回のフィンランドは、誰もがリスペクトするラリーで、特にほかよりも高速であることも理由にあるかもしれない。長年戦うなかで、試練は軽減されているか。
SO:まったくされていないね! いつだって同じだと思う。もっとハードにさえなっているかもしれない。もっと若い時は、リスクをもっと軽く計算する時もあったからね。将来のため、すべてのためにとにかく攻めるだけ、あまりいろいろ考えない。でも、このラリーは常にハードだ。シェイクダウンの1回目、特に今回のような超高速だと、ちょっとためらってしまった。すぐに攻め出すのは難しい。高速セクションでは、決意が必要だ。フィンランドでは、いいリズムがつかめればWRカーで走るのにこれ以上の場所はないよ。

Q:選手権争いでは、オィット・タナックにわずか4ポイント差、ティエリー・ヌービルを加えた3人の間は7ポイントしかなく、非常にエキサイティングだ。昨年の同じ時期とはまったく違う。シーズンの後半戦、安定してポイントを重ねるだけでは追い付かない、すべて勝たなくては、と思っているのでは。
SO:安定感は今でも大きな鍵になると信じている。ラリーでも、どの選手権でもね。でも、同時に、選手権を勝つためには勝利が必要な時もあるとも思っている。一方で、まだ一か八かで攻める時期でもない。まだ6戦残っているので、勝つのが難しい、特に今回のフィンランドのような時は相応の順位も覚悟している。昨年はトヨタ勢がとても強かった。彼らは、他のどのチームよりもここでテストを行っているので、マシンもここの道に完璧にマッチしている。今回のチャレンジは厳しいと分かっているが、絶対に勝てないと考えながらラリーをスタートするような人間ではないので、今回も全力を尽くすよ。

Q:ここでトヨタが強いと考えるドライバーは多い。シトロエンのシートに座るのはどのような気分か。マシンのジオメトリーにジョーカーを投入したようだが、大きな変化につながったか。
SO:今回は、パフォーマンスを向上させるというより、問題を修正するためのもの。でも、この変更には満足している。とても助かる。今回には必要ないが、シーズンの今後に向けてセッティングの選択肢が広がるし、自分たちもそれを求めていた。もちろん、パフォーマンスをさらに改良するために、これ以上のアップデートを楽しみにしている。いずれにしても、自分はそこには心配していない。今の自分のマシンで出来る限りのことをする。悪いマシンではないと思うからね。このマシンが速くなれることを示してきている。特に高速の区間ではね。今回も、チャンスはあると信じているよ。

Q:シトロエンは、シーズンの今後もさらにジョーカーを投入してくると見ているが、そのことについて話せることはあるか。
SO:残念ながら、用意しているジョーカーはあるが、そのパーツは来年使われるものと自分は理解している。ドライバーがそのことを聞かれたら、待っているものが来るのがいつも遅すぎると言うに決まっているが、これはどうしようもないこと。次のドイツでは、エンジンにアップデートを行う予定だ。

Q:テーム、自分にとって母国戦だ。ここまで素晴らしいシーズンを過ごしているし、見事なペースも披露している。テーム・スニネンはポディウムを狙う準備ができていると考えたいが、そう思うか。
TS:そうだね、ポディウムを狙える状態にはなっているが、セブも言ったように、ここではトヨタが本当に速く、他のチームはそれに近づこうと努力している。シェイクダウンでも見たとおり、ドライバー間は、とてもタイトだ。

M-Sport


Q:本当にタイトだし、格段にチャレンジングなイベントだが、過去にはいい走りも披露している。2017年は、ポディウム目前にまで迫った。今回はどれくらいプッシュしていくか。あるいは、今回ポイント対象のチームメイトにグリーンスミスを迎えていることで、その考えはないのか。
TS:誰もがスタートから限界まで責めなくてはと考えていると思うが、それはリザルトだけを考える場合の話。シェイクダウンの1回目の走行にように、自分は少しためらいがあった。最後に参戦したラリーは、エストニアでR5マシンだったので、ダウンフォースを活かすことができず、だからタイムも伸びなかった。幸い、次の走行では限界に近い走りができて、すぐにペースに反映された。まさに、常に限界で攻めななくてはならない、ということを表しているよ。

Q:来年のことも話題になり始める時期だ。今年いっぱいで契約が切れるドライバーが多いが、来年はどうなるのか。
TS:今は、全開で攻めてマネージャーの仕事をしやすくすることがプラン。今できることは、それだけだ。来年のことは何も知らない。

Q:いつになったら分かる?
TS:モンテかな。チームが自分を選ぶ前に、たくさんドライバーが並んでいるからね。

Q:ヤリ‐マティ・ラトバラ、どこかにコメントをしていたのを読んだのだが、トヨタ・ヤリスでフィンランドを走って、いいフィーリングを得られたことがないと話していた。事実か。
JML:このマシンは、フィンランドで設計されて、フィンランドで開発された。だから、このような道では自分たちのマシンはとてもマッチする。通常、速度域が上がれば走りもよくなるし、エアロダイナミクスがとても働いているので、かなり高いダウンフォースが得られる。だから、ラリーフィンランドでは、それを大いに使うことができる。

Q:フィンランドでは過去、いろいろなマシンで3勝を飾っている。秘訣は何か。
JML:他のイベントでは、序盤は抑えながら速さを模索することもできるが、フィンランドでは、自分にもマシンにも100%の自信が必要。少しでもためらえば、ロスは大きい。フィンランドで勝つためには、完全にアタックモードに入って、すべてのコーナーを躊躇なく速く攻めていかなくてはならない。

Q:自分はそのモードに入っているか。
JML:今日の数本はよかったし、満足だった。他のことも試してみたが、あまりよくなかったので戻した。だから、今はいい状態になっていることを願うよ。

Q:テームにも聞いたが、セブは来年の契約が残っているが、君は今年いっぱいで契約が切れる。タフなシーズンになっているが、来年のシートを確保するためにいいパフォーマンスをしなくてはならないプレッシャーを感じているか。
JML:どんなスポーツでも、いいリザルトを収めることが必要だ。そして、そのリザルトが自分を前進させてくれる。もちろん、そのことでチームやマネージャーが興味を持ってくれるのは間違いない。もちろん、速さは重要だ。でも、マシンを無傷に持ち帰って相応のリザルトを収めることも必要。今シーズンはタフになっているし、もちろん予想していたことではない。ここから数戦は非常に重要になることも分かっている。そして、もちろんプレッシャーも感じているが、このスポーツではいつもそうしたもの。そして、そのプレッシャーに対応しなくてはならない。どのスポーツでも同じだ。

Q:答えは承知のうえで聞くが、来年もドライビングを続けたいと思っているか。まだ退きたくはない? それには、まだ若すぎる。
JML:まだ続けたいが、200戦以上WRCを戦っても、今年はまだ学んでいることがある。将来も成長できると分かるし、まだリタイアの時期ではないと感じているが、300戦まで戦うとは思っていない。途方もないような数字だからね。あと数年、続けられたらうれしいね。

Q:クレイグ、ヒュンダイから参戦する君に会えてうれしい。このマシンでWRCに戻るチャンスは、どのような気分か。
CB:WRCに戻ることができて、最高だよ。この機会は、正直プレゼントのようなもの。すべてが絶妙ののタイミングで話がまとまった。昨年の終わりから、この数カ月は辛かった。今は、いい場所にいられる気分だし、このタイミングは本当にパーフェクト。とても楽しみにしている。ここまで、新鮮な空気を吸っているような感じだった。テスト、エストニアのラリー、今朝のシェイクダウン、チームのみんなとの出会い、本当に素敵だった。

Hyundai Motorsport GmbH


Q:WRCで走れなくても世界が終わるわけではないということを知った。そのことで、リラックスできるようになったか。プレッシャーは少し軽くなったのでは。
CB:色々なことが起こるのが、少しゆっくりだったかもしれないが、いま自分は完全に違う環境にいる。何年もの間、自分がWRCに身を置く環境は変化し続けた。いろいろなカテゴリーを経て成長する中で、自分は崖っぷちにいるような感じがしていたし、もしその崖から落ちたらその生き方は終わると。でも、それでも、日はまた昇る。自分がそこにいなくても、世界が止まるわけではない。自分がWRCにいなかったこの数カ月で、これまで手にしたことがないようなチャンスをつかんだ。この数カ月は、これまでやる時間がなかったことをやってきた。地元のラリーに出たことは、本当に感慨深かった。友人や家族、今までいっしょにいられなかった人たちと時間を過ごし、気持ちを切り替えた。勘違いしてほしくないのは、自分は以前と同じ状態。でも、自分を待っている世界は、これまでとはまったく違うものだった。

Q:もちろん、もっと参戦機会がほしいと思っているだろう。今年、そのチャンスはあるのか。
CB:現状は、今回の参戦は一回限り。もし今回、いい走りをしようとしたり、契約をつかむことに必死になったりしようとすれば、リザルトにはつながらない。今回のイベントは、今回のイベントとして参戦しなくてはならない。今回のラリーを終えて、みんなと握手をして二度と会わないとは言わない。なんとかしてまたWRCに戻りたいと思っているし、チャンスがあればつかみたい。ただ、この週末は、3日間を走り切り、ポール(ネイグル)とWRCを走りリズムを取り戻したい。すべてのことは、それが終わってからだ。

RALLY PLUS