マーティン・ホームズのWRCプレビュー・メキシコ編:トヨタ、オーバーヒート対策に冷却システムを改良 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

マーティン・ホームズのWRCプレビュー・メキシコ編:トヨタ、オーバーヒート対策に冷却システムを改良

©Toyota Gazoo Racing WRC

3月7日(木)から10日(日)にかけて、メキシコのレオンを拠点に開催される2019年WRC第3戦ラリーメキシコ。大御所WRCメディア、マーティン・ホームズによるラリー直前のWRCチーム近況をお届けしよう。

Rally Mexico

シトロエン

セバスチャン・オジエのミスによる失速以外は、スウェーデンでは予想外のトラブルは発生しなかった。スウェーデン後は、メキシコ向けにスペインで4日間のテストを実施。各ドライバーが2日間ずつ走行した。ロケーションは、メキシコの標高と天候にできるだけ近いところを選んだ。

チームは、標高によるパワー低下を、1000mにつき10%と試算している。同時に、タイヤの摩耗が下がるため、ミシュランのミディアム(以前はソフトとよばれていたもの)コンパウンドを余裕で使う事ができる。

使用するマシンはモンテカルロと同じ(オジエは#7、エサペッカ・ラッピは#4)。ヨーロッパ外イベントでも、レッキ車は同じくスバルを使う。メキシコでは、オジエはここ6年で4回優勝、ラッピの参戦経験は1回だが4位でフィニッシュしている。


ヒュンダイ

スウェーデンでは、予想外のトラブルはなかった。再編成されるチーム上層部については、依然として発表はない。今戦では、ダニ・ソルドが戦線に復帰。これが今季最初のWRC参戦となり、セバスチャン・ローブはスキップする。

メキシコに向けては、スウェーデン後にスペイン南部のアルメリア近郊で、各ドライバーが1日ずつテストを行い、メキシコで見られるようなグラベル路を使用した。天候が不安定なため、高地でのテストは実現が難しい。

ソルドがドライブするのはローブが使用したマシン(#15)、ティエリー・ヌービルとアンドレアス・ミケルセンはいつものマシン(#16、#12)を使用する。

ソルドは、昨年のメキシコで2位に入っているが、これはチームにとっての現在のベストリザルト。ヌービルとミケルセンも、それぞれポディウムを経験している。


Mスポーツ・フォード

今回はWRカーは2台のみの参戦。メキシコでも、テクニカル面での変更はない。

メキシコ向けのプリペアとしては、ダントンにあるフォードの開発センターで、エンジンマッピングの作業が行われた。スウェーデン後に、各ドライバーが1日ずつ、スペインでテストを行っている。

メキシコでは通常、パワーが20%低下し、タイヤの摩耗も少なくなる。使用するマシンは、スウェーデンと同じ(エルフィン・エバンスが#7、テーム・スニネンが#4)。

R5勢では、ルーカス・ピエニアシェクがスウェーデン車、アルベルト・ヘラーは兄弟のペドロが2018年のオーストラリアで使用したマシン、ペドロ・ヘラーはガウラフ・ギルがオーストラリアで使用したマシンを使う。

チームは、フォーカスのレッキ車をエバンス、スニネン、ペドロに用意、アルベルトとピエニアシェクはフォード・クーガを使用する。

エバンスとスニネンは、いずれもメキシコでのポディウム経験はない。


トヨタ

スウェーデンでは、マーカス・グロンホルムのブレーキトラブル以外は、メカニカルのトラブルは発生しなかった。

スウェーデンの直後から、チームはスペインで5日間のテストを敢行。3人のドライバー全員が参加した。このイベントでのパワー低下は、通常20%ほどと見ている。テストで使用したエンジンは、意図的にパワー出力を低下させて高地での状況を再現した。

昨年のメキシコではオーバーヒートのトラブルが相次いだことから、今年は改良型の冷却システムを装着する。使用するマシンは、ヤリ‐マティ・ラトバラが#7(オィット・タナックの2018年マシン)、タナックが#8(ラッピの2018年マシン)、クリス・ミークが#9(ラトバラがスウェーデンまで使用)となる。レッキでは、スバルWRX STIを継続して使う。

ラトバラにとって、今回のメキシコは13回目の参戦で2016年に優勝を飾っている。ミークも2017年に勝っているが、タナックはこれまで7回の参戦で一度もポディウムには上がっていない。
(Martin Holmes)



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