【Martin’s eye】シトロエンのR5マシン開発「C3では両路面で強さを誇るマシンを目指す」 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

【Martin’s eye】シトロエンのR5マシン開発「C3では両路面で強さを誇るマシンを目指す」

©Martin Holmes Rallying

大御所WRCメディア、マーティン・ホームズが、長年の経験に基づく独自の視点で切り込むMartin’s eye。今回は、新型R5マシン開発の初テストが伝えられたシトロエンの、新旧R5マシンの違いについて迫った。


開発中のC3のR5マシンで、いよいよテストを開始したシトロエン。R5規定のマシンで2つめのモデルに取り組むマニュファクチャラーはシトロエンが初めてで、FIA公認を受けるR5モデルはこれが通算6台目となる。

シトロエン・レーシングでカスタマーレーシング車両の開発ディレクターを務めるピエール・ブダールは、新しいC3 R5と現行のDS3 R5の違いについて、次のように説明する。

Martin Holmes Rallying

「C3 R5については、我々は白紙から開発を始めた。DS3からの流用はない。DS3が設計されてからかなり時間が経っているからだ。2010年の始めに開発された、最初のR5マシン陣の1台だった(モックアップが最初に公開されたのは、2013年のラリーポルトガル)。すでにDS3に使用していたパーツを流用するよりも、ゼロから新しい設計を始めるほうが我々にとってはよかった。それは、マシンのパフォーマンスを、ベストのレベルにしたかったからだ」

新しい方法という意味では、C3 R5の作業についてはどのように取り組んできたのだろうか。DS3 R5の設計は、プジョー208 T16の設計と併行して行われた。今回も、同時に進めているプロジェクトはあるのだろうか。
「DS3や208の開発については自分は責任者ではなかったので、それらがターゲットにしたことが何なのかは私には分からないが、C3に関しての設計戦略は、ターマックでもグラベルでもベストのリザルトを収める、というものだった。
 DS3は、ターマックでは悪くなかった。この点は参考になるが、グラベルに関してはDS3の時よりも格段に改良させなくてはならない。FIAの規定は、非常に制限が厳しい。同じハブ、同じサスペンションパーツを使わなくてはならないので、サスペンションでトラベルを多く必要とするグラベルと、マシンをコントロールできなくてはならないターマックの両方で、うまく機能する方法を見つけるのはかなり複雑だ。設計の初期段階での我々の主なターゲットは、どちらの路面でも間違いなくコンペティティブになれるようにすることだった。しかし両者は、サスペンション設計の点で、どうしても違いが生じる。複雑だった」

Martin Holmes Rallying

一方で、C3 R5のプジョー版を開発する予定はあるのだろうか。
「さしあたっては、新たにC3を投入する一方で、現行の208 T16は量産モデルのプジョー208がプジョーのレンジで入れ替わるまで継続させる。新モデルが登場する際には、我々はプジョーの新しいR5仕様も検討する。前の設計と比べれば、C3 R5のホイールベースは208と全く同じ。DS3よりもわずかに長くなっている」

初期のR5モデルが設計されてから5年近く。最初にフォード・フィエスタが登場して以来、R5の技術に求められる要素に何か変化はあっただろうか。
「特にない。レギュレーションは、最初に施行されてから修正は行われていない。安全面での理由から、わずかなアップデートが行われたのみだ」

そして、エンジンについても白紙からのスタートなのだろうか。
「エンジンについても、異なるベースからスタートする機会に恵まれた。PSA EP6エンジン(1.6リットルターボ)とベースエンジンは同じだが、C3 R5ではFDTRと呼ばれるようになった。これは、プジョーやDS3と比較して、C3が全く異なる点の一つだ。シリンダーブロックの内部が変更され、より洗練されたエンジンになっている。トランスミッションについても、ゼロから開発している。ギヤボックスとトランスミッションのサプライヤーは、サデフとなった」

最後に、ホモロゲーションの予定についてはどのように進んでいくのだろうか。
「2018年の序盤を目指している。このマシンがカスタマー向けのみになるのか、現状方針は決まっていない。もちろん、マシンの本来のパフォーマンスを披露する機会は欲しいと思っているので、いいドライバーといいチームを見つけなくてはならない。オフィシャルチームで1台を走らせることも、あるかもしれないが、決まってはいない」

DS3 R5が登場した時と同様、ホモロゲーション公認の予定は今回も遅れる見込みで、WRC開幕戦のモンテカルロには間に合わない。今回の遅れの原因は、パドルシフトシステム導入を認めることが突然見送りになったためだ。
「我々は、パドルシフトを装着したマシンを開発していたので、残念だ。FIAは、8月になって心変わりしたが、我々にとっては遅過ぎる。だから、予定が遅れた。ギヤボックスのマニュアルシフトをすべて再設計しなくてはならず、それには時間がかかる。多くの要素を変更しなくてはならない。パドルシフトは、マシンのパフォーマンスを向上させるだけのアイテムではなく、純粋にドライバーの運転のしやすさにもつながる。パドルシフトを搭載するWRカーへのステップアップとしてR5が理想的な存在になろうとするなら、なぜ搭載しないのだろうか。この決定には、賛同できないね!」
(Martin Holmes)