トミ・マキネン単独インタビュー「いいチームを作り上げたという自信はある」 – ページ 2 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

トミ・マキネン単独インタビュー「いいチームを作り上げたという自信はある」

 

──テストカーのリヤウインドウに書いてある『∞=インフィニティ/0』というのは、どういう意味なのでしょうか。
「あれは、チーフ・エンジニアのトム・ファウラーが考えたんだ。なんて説明してたかな……。『自分たちは限界を設定しない』とか、そういった意味だったと思う。プロジェクトに関わる全員が、自分たちのプログラムに限界なく全力を尽くして臨むということだ」

──エンジアリングチームは、テストからどんなフィードバックを得ていますか。
「テストカーの様々なエリアに設けられたセンサーからの膨大な量のデータを収集したり、テストドライバーからのフィードバックを慎重に聞いて分析している。すべての分析結果は、エンジニアとドライバー全員で常に共有しているよ。常に、新しいことを発見し何かしらを学んでいる。我々のエンジニアリングチームは、膨大なレベルの経験と専門知識を誇っている。テストプログラムは、経験豊富な我々が最も得意とする分野のひとつだ。でも、常に新しい発見があるし、まったく違うことを経験するから、常に全開で走り続けることは難しい。でも、最も重要なことは、様々なコンディションからできる限り多くの情報を収集することだ。そのために現在、ユホ・ハンニネンをメインのテストドライバーとして継続して走らせて、一貫性を維持するように努めている。ユホはマシンのことを熟知していて、様々なコンディションに対してのセットアップにも精通しているから、テストプログラムのなかでも多くの内容を担当しているんだ」

Naoki Kobayashi

Naoki Kobayashi

──1月に東京でインタビューした時は、トランスミッションはXトラック、サスペンションはBOSということでしたが、その後、何か変更はありましたか?
「ない。これらサプライヤーは、テストプログラムを始めた早い段階で決めていた。なぜなら、いいものを作るためには非常に緊密な協力体制を築く必要があったからだ。我々の大きなチャレンジのひとつは、まったく新しいトランスミッションをゼロから作ることだった。ご存じのとおり、ヤリスのエンジンルームはすごくコンパクトで、その中にエンジンと操作系、センターデフがついたトランスミッションを収めなきゃいけない。できるだけコンパクトに仕上げる必要があるんだ。だから、プログラムの早い段階でサプライヤーと連携していくことは、とても重要だった」

──また、ヤリスWRCに関しては、大型リヤスポイラーも独特の形状です。誰のアイデアですか?
「ウチのエアロダイナミクス部門からのアイデアだ。現在のリヤスポイラーは、プログラムが始まった当初のものを装飾したものだ。だから、今のは最終版ではないけど、同じような効果は残す。ちょっと外観は変わるけどね」

──そのほか、マシンについて革新的な部分はありますか。
「シークレットはたくさんあるけど、ここでは話さないよ(笑)。FIAのレギュレーションはもちろん忠実に遵守しながら、様々なアイデアを盛り込んでいるよ。外観はシンプルだけどね。設計にはすごく満足している」

──TMG製のエンジンについてはどうですか? どこか改良するべき点を感じますか?
「エンジンは常に一番の重要ポイントだから、常に改善することを目指している。パワーやトルクだけじゃなく、挙動やドライバビリティ、エンジンとトランスミッションの連係なども重要だ。ラリーカーというものは、エンジンやサスペンションそのものではなく、全体のパッケージが整うことで速さや高いパフォーマンスを発揮するんだ。全員が、さらなる改良を目指して全力で取り組んでいる。さらに向上させる時間は、まだ十分にある」

──ハンニネンは、エンジンに対してどのように言っていますか?
「彼は様々なことを試しているが、ネガティブなコメントを聞いたことはないね。もちろん、様々なエリアに関して、どんな反応があったとかドライバビリティはどうだったとか、色々なことを伝え、時には悪いこともあるが、それも改良のためのものだからね」

TOYOTA

TOYOTA

──なぜ、テストドライバーにハンニネンとヤルコ・ニカラを選んだのですか?
「ユホに関しては、色々なところから、すごくいいテストドライバーだと聞いていたからね。彼は、シュコダ、ヒュンダイ、フォード、多くのチームでテストドライバーを務めてきたが、どのチームからもポジティブなコメントを聞いている。自分に自信を持って取り組むことも知っているしね。多くのテストドライバーに来てもらったが、彼は色々なエリアに関して、まさに期待どおりのコメントを残してくれるから、作業がやりやすいと思った。ヤルコもとても経験があるドライバーで、フィンランド国内で主にエンジン評価に取り組んでもらっているが、ここまでの働きにはすごく満足している。もちろん、テストはフィンランドで行うことが多いから、ふたりがいつでもすぐに来れるという点も重要だ。でも、何かをさらに煮詰めようとすると方法を見つけるのに苦労したりするので、このふたり以外にも違うドライバーの意見を聞いたりもしている。テストプログラムにフレキシビリティを持たせたいからね」

──ターマックではどちらがテストドライバーを務めるのですか。あるいは、他のドライバーを起用するのでしょうか。
「ターマックテストを始める段階ではユホを使うと思うが、自分でもターマックを走りたいと思っている。自分もターマックの経験はかなりあるからね。どういう感じかみてみようと思う。まだ時間はあるので、他のドライバーとも話をしてみたい。候補はたくさんいるからね。エンジニアも、経験豊富なプロフェッショナルが揃っている。ダンパーのエンジニアもマシンに乗って、様々なエリアのセンサーからのデータを分析すると思う」

──モンテカルロでは誰が乗るのか、まだ発表はありません。
「まだまだ、早すぎる話だ。ラリーフィンランドか、ラリードイチェラントの後に交渉を始めることになると思う」

──実戦で走ることになるドライバーは、できるだけ早い段階でマシンのことを学ぶべきだと思うのですが。
「そうだね。でも、いま別のチームと契約している現役ドライバーは、当然ウチのマシンに乗ることはできないからね。一切不可能だ」

──経験があって速いドライバーは、いま市場に残っていないと思うので、状況は厳しいですね。
「2017年に向けてはある意味の試練だね。ただ、初年度は、全戦がそれぞれのコンディションで経験を積む年になると思う。ドライバーだけでなくチームも成長していかなくてはならないから、あまり心配はしていない。2018、2019年になれば、もっと候補ドライバーも増えてくる。自分たちのターゲットに対しては、常に現実的に考えたいと思う。来年からいきなりトップチームと対等に戦うのは難しいね」

──では、トヨタの復帰初年度は、好リザルトよりも経験を積むことが目標ということになりますか。
「もちろん、いいリザルトも目指しているよ。それが期待できるドライバーをできれば使いたいと思っているし、十分にコンペティティブな力が蓄えられれば、2017年のうちにどこかのラリーでポディウムに上がるチャンスも十分にあると思う。ただし、我々にとって最も重要なことのひとつは、すべてのコンディションでのデータを慎重に積み重ねて、2018年に向けてチーム全体を整えていくことだと思っている」

──最近我々の雑誌で取り上げた、ハリ・ロバンペラの息子カッレとは、もう話をしましたか?
「ああ。彼はいつか走らせたい若手だが、あいにくまだ若すぎる。彼の今の問題点は、まだ若すぎる、というだけだ(笑)」

──でも、2020年には18歳になっていますよね?
「19歳になる直前じゃないかなと思うよ」

──そうでしたか。トヨタにとっては、絶好のタイミングではないですか?
「4月に16歳になったはずだよ。だから、18歳になる2019年には本格的なプログラムが組めるね。あと2年大きくなってもらわないと(笑)」

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