トミ・マキネン単独インタビュー「いいチームを作り上げたという自信はある」 – ページ 3 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

トミ・マキネン単独インタビュー「いいチームを作り上げたという自信はある」

 

──先日のマイケル・ゾトスがチームを離脱したというニュースは、ちょっとショックでした。
「どうして? なぜそんなにショックだった?」

──彼は、テクニカルチームのトップではなかったのですか。
「いや、トップではなかったよ。設計チームのひとりで、サスペンションの運動力学が専門分野だった。テクニカル・ディレクター的な役割を担ったことはないよ。プログラムが始まった時から、テクニカルチームの全体の責任者はトム・ファウラーだ。トムはシニアエンジニアのような立場のひとりで、開発全体の責任を担っているが他にもサイモン・キャリアやミッコ・ルオホとか、それぞれの分野で同様の責任を担うスタッフがいて、それが我々の組織が通常とは異なる点だ。エンジニアリング作業が、必ず同じターゲットに向かうようにしたかったんだ。全員が一緒に取り組んで、情報を共有すること。できるだけ早くパッケージを準備したかったので、作業を細分化するのでなく、ひとつのターゲットに向けて一緒に話し合って進めていくスタイルにした」

TOYOTA

TOYOTA

──では、このチームには誰か特定のトップがひとりいるわけではないということですか。
「プロジェクト全体の責任者はトム・ファウラーだけど、我々にはテクニカル・ディレクターはいない。チーフエンジニアが開発全体の責任を担っている。通常の方法とは違うが、これといった問題は起きていない。マイケルはサスペンションエリアの責任者で、この分野には他にひとりエンジニアがいる。すでにマイケルは作業を完了していて、サスペンション分野にはまだスタッフがひとりいるので、マイケルの離脱はプロジェクトには影響しない。この仕事は家を空けることが多いので、家族で過ごす時間をもっと増やしたかったのだと思う。大きなドラマはなにもないんだよ」

──では、彼の仕事を引き継ぐ人は特にいないということですか?
「後任者は必要ない」

──SNSでチームの集合写真を見ました。現在、チームで働いているスタッフは全部で何人いるのですか。
「今はたぶん90人ほどだと思う。あの写真には、全員は写っていないんだ。いつも誰かしら、遠征に出ているからね」

──今年の初めから、人数は増えていますか?
「今年の初めは60か70人だったと思う。テストプログラムが始まってからは、スタッフの人数が増えた。2017年に入る前に、もう少し人手が必要になってくる。ラリーカーの準備やサービスを担う人材がね。重要な要素について責任を担うスタッフはほぼそろっているが、オペレーションや施設、運搬に関するメンバーをもう少し雇うつもりだ。しかし、メインチームはほぼ整っている」

──新設されたエストニアの会社は、どんな役目を担うのでしょうか。
「レッキチームの機材など、副次的な要素の手配に専念する。必ずしもフィンランドにある必要はないし、こうした機材は基本的にはメインのファクトリーにはシーズン中には戻さないので、モンテカルロからそのままスウェーデン、ポルトガル、と回る。もうひとつの我が家という感じだ。トラックや機材などは数が多いから、フィンランドの拠点に置くと手狭になってしまうからね。ヨーロッパに向けてのロジスティック拠点だと考えてもらっていい」

──現在、あなたは、インターナショナルなチームのトップという立場になりましたが、こうした国際的な組織を取り仕切るために必要なことはなんだと思いますか?
「我々のチームは非常にオープンで、チームワークのいい雰囲気を目指している。スタッフみんながそれぞれある程度の責任を担い、ともに色々なことを学ぶ。今の時点では、その考え方はうまく行っていると思う。誰もが充実して働いているし、結束して話し合いを持ち、情報を共有している」

──優れたWRCチームとなるためには、色々と必要な条件もあると思います。人々の調和であったり、十分な資金や技術力、家族的な雰囲気、そして規律。何が一番重要だと思いますか。
「全部重要だと思うよ。そのすべてが揃っていいパッケージになるんだからね。でも、チーム力を高めていくには、全員がひとつの目標に向かって進むことが重要だと思う。ドライバーも含めてね。そのことが、チームを強豪に育てるために重要なことだ」

Naoki Kobayashi

Naoki Kobayashi

──フォルクスワーゲンはドイツのチームなので、より規律を重んじると思うのですが、あなたは家族的な雰囲気の方が重要だと思いますか?
「難しい質問だね。あのチームがどうやっているかは私にはハッキリ分からないが、成功を収め続けることができれば自動的に強いチームになると思うし、もちろん勝ち続ければ誰もが満足するだろう。彼らだって、ドイツのチームだとは言っても、様々な国からスタッフが集まっているだろう。ごく普通のことだ。スペシャリストを集めなくてはならないからね。もちろん、我々のチームには、フィンランド人が一番多いが、せいぜい40〜50人くらいだろうか」

──あなたは33万人が働くトヨタを代表するチームのボスでもあります。そのことについてプレッシャーは感じますか?
「いいチームを作り上げたという自信があるし、そこには何の不安もないから、プレッシャーも感じていない」

──WRCプログラムを通して、トヨタに何をもたらしたいですか?
「最終的に一番重要なのは、トヨタ全体のために最高の瞬間をもたらすことだ」

──その自信がある?
「もちろんだ」

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