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【動き始めたトヨタWRC】トミ・マキネンに直撃インタビュー! 「デザインチームはすでに存在する」<前編>

 

先日、トヨタWRC参戦チームの代表に任命されたトミ・マキネン。ラリーフィンランドに姿を現した彼に直撃インタビューを試みた。

純白のシャツにはトヨタのロゴがきれいに刺繍されている。それを見ると、まったく疑念の余地はない。彼は、近所に住んでいるという理由でラリーフィンランドを訪れたわけではない。彼は新しい責務に懸命に取り組んでいるのだ。しかし、任された仕事の割り振りに依然として多くの課題が残されていることについて隠さず語ってくれた。

──トヨタのWRC参戦を取り仕切るため、具体的にはどのようなかたちでトヨタに起用されたのですか?
「プロジェクトは徐々に前進していった。今から一年半前、僕はドライビングスクールの一環として北海道を訪れた時にトヨタの関係者に初めて会った。それ以降、我々は常に連絡を取り合っていた。最初はラリーに関する全般的な話だったが、話はどんどん広がっていったんだ。2014年の夏、僕は豊田章男社長のために4WDのGT86を製作し、ここフィンランドで彼はそれをドライブした。その時、僕はトヨタがトップレベルのラリーに復帰することへの関心を高めていると理解した。さっきも言ったように連絡は取り合っていたが、僕にプログラムを任せるという決定が何月何日に行われたのかは、正確には分からない」

──あなたはプレゼンテーションを行うために日本に行きましたか?
「いや。だが頻繁に連絡を取り合うなかで、僕が物事をどのように見ているかを説明した。世界最大規模の自動車メーカーであるトヨタが、いまWRCに参戦するべきだということについてね。こうして我々の信頼関係はだんだんと強固なものになっていった。我々の関係はシンプルで、ダイレクトなものだ」

──あなたはなぜ、ご自分がこの任務に選ばれたと思いますか?
「TOYOTA GAZOO Racingは、どのような状況においても迅速に対応できるフレキシブルな組織をヨーロッパに設置することを望んでいた。彼らは“重たい”組織を望んでいない。それぞれのスタッフのモチベーションが強さを生むようなチームを構築することを考えている。チームを人間的な、親しみやすいものにすることが目標だ。そのような手法を採り入れているのは僕だけではない。我々の組織がほどほどの規模であることが、仕事をやりやすくしてくれるだろう」

──正確にはどの程度の規模にしたいのですか?
「トップレベルで競うために必要な規模だ」

──スタッフの雇用はすでに行いましたか?
「行った」

──具体的には何名のスタッフを雇用したのでしょうか?
「デザインチームはすでに存在する。さらに最初のプロトタイプを製作するためのサプライヤーも決定した。それが我々にとっての最優先事項だからだ。プログラムのこの部分は、8月半ばには軌道に乗せたいと思っている」

──トヨタは17年1月からのWRC復帰を宣言しました。このカムバックを成功させるために、今後必要な手順について情報を受け取りましたか? あるいはあなたからなにか提案をしましたか?
「そのような話をするにはまだ早い。我々にとって最大のチャレンジはスケジュールだ。まず我々は最初のプロトタイプを製造し、デビューの時点で十分な走行距離をこなすため、あらゆる路面でのテストを行っていかなくてはならない。必要なのは信頼性とパフォーマンスだ。そのために我々はできるだけ早い時点で2台を製造し、テストチームの規模を2倍にする。ひとつのテストチームはテストスケジュールを立案し、ヨーロッパラウンドの準備に集中する。もう片方のテストチームは別の大陸に移動してテストを重ねる。このプログラムにはさらなるリソース(人材、予算)が必要になるが、トヨタにはラリーにおける歴史があり、世界最大規模の自動車メーカーだ。そこからさらなる大志が生まれる。それを実現することはTMC(トヨタ自動車株式会社)、ドイツにあるTMG(トヨタモータースポーツGmbH)そしてTMR(トミ・マキネン・レーシング)の密接な協力体制によって可能になる」

──トミ・マキネン・レーシングは(ユバスキラの北30kmにある)プッポラにあります。そこがトヨタのWRC活動のベースとなるのでしょうか?
「我々はファクトリーの場所に関して最終的な決定はしていないが、それは間もなく行われるだろう。これから製作するプロトタイプ(複数台)は、そのファクトリーで組み立てることになる」

──それはフィンランドになりますか?
「まだ決定されていない。我々の最優先事項は、最初のプロトタイプをデザインし、製造するためのチームを構成することだ。すべての準備が整ったわけではないが、まもなく発表されるプレスリリースによって、我々のオペレーションの最初の取り組みが明らかになるだろう」

──ケルンのTMGによって作られたヤリスWRCはすでに存在しますが、それをベースにしますか?
「その点については現在、真剣な議論が行われているところだ。WRCのテクニカルレギュレーションは17年に変更される。それは我々にとって好都合だ。全チームが新しいマシンを作らなくてはならないからね。空力や車両のサイズも変わり、サスペンション、エンジン、トランスミッションも新しくなり、センターデフも導入される。それらのパーツは現行のワールドラリーカー、そして現在テストされているヤリスWRCとは異なるものだ。だから我々は、ヤリスWRCのどの部分を使い回し、アップデートできるかということについても調べている。それらの要素をすべて組み合わせ、最適なパッケージに到達するための努力を行っているんだ」

──あなたはTMGの施設のなかに事務所を構える予定はありますか?
「それはない。協力はエンジニアレベルで行われる」

──TMR、TMGとTMCの研究開発分野はどのようなものになりますか?
「確実なのは、TMGがエンジンを担当するという点だ。彼らには経験があり、空力に関してもトップレベルの設備を持っている」


インタビューは後編へと続きます。



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