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ERCズリンはヤン・コペッキーが通算12勝目。新井大輝はR5勢最上位でフィニッシュ

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ERC第6戦チェコラリー・ズリン(ターマック)は8月15日〜17日に開催され、2013年のERCチャンピオンで地元チェコの強豪、ヤン・コペッキー(シュコダ・ファビアRSラリー2)がイベント通算12勝目を飾った。Mスポーツ・フォードから参戦するジョン・アームストロング(フォード・フィエスタ・ラリー2MkII)を10.7秒差で退けた。

APRCフル参戦時代にラリー北海道の参戦経験もあるコペッキーは、ズリンの参戦はこれが20回目。チェコを代表するラリードライバーとしてさすがの強さを見せたが、それでもイベント12勝目までの道のりは順風満帆ではなかった。

金曜日の夜にズリンの市街地で行われたスーパーSSでトップに立ったのは、アンドレア・マベリーニ(ファビアRSラリー2)だったが、土曜日最初のSS2でコペッキーがベストタイムをたたき出して、首位に浮上する。この土曜日はヒョンデi20Nラリー2のサイモン・ワグナーとマベリーニからプレッシャーをかけられたコペッキー。日中サービスに入った時点で2番手のワグナーとの差はわずか1.2秒にまで縮まった。しかし午後になると、ワグナーがタイヤのデフレーションに悩まされたほか、SS7ではハーフスピンを喫し、優勝争いから脱落してしまった。

一方、2本のステージウインをマークしたアームストロングは5番手から2番手に浮上。日曜日の午前には、首位コペッキーに6.3秒差まで詰め寄った。しかし、母国ファンの応援を受けたコペッキーが応戦。ここから残る5SSでリードを広げ、鮮やかに勝利を決めた。

「ちょっと身震いしている。去年の段階で、今年こんなに速く走れるなんて思っていなかったからね」と謙虚に語るコペッキー。
「コ・ドライバーやチームが頑張ってくれたおかげだと思っている。心から感謝しているよ」

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アームストロングは、ERCでの自己ベストタイの2位で、今季2度目のポディウムフィニッシュ。
「なんて週末だったんだろう。精いっぱいプッシュしていた。土曜日は楽しめていたが、日曜日は正直、苦戦していた感じで、すべてを何とかしなくてはと頭がいっぱいだった」と語るアームストロングは、これで選手権3番手に浮上した。

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マベリーニも3位で表彰台に上がり、パワーステージを制したことで、ボーナスポイントも獲得した。
「信じられないよ。Mr.バルムのコペッキーとここで戦えたなんて、夢のよう。自分の成果が誇らしいよ」と語るマベリーニ。選手権リーダーのミコ・マルチェク(ファビアRSラリー2)が7位に終わったことで、今季2戦を残した時点でアームストロングとマベリーニはタイトル争いの望みをつないだ。

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そのマルチェクは、イベントを通して上位陣に競り合うだけのペースをつかむことに苦戦。パワーステージでなんとか2ポイントを追加した。
「ペースが安定しなかったので、満足できない。4、5本はいいステージがあったが、同じだけ期待以下のステージがあった。だから、ポディウムではなく7位争いをすることになった。最後までタイトルを目指して戦う」とマルチェクは悔しさをにじませた。

ジュニアERCでは、ランチア・イプシロン・ラリー4HFでの初参戦に臨んだクレイグ・ラーヒルが部門優勝。土曜日にドライブシャフトの破損でレグリタイアを喫したADACオペル・ラリージュニアチームのカレ・カールズバーグ(オペル・コルサ・ラリー4)が今季のタイトルを確定させ、2026年のジュニアWRCに参戦する権利を獲得した。

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このイベントには併催のチェコラリー選手権に、全日本ラリーチャンピオンの新井大輝が住友ゴム、WinmaX、IRS ENKEIの支援を受けてシュコダ・ファビアR5で参戦。最新スペックのラリー2車両との性能差は覆しようがなかったものの、序盤の24番手から順位を上げ、最終パワーステージでは自身のスタート直前でアクシデントによりステージがキャンセルになるという不運もあったが、R5スペック勢では最上位の総合15位でフィニッシュを果たした。

奮闘を見せた新井は自身のSNSに「最後の最後まで世界最難関のターマックを肌で感じたラリーでしたが、来年も必ずここに戻ってきたいと思います」とラリーを振り返るコメントを寄せている。新井はこのままヨーロッパに残り、翌週エストニアで開催されるパイデラリー(グラベル)にも参戦するとのことだ。

FIAERC.com

ERCズリン最終結果
1 J.コペッキー(シュコダ・ファビアRSラリー2) 2:00:49.3
2 J.アームストロング(フォード・フィエスタ・ラリー2MkII) +10.7
3 A.マベリーニ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +13.8
4 S.ワグナー(ヒョンデi20Nラリー2) +30.3
5 E.カイス(ヒョンデi20Nラリー2) +59.3
6 F.マレス(トヨタGRヤリス・ラリー2) +1:04.1

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