全日本ラリー飛鳥:シュコダ・ファビアR5の新井大輝/立久井大輝が今季初勝利 – ページ 2 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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全日本ラリー飛鳥:シュコダ・ファビアR5の新井大輝/立久井大輝が今季初勝利

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■レグ2
ラリー2日目は「Mt.Chausu(8.30km)」と、天理市から東に向かった山辺郡山添村にある名阪スポーツランドに設定される観戦ステージ「SSS Meihan(0.65km)」の2ステージを、サービスを挟んでリピートする4SS、17.90km。初日にSS6を前にエンジントラブルによりストップした新井敏弘/小坂典嵩(スバルWRX VBH)は、マシン修復が叶わずラリーリタイアとなり、この日は走行できなかった。

前日までの雨は上がり、路面はドライの部分はあるものの、木陰の部分など70%ほどが濡れている状態。さらに苔と入り交じり、初日とは違ったヌルヌルとした部分が厄介な存在だ。初日に約40秒のアドバンテージを築いたた新井大輝/立久井大輝(シュコダ・ファビアR5)は、「無理せずにしっかりと走り切りたいです」と語って朝のサービスを後にした。

オープニングのSS7は、勝田範彦/保井隆宏(トヨタGRヤリス・ラリー2)が、ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(GRヤリス・ラリー2)に2.3秒、新井大輝に5.9秒、奴田原文雄/東駿吾(GRヤリス・ラリー2)に9.1秒差をつける一番時計。これで3番手の勝田が、4番手につける奴田原との差を16.8秒に拡大した。多くの観客が集まったショートステージのSS8は、コバライネンが鎌田卓麻/松本優一(ファビアR5)に0.3秒、新井大輝に0.7秒差をつけ、今大会初のベストタイムを記録する。

サービスを挟んだ午後のセクション、ドライアップしつつある路面となったSS9は、新井大輝がコバライネンに0.1秒差のベストタイム。続くSS10は、コバライネンが午前中に続きベストをマークする。この結果、新井大輝がコバライネンに34.5秒差をつけて、待望のシーズン初勝利を持ち帰った。

JN-1クラス優勝の新井大輝/立久井大輝(YAHAGI シュコダ ファビア R5)/RALLY PLUS

3位争いは、奴田原に7.7秒差で最終日をスタートした勝田が奴田原を突き放し、その差を23.8秒に広げて表彰台に上がった。1分30秒5差の4位に奴田原、3分09秒2差の5位に鎌田、3分24秒3差の6位に福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアRSラリー2)が入った。

ノートラブルで初開催の飛鳥を制覇した新井大輝は「タイム差があっても、このクルマは最後まで何が起こるか分からないので、勝ててホッとしています。2戦連続でメカニカルトラブルが出てしまったのは精神的にもキツかったですから……。サポートして頂いている方々に向けて、しっかりと結果でお返しできて良かったです」と、安堵の表情を見せた。

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ラリー中、マシンバランスに苦しんだコバライネンは、2位表彰台に「今回もマシンに自信を持ってプッシュすることができず、残念なラリーになった。最終日は前も後ろも差が大きすぎたし、無理なプッシュはしなかった」と、悔しさをのぞかせながら振り返っている。

ここまで2連勝を飾りながら優勝争いに加わることができなかった勝田は「今回のラリーは自分の中で気持ち的にプッシュできない部分がありました。その点に関しては、まだまだ要修行です。モントレーに向けては、イベントのオフィシャルテストをしっかり活用したいです。限られた機会に向けてメニューを考えて、しっかりと組み立てていきたいと考えています」と、次戦での挽回を誓った。

JN-2クラスは、初日SS2のパンクで一時はトップと1分6秒9差のクラス16番手まで順位を落とした山田啓介/藤井俊樹(トヨタGRヤリス)が、前日午後から猛烈な追い上げを見せており、この日もオープニングとなったSS7では8.3kmのステージで9秒差をつけてのベストタイムをマークすると、内藤学武/大高徹也(GRヤリス)をかわし2番手に順位上げた。さらにSS9では、ついに首位の貝原聖也/西﨑佳代子(GRヤリス)をも捉えてみせる。最終的に、全10SS中、8SSでベストを刻んだ山田が、開幕戦の三河湾に続くシーズン2勝目をマーク。レグ2だけのリザルトでも、2番手の小泉敏志/村山朋香(GRヤリス)に23.4秒差をつけての最大ポイントを獲得した。3.7秒差の2位に貝原、37.8秒差の3位に内藤。今回から、鎌田卓麻がドライブしていたスバルWRX STIを借り受けて参戦をスタートした吉原將大/安東貞敏が、57.3秒差の4位に入った。

JN-2クラス優勝の山田啓介/藤井俊樹(FIT-EASYソミック石川DLGRヤリス)/Jun Uruno

大逆転で勝利を持ち帰った山田は「100%、安全な範囲の中でプッシュしました。今回のラリーは自分の中でもひと皮剥けた実感があります。これまでにない挙動で走ることができて、それがタイムにも反映されています。初日、不運はありましたが、それがいい形につながったので、結果オーライですね。次につながるいい2日間になりました」と、納得の表情を見せた。悔しい2位となった貝原は「午後は頑張りましたが、ダメでしたね……。ドライコンディションでの山田選手には、追いつけません。セットアップにも課題がありましたが、それでも離されすぎです。このままの状態ではまずいので、ドライバーもクルマも進化しないとダメだと考えています」と、反省の弁を語っている。

JN-3クラスは、初日2番手につけた曽根崇仁/小川由起(トヨタGR86)が、林道ステージのSS7とSS9をベストタイムで揃えて初日首位の山本悠太/立久井和子(GR86)に迫ったが、12.3秒差に詰めるのが精一杯。初日のマージンを活かした山本がトップでフィニッシュし、開幕から負け知らずの3連勝を飾った。2位表彰台に曽根、初日3番手につけていた下口紘輝/小林一貴(GR86)がSS7でコースオフしたことで、3位には山口清司/丸山晃助(GR86)が入っている。

JN-3クラス優勝の山本悠太/立久井和子(SammyK-oneルブロスYHGR86) /RALLY PLUS

曽根の追い上げをかわして開幕3連勝を決めた山本は「最終日は路面が想定とは違っていて、2ループ目も思ったほど回復していませんでした。ドライとウエットが混在した路面が難しかったです。マージンを使いながら、守りの走りになりましたが、最後に勝てて良かったです」と、笑顔を見せた。逆転には至らなかったものの2位で走り切った曽根は「初日は雨でかなり危ない路面でしたが、山本選手に少し離されながらも自分なりには納得がいく走りができたと思います。最終日は、ウエットにもドライにもアジャストして、2回のベストタイムを獲得できましたね。モントレーはスキップして、それ以降はすべて参戦する予定です」と、満足の表情を見せた。

JN-4クラスは、初日に1分以上の大差を築いた首位の藤原友貴/宮本大輝(スズキ・スイフトスポーツ)の勢いが止まらない。藤原は最終日もすべてのSSを制し、トータルで9回のベストタイムを獲得。全日本挑戦2戦目にして、選手権初優勝を飾った。1分29秒2差の2位に高橋悟志/箕作裕子(スイフトスポーツ)、4分31秒4差の3位に鶴岡雄次/山岸典将(スイフトスポーツ)が入っている。

JN-4クラス優勝の藤原友貴/宮本大輝(ロッソレーシング WM DL スイフト)/Jun Uruno

うれしい全日本初優勝を飾った藤原は「2度目の正直になりました。ただ、今回は全員が初めてのコースで、イコールコンディションだったことに助けられました。ライバルよりもマージンを取らずに速く走れることが、自分のアピールポイントだと考えています。次のモントレーも初参戦ですが、ベテランの皆さんをぶっち切りたいです」と、力強く語った。若い藤原を前に厳しい戦いを強いられた高橋は「難しいラリーになりました。新しいイベントですし、自分たちが有利になるかと思っていたんですが、簡単にはいかなかったですね。変化のあるコンディションで様々なセットアップの組み合わせを試せたのはよかったのですが、負けていた状況でトライしたことが、裏目に出てしまいました」と、振り返っている。

JN-5クラスは、初日トップの松倉拓郎/山田真記子(トヨタ・ヤリス)が、ジムカーナコースの観戦ステージ「SS8 SSS Meihan 1」で、縁石にフロントタイヤを引っかけてまさかの転倒。ステージはフィニッシュして2番手の河本拓哉/有川大輔(マツダ・デミオ15MB)との差を18.4秒に拡大したものの、ここでリタイアとなってしまった。「インを使いすぎて縁石に乗って、そこからハンドルを切り出して、慣性でそのままひっくり返ってしまいました。名阪スポーツランドは、縁石が高いから気をつけようとしていたんですが……」と、松倉は肩を落とした。松倉の脱落によりトップに立った河本は、2番手以降に2分以上の差をつけて今シーズン2勝目。2分13秒0差の2位は中溝悠太/佐々木裕一(トヨタ・ヤリス)、3位にはSS7で島根剛/粕川凌(ヤリス)をかわした阪口知洋/野口智恵美(ニッサン・マーチ)が入った。

JN-5クラス優勝の河本拓哉/有川大輔(DLクスコWMタカタOTS・TWRデミオ)/RALLY PLUS

予想外の勝利を手にした河本は「最終的に松倉さんがリタイアしての勝利ですが、ラリーを通して競った展開になったのは良かったです。コンディションも、コース自体もタフなラリーでした。路面がかなり汚れていたので、ドライでもしっかり攻めないと松倉選手にプレッシャーをかけることができませんでした」と、冷静にラリーを振り返った。慎重に走行し2位表彰台を得た中溝は「1日目のウエットコンディションが本当に難しく、課題だらけのラリーになりました。ラッキーもあって2位に入れましたが、今回は全体的なペースも良くなかったです。ウエットでの走りを鍛えつつ、色々と改善して今後のラリーの活かしていきたいです」と、反省のコメントを語っている。

JN-Xクラスは、初日トップの天野智之/井上裕紀子(トヨタRAV4 PHEV)が、2日目もペースをコントロールして、トップフィニッシュを果たした。1分10秒3差の2位に入った清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリスHEV)は、SS7でベストを刻みレグ得点トップを獲得。2分37秒8差の3位には、海老原孝敬/蔭山恵(ホンダCR-Z)が入った。

JN-Xクラス優勝の天野智之/井上裕紀子(TRT・DL・RAV4 PHEV) /RALLY PLUS

開幕から無傷の3連勝を決めた天野は「コンディションも厳しかったですし、大柄なRAV4には道がタイトでキツかったですね。最終日はツイスティなセクション中心でストレートが少なかったので、RAV4のパワーを活かせませんでした。クルマのいいところが出せなかったです」と、コメント。天野との差を縮めレグポイントを獲得した清水は「自分たちの苦手なところも出ましたが、クルマと走り方を変えれば良くなることが分かりました。すごく気づきのあるラリーでしたね。日本のラリーは色々な路面を走ることもあって、タイヤやドライビングに関して、本当に学びが多いです」と、振り返っている。

全日本ラリー選手権第3戦ラリー飛鳥 最終結果
1 JN-1 新井大輝/立久井大輝(YAHAGI シュコダ ファビア R5) 50:13.4
2 JN-1 Heikki Kovalainen/北川紗衣(AICELLO速心DLヤリスRally2) +34.5
3 JN-1 勝田範彦/保井隆宏(GR YARIS Rally2) +1:06.7
4 JN-1 奴田原文雄/東駿吾(ADVANKTMSGRヤリスRally2) +1:30.5
5 JN-1 鎌田卓麻/松本優一(Castrol TEIN DL ファビア) +3:09.2
6 JN-1 福永修/齊田美早子(スミロン☆焼肉ふじ☆CTE555ファビア) +3:24.3
7 JN-2 山田啓介/藤井俊樹(FTIEASYソミック石川DLGRヤリス) +5:05.3
8 JN-2 貝原聖也/西﨑佳代子(ADVICS多賀製作所K1GRヤリスDL) +5:09.0
9 JN-1 石黒一暢/穴井謙志郎(カヤバ GRヤリス) +5:31.7
10 JN-2 内藤学武/大高徹也(YH TEIN Motys GRヤリス) +5:43.1
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15 JN-4 藤原友貴/宮本大輝(ロッソレーシング WM DL スイフト) +6:16.5
23 JN-3 山本悠太/立久井和子(SammyK-oneルブロスYHGR86) +7:34.9
26 JN-5 河本拓哉/有川大輔(DLクスコWMタカタOTS・TWRデミオ) +8:11.8
40 JN-X 天野智之/井上裕紀子(TRT・DL・RAV4 PHEV) +11:40.5

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